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2001年7月1日(2405号)


■極微量物質の計量需要対応の改正計量法を公布(6月20日)

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計量単位の追加、計量証明書の規定整備や認定制(特定計量証明事業)
導入など計量証明事業制度を整備
施行は1年以内に、細目は政令等で具体化
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 環境保全の観点などから需要が増えているダイオキシンなど極微量の物質の計量証明等が適正に実施できる制度を構築することを目的とした、計量法の一部を改正する法律(第54号)が5月25日衆議院で可決成立し、6月20日付で公布された。本法は公布後1年以内に政令で定める日から施行される。細目は政令等で定められることになる。

 改正内容の概要は次のとおり。

  1. 計量単位として、質量一兆分率(ppt)、質量千兆分率(ppq)等を追加した。
  2. 計量証明の事業の登録に関する基準を追加した。都道府県知事への登録要件(現在は計量器と計量士のみ)として、事業者の計量証明システム全体の工程管理が適切に行われていることについて、大臣(独立行政法人「製品評価技術基盤機構」)又は指定民間機関(特定計量証明認定機関)の認定を受けていることを新たに追加した。
  3. 計量証明書の交付に関する規定を整備した。計量証明事業者が計量証明をおこなったときは、経済産業省で定める事項を記載し、経済産業省令で定める標章付の証明書を発行できるようにした。
  4. 計量証明事業者の登録の取消し等の規定を整備した。計量証明の事業について不正の行為をした場合を、計量証明事業者の登録の取消し等の要件として追加した。
  5. 特定計量証明事業の認定の規定を設けた。極めて微量の物象の状態の量の計量証明を行うために高度の技術を必要とするものとして政令で定める事業を「特定計量証明事業」と規定し、特定計量証明事業を行おうとする事業者は、経済産業大臣また経済産業大臣が指定する者(特定計量証明認定機関)の認定を受けることができることにした。認定を受けた事業者を「認定特定計量証明事業者」という。
  6. 特定計量証明認定機関を設け、指定の要件等を規定した。
  7. 独立行政法人製品評価技術基盤機構が処理する事務を規定した。経済産業大臣が独立行政法人製品評価技術基盤機構におこなわせる事務として、特定計量証明事業の認定に関する事務等を追加した。
  8. この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することと規定した。
  9. 新法の規定は施行5年後に見直すことにしている。
     「計量法の一部を改正する法律」は、昨年12月13日開催の計量行政審議会の答申を受けて政府が法律案を策定した。本年2月23日に閣議決定し、3月1日に国会(参議院)へ提出した。国会では参議院から審議され、5月25日参議院で可決、6月14日衆議院で可決され成立した。6月20日付で公布。

 環境問題などの高まりでダイオキシンなどの一兆分の一レベルの計量証明に対する需要が増大しているが、現行の計量法の計量証明事業者登録制度の適応対象は濃度では大気、水、土壌中の濃度に限定されている。しかし、現行法の対象外の製造工程中や血液中、室内等の物質濃度に関しても計量証明が求められるケースが増えている。また特に濃度の計量証明事業では現地作業、分析、計量証明の各工程の分業形態が進行しており、事業者の形態も現行制度制定時(1974年)とは大きく異なっている。極微量物質の計量では、従来規定している計量器と計量士の確認に加え、新たにシステム全体にわたる工程管理が適切に実施されていることの確認が必要になってきている。昨年のダイオキシン法の施行とも関連して計量法の関連規定は見直しを迫られていた。

 政府は、計量法に必要な計量単位を追加するとともに高度の技術を必要とする当該物象の状態の量の計量証明の事業について認定制度(特定計量証明事業)を導入することにした。また従来の計量証明書の記載の不統一を是正。計量証明書を法律上位置付けて記載すべき事項を明確化した。

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