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計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事寄稿・エッセー(2017年一覧)>【切田篤】IEEEマイルストン

日本計量新報 2017年8月13日 (3160号)6面掲載

IEEEマイルストン

日本計量史学会理事 切田篤

切田篤今年の春の講演会で、松本榮壽さんから「電気計器ウェストンとIEEEマイルストン」のご講演があった。僕にとってはウェストンという電気計器にはなじみがないし、IEEEマイルストンというのも、何のことか判らなかった。

 早速、「IEEEマイルストン」を検索して、wikiの受賞一覧を見つけた。「2007年11月現在で96件が認定されている。」とある。これは大変だ。

 最後まで受賞項目を調べたが、ウェストンは見つからない。逆からもう一度確認したのだが、どうしても見当たらないのである。どうやら、新しい受賞項目は、まだ更新されていないようだ。

 英語版の「List of IEEE milestone」を調べてみた。1800年以前、1800‐1850年、と順に見ていくとWeston Meters!見つかった!2016年9月23日の受賞とある。

 エジソンが電力供給を開始した頃は、電気を定量的に測ることができなかったので、ランプの数で料金を徴収していたそうだ。ウェストンが、磁石とコイルを使ったメーターを発明し、電圧と電流が何時でも何処でも測れるようになり、初めて電力量として社会に認識されたのである。

 先日、母の通院に付き添い、三鷹まで出かけた。僕は小学校1年生の10月に、目黒の学芸大学から三鷹へ引っ越してきた。半世紀以上前の事である。昔とはすっかり違う商店街を歩いていたら、テナントが出て空き家となったスペースに「天文★科学 情報スペース」と看板が出ている