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日本計量新報 2014年6月22日 (3014号)

産総研と国際度量衡局が研究協力
核磁気共鳴利用の有機化合物定量分析法の普及・発展はかる

6月9日、研究協力覚書を締結
有機化合物標準の効率的トレサ体系確立へ

国際度量衡局(BIPM、マーティン・ミルトン局長)と(独)産業技術総合研究所(産総研、中鉢良治理事長)が研究協力する。核磁気共鳴を利用した有機化合物の定量分析法(定量NMR法)の普及と主たる純度評価手法への発展が目的。6月9日、研究協力に関する協定を締結した。


定量NMR法の普及促進

本協定に基づく研究開発により、産総研が主導的な立場で開発した定量NMR法が国際計量標準分野で普及し、有機標準分野での国際比較や計量標準整備が飛躍的に進展することが期待される。計量標準整備の効率化が進展することは、物理単位および標準の国際的研究、国際比較、運営管理をおこなう国際機関であるBIPMにとってもメリットがある。
 産総研は「これにより食品・医薬・環境など幅広い分野における品質管理精度の大幅な向上が見込まれ、世界規模での社会の安全安心の確保と人々の生活の質の向上に貢献できる」としている。

協力内容

産総研とBIPMは、協定に基づく連携・協力事項として、次の取り組みを実施する。
▽BIMPにおける定量NMR法の立ち上げに必要な分析装置を選定する。
▽定量NMR法で使用される内標準物質を選定しその適性評価をおこなう。
▽定量NMR法の普及と発展のために、世界で共通利用が可能なプロトコルを確立する。
▽有機化合物の純度測定に関する国際比較を実施し、世界各国の計量機関における定量NMR法の測定精度を向上させ、有機化合物の主たる純度評価法として発展させる。
 連携・協力活動の一環として、6月9日からBIPMの研究者2名が、産総研で共同研究活動を開始した。

定量NMR法は産総研が開発

食品、農林水産物、工業製品、医薬品、医療、環境などの分野で多く使われている化学分析機器を校正するには計量標準として標準物質を用いることが多いが、標準物質の整備が需要に追いついていない。有機化合物の種類は膨大で、すべてに対して一つずつ標準物質を整備することは現実には極めて困難である。
 近年の急増する多様なニーズに計量標準の整備が追いつかない状況を改善する有力な手法の一つが定量NMR法である。
 産総研が開発し提案する定量NMR法は、有機化合物中に普遍的に存在する水素原子の数に依存する信号強度を精密に分析することによって、多様な有機化合物の物質量が精度よく求められることを実証したものであり、有機分析分野の課題を解決する革新的な技術となりうる。
 産総研とBIPMは、定量NMR法の適用性の拡張とさらなる高精度化により、有機化合物の高精度な計量標準を迅速に整備することにより、効率的な計量トレーサビリティ体系の確立をめざしている。

日本計量新報 2014年6月22日 (3014号)

産総研計量研修センター
計測における不確かさ研修(中・上級コース)
9月25日(木)・26日(金)、計量研修センターで

(独)産業技術総合研究所計量標準管理センター計量研修センターは、計測における不確かさ研修(中・上級コース)を、9月25日(木)・26日(金)、同所で開催する。
 本研修コースは、測定の不確かさ評価について基礎的知識がある人を対象に、実際の不確かさ評価において用いられる高度な統計的手法や「測定における不確かさの表現のガイド」(GUM)についての詳細な解説を、演習をまじえて講義する。
【日時】9月25日(木)・26日(金)(1日目:10時〜17時30分、2日目:9時〜17時)
【会場】(独)産業技術総合研究所計量標準管理センター計量研修センター(〒305-8561、茨城県つくば市東1-1-1中央第1さくら館)
【受講料】4万円(非課税)
【その他の経費】▽さくら館1泊=3240円(朝食、昼食2食、宿泊費)▽さくら館前泊2泊=5400円(朝食2食、昼食2食、宿泊費2泊)▽宿泊しない場合=1080円(昼食2食)
【定員】20名(定員になりしだい締切)
【受講対象者】測定の不確かさ評価について基礎的知識を持っている人。(測定の数学的モデルに基づく感度係数の計算や、合成標準不確かさおよび拡張不確かさを求める基本的な方法を概ね理解していることを想定)
【申込期限】8月8日(金)(書類必着)
【申込方法】メールで仮予約。題名を[不確かさ応募]として、氏名、勤務先、住所、メールアドレスを記入し、申し込む。(uncertainty-seminar-ml@aist.go.jp)
仮予約順にメールで実施要領と申込書の様式を返信。期限までに申込書を郵送して所定の手続き。
【プログラム】
▽不確かさ評価の基礎
▽GUM、VIMをめぐる国際的動向
▽GUMの読み方
▽不確かさ評価における留意点(CMC等の利用、有効自由度の考え方など)
▽試験における不確かさについて
▽回帰を行った際の不確かさ評価について(演習を含む)
▽分散分析の利用(演習を含む)(原則としてPC持参)
【講師】(独)産総研計量標準総合センター田中秀幸、城野克広、榎原研正
【問い合わせ先】計量研修センター=電話029-861-2422、FAX029-861-2423

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