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2001年3月18日(2392号)


計量法トレーサビリティ制度改正の計量法、4月1日施行-JCSS認定事業者の階層化で現場で使う計測器の校正に対応-

 基準・認証一括法(1999年8月6日公布)で計量法トレーサビリティ制度関連部分を改正した計量法が4月1日から施行される。計量法トレーサビリティ制度の校正サービス事業者(JCSS認定事業者)の認定要件が特定2次標準器の所有を条件としないなど緩和され、事業者が実施する校正の範囲も参照標準レベルから現場計測器レベルまで拡大されて校正事業が階層化される。現行の国家計量標準(特定標準器)から直接校正された標準器(特定2次標準器)を用いて校正した計量器だけでなく、国家計量標準から段階的に校正された計量器にもJCSS標章付証明書が発行できることになる。QS9000の要求事項など産業界での現場レベルの計量器の校正ニーズの高まりに応えたもの。認定業務を担当する経済産業省製品評価技術センターも、4月から独立行政法人製品評価技術基盤機構として新発足する。

 計量法の制度上に構築されている計量標準供給制度は、先端技術分野における生産管理や適合性評価分野における計量計測の信頼性付与といった高精度の計量に対応することを目的に、計量計測器に対し、国内において最上位の計量標準(国家計量標準)を基準とした校正を行い、それとのつながりで計量器の精度(不確かさ)を対外的に証明するものであり、計量法トレーサビリティ制度あるいはJCSS認定事業者制度といわれている。校正実施機関(認定事業者)は、計量法、関連法規及びISO/IECガイド25(校正機関及び試験所の能力に関する一般要求事項)の要求事項に基づいて審査され、経済産業大臣により認定された分野における計量器の校正等の事業を行うこととなる。ガイド25の改正版が、2000年6月20日にJISQ17025として制定された。2000年10月からISO/IECガイド17025での受付が始まっている。

 現行計量法では、認定された校正サービス事業者(JCSS認定事業者)は、特定標準器等により校正された計量器(特定2次標準器)を用いて校正を行った計量器に対してだけ、JCSS標章付き校正証明書を発行することができる。認定事業者は、対象機種が限られニーズが少ないなかで、高いレベルの参照標準を維持するために高い技術力とコストを要求されるという不都合が生じていた。近年の試験所認定制度の普及やQS9000等の校正に関する要求事項からも、現場の計量器レベルでの校正二ーズが増大している。

 今回の計量法の改正はこれらの問題点を解消しようとしたもので、特定2次標準器やそのワーキングスタンダードに連鎖して校正された計量器についても認定の対象範囲に入れ、現場で使用する計測器についてもJCSS標章付き校正証明書を発行することができるようになった。測定のトレーサビリティの階層の上位だけでなく下位の校正サービスも認定できることになったわけである(図参照)。改正計量法は、4月1日に施行される。

 階層性導入時に予定している認定校正の対象計量器は、長さ(ノギス、マイクロメータ、ダイヤルゲージ等各種長さ測定器類)、質量(はかり)、力(一軸試験機)、電気(電気計測器類<CODE NUM=032D>デジタルマルチメータ等<CODE NUM=032E>)、圧力(デジタル圧力計)、

温度(熱電対)など。これ以外の校正対象も順次範囲が拡大されていく。

(製品評価技術センター)JCSS階層化の説明会を全国8カ所で開催

 現行計量法では、認定事業者は、特定標準器等により校正された計量器(特定二次標準器)を用いて校正を行った計量器に対してのみ、JCSS標章付き校正証明書を発行することができます。しかしながら、現行認定事業者には、その狭い認定範囲に対して、国家計量標準に近いレベルの参照標準を維持するために高い技術力とコストが必要であるというデメリットがありました。また、近年のJNLA、JAB等の試験所認定制度の普及やQS9000の新要求事項の適用からも、現場の試験機レベルまでの校正二ーズが増大してきました。

 これらの問題点を解消するべく、計量法の改正を行い、特定2次標準器やそのワーキングスタンダードに連鎖して校正された計量器についても認定の対象範囲に入れ、現場で使用する計測器についてもJCSS標章付き校正証明書を発行することができるようにしました。つまり、測定のトレーサビリティの階層の上位だけでなく下位の校正サービスも認定できることになり、この新スキームを略して「JCSS階層化」と呼んでいます。このスキームは、本年4月1日の改正法施行と同時に発足します。

 JCSSでは、現行の認定申請手続きについては「計量法校正事業者認定制度認定の取得と維持のための手引き」(以下、「手引き」という。)を公表・配布しています。現在、「階層化」に向けて省令、告示、通達の改正作業中のため、これらに関係する部分が若干変更になるかも知れませんが、平成13年4月1日以降もご提出いただく申請書類についての基本的な考え方に大きな変更はありません。しかしながら、4月に向けて階層化対応の新規申請を準備されている方も多くおられますので、スムーズな申請をしていただくためにも、本日は申請手続きに必要な書類、申請書、変更届、申請料及び申請書記載上のポイントについて現行との変更点を含めてご説明します。

