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第191回NMS研究会報告(2014年1月)

(3016号/2014年7月6日掲載)

(株)小松製作所 細井光夫

 2014年1月11日(土)、品質工学会会議室で、第191回NMS研究会が開催された。

1、「トヨタ自動車と議論してきたことへのお返しとして」(応用計測研究所(株)、矢野宏(以下、主宰))

 トヨタの一部の人の危機感「このままではまずい」に呼応した主宰がトヨタで講演した。
 トヨタの計測システムを構築した川島は、「計測は良品を生みだす原動力で、工程に密着した計測管理でなければならない」と言った。トヨタ生産システムに品質工学を適用した松原は、「ホワイトカラーの仕事は、問題なく容易に作業ができる工程を設計することである」と言った。加工組付要素生技部長の小坂は、エンジンを着火させずに機能評価する方法を確立した。先人と比較して、今のトヨタには強い気風が感じられなくなった。
「発生した問題を解決する。品質特性で改善する。現象解明や因果関係にこだわる」のは誤りである。品質工学では、「問題解決をしない。品質特性を使わない。ばらつきの現象解明をしない。かくれた働きがある」と考えるなどが語られた。

2、「品質工学の手法における納得性の研究 第一報から第二報へ」(日精樹脂工業(株)、常田聡)

 常田の5つの論文を対象にしたアンケート(12項目は評価者情報、15項目は論文の評価情報)を集計して、誤圧の距離を求めた。論文No.4が均一な評価だったので、単位空間にして項目診断をしたところ、納得性の高低と評価者情報に関係があった。社内の納得性を得られるようにしたいので、第一報で納得性に影響があった項目を抽出して、社内向けのアンケートを作成した。
 主宰から、評価者の力量の話をする前に個々の論文を評価する、論文の平均ではなく論文ごとに見た方がよい、処理する項目数は増えるが項目間の差を項目に追加する、対象論文を変えてアンケートを取る、大会発表のパワーポイントも提示する、などのアドバイスがあった。

3、「脂肪酸にアルカリを加えた鹸化反応」(ヱスケー石鹸(株)、秋元美由紀)

 脂肪酸にアルカリを混ぜて中和反応の進展の働きを攪拌の動粘度(温度で変わる)で計測するという案に対して、出力を電力(トルク)にする。時間とアルカリ濃度の2信号にする。時間を標示因子にして最後にチューニングするアドバイスがあった。場所(上と下)、信号(時間と濃度)の間の交互作用、脂肪酸の純度を誤差因子にする。実機のサイズでも成り立たせるためには、コヨリやストローで混ぜる等、実験室での実験に工夫が必要である。制御因子をエネルギーの比例性で求めると加法性が出る。

4、「自動車乗り心地評価の現状と定量化活動に関して」(KYB(株)、満嶋弘二)

 パッシブショックアブソーバーの乗り味を、顧客の好みに合わせてチューニングする問題である。
 振動伝達特性ならば技術品質になるが、好みが含まれる乗り味(商品品質)をどうするのか、が問題となる。ショックアブソーバーの働きをエネルギー吸収とし、入力エネルギーに対する吸収エネルギーの比例性を検討し、技術品質が何か考える必要がある。
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