米国経済再建に大きく貢献した品質工学に注目が

田口玄一氏が米国で自動車殿堂入り

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(日本計量新報98年2月1日号)

 今品質工学が注目されている。品質工学は田口玄一氏(理学博士)が提唱した品質とコストの改善をおこなう技術体系で応用範囲が広いのが特徴。海外ではタグチメソッドと呼ばれており、製品やシステムの機能性を使用者の立場に立って評価するものさしである。従来の技術開発の手法にはない使用者の立場に立って評価するという発想の転換が必要なことと用語が独自な部分もあって普及はまだこれからという面はあるが、一月二十七日には田口玄一氏が、視聴者が多い朝の時間帯のNHKニュース番組「おはよう日本」に出演して品質工学を解説した。品質工学がお茶の間に登場したのである。

 田口玄一氏のNHK出演の直接のきっかけは博士が米国自動車殿堂入り(別項参照)したことであるが、品質工学はタグチメソッドとして海外では早くから注目され、効率よく技術開発をおこなう新しい方法として米国企業再生の決定力の一つとなった。殿堂入りはこれが評価された結果といえる。

 田口氏は、品質を損失ととらえる品質工学は故障や誤りの改善が重要であるあらゆる分野に応用できるという。また、二十一世紀につながる現在進行中の第二次産業革命というべき情報処理の分野は、予測や高度の判断を中心とするものであり、この分野でも品質工学を使っての技術開発が期待されている。

 品質工学は日本ではまだまだ普及度は低いが、矢野宏氏(工学博士)らが新たな発想で研究事例を積み重ねてきており、「技術に求められる課題を一挙に解決し、開発研究の時間とコストを削減する」技術的方法論としての品質工学を採用する企業や研究機関が増えつつある。原和彦氏は従来の品質管理を「健康診断」に例えるなら品質工学は「病気の予防や早期治療」であり、市場における品質トラブルを未然に防止するという。

 現在、技術の評価方法としての品質工学を国際規格として提案するプロジェクト「品質工学による最適化設計・評価技術」が進行中であり目が離せない。

田口玄一氏の米国自動車殿堂入り−受賞記念講演会・祝賀会開く

 本紙既報のように、田口玄一氏が日本人として三人目の米国自動車殿堂入りしたのを記念した講演会と祝賀会が、九七年十二月九日、東京ヒルトンホテルで開かれた。田口氏の記念講演は「二十一世紀の品質工学の技術」。  九七年十月十四日に米国自動車業界から、これまでの米国自動車業界への品質工学の普及・貢献に対して表彰され、米国自動車殿堂入りした。品質工学が今日の米国経済の好調の一端を担った。

 米国自動車殿堂は、米国自動車産業の発展のみならず、米国経済・社会に貢献 した人を表彰しているもので、フォード自動車の創業者・故ヘンリー・フォード、 クライスラーの元会長・リー・アイアコッカーらが殿堂入りしており、日本人では、故本田宗一郎・元本田技研工業社長、豊田英二・トヨタ自動車名誉会長に 次いで、田口玄一氏は三人目の殿堂入りとなる。

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