1、申請
(1)申請書(施行規則91条)
▽様式81=@収入印紙欄の削除、A経済産業大臣あて→製品評価技術基盤機構理事長あて、B「1、認定を受けようとする事業の区分及び範囲」→「認定を受けようとする事業の種類、校正範囲及び最高測定能力」
※変更届、年度報告等の様式も同様に機構理事長あてとなる。

(2)
▽申請料=現行どおり(改訂について検討中)。納入は収入印紙ではなく、現金又は銀行振込み
▽申請窓口=本所はどこからも受け付ける。地方は管轄区域。

2、申請書の添付書類
 現行手引きとほぼ同様だが、下記のものが必要。
▽JCSS標章付き校正証明書が付いている参照標準の保有を証明する書面=JCSS校正証明書の写し、それに関連するトレーサビリティ体系図
※その他、17025確認用チェックリストにて要求事項を満たしているか否かを自己チュックして戴きたい。

3、申請から認定
 詳細は、手引きを読んで戴きたい。申請受理後は、
@審査チーム編成、A書類審査、B現地審査、C認定の評定という順序で進められます。

 Aの書類審査は、品質システム文書、校正方法、不確かさの見積もり方法等に不備がある場合は、改善を要求します。Bの現地審査の際に不適合が発見された場合においても、30日以内に改善の報告を求めます。30日以内に改善をしていただくということは、不適合が発見されたが、軽微なものであるのでその程度の日数で措置がとれるだろうということです。逆にいえばそれ以上の改善をしなければならないのは認定の要求事項を満たしていないと判断されることもあり得ます。

4、要求事項の変更
(1)手引き第4章 認定事業者の権利と義務で説明していますが、ガイド25やISO/IEC17025の要求事項のうち、現行のJCSSでは
@計量仕様への適合性を認めていない、A認定された業務の下請負を認めない、となっています。
4月1日以降はこれらについて認めていくこととなります。JCSSは、測定の結果と不確かさの表記は義務づけており、その後に括弧書きで仕様適合性の表明をしても良いとします。ただし、それはJIS規格全体に対しての適合性ではなく特定の計量仕様に対するものであることをご理解ください。認定事業者の権利と義務のところでも要求しているように、JCSSは製品認証制度ではありませんので、それと紛らわしい表明をしてはいけないからです。例えば、JIS規格でJIS1級といった場合、その規格で定めた性能を含む製品そのものが適合していることになるが、JCSS校正証明書にはそのうちの「計量仕様」、例えば「器差」について「JIS1級に適合」であることのみを記載してもよいことにする、というものです。
測定結果10・001mm(器差はJIS1級に適合)

 要求事項が変更になる点の具体的な内容については、一般的要求事項適用方針(案)をホームページで公開しておりますので詳細はそちらを見てください。

5、認定審査上のポイント
 JCSSの認定要求事項は、計量法とJISQ17025(ISO/IEC17025)であり、このうち17025は
@管理システム要求事項、A技術的要求事項、という構成となっています。
認定申請をする上で特に注意を払っていただきたいのは、技術的要求事項です。JCSS認定制度がISO9000認証制度と大きく異なる点は、校正の技術能力があるかどうかが審査の主な対象となることです。具体的には、申請範囲の校正サービスに対して、校正方法、校正手順、不確かさの見積もりが適切になされているかどうか、職員がそれらを理解して校正を実施できているかを審査します。書類審査で書面上の適合性が確認された後、現地審査で実際に校正を行ってもらうことで校正方法や手順及び不確かさの算出を確認し、その技術能力が審査されます。その点が、ISO9000認証に対し、JCSS認定といわれる所以です。技術的要求事項上のポイントは次のようなことです。

@不確かさの見積もり
 不確かさとは、校正サービスの技術的品質がどのような水準のものかを示す指標です。事業者自身の校正サービスについて、その作業者、参照標準や校正機器、校正環境、校正原理・方法等を考慮した技術的データを根拠として推定されるものでなくてはなりません。

 不確かさについては見積もり事例集等の指針文書を公表しますが、これらをデータも含めて丸写ししたものや、単にバジェット表をつけて規程上の体裁が整っているというだけでは要求事項を満足したとは認められません。現地審査において、技術管理者及び校正従事者に対して規定された内容が技術的根拠やデータに裏打ちされたものであるかどうか等の確認を行います。
(つづく)

A模擬校正
6、技能試験
7,13年度に新たに供給が予定されているもの
8,不確かさに関する文献等

は次号以下に掲載します。(編集部)

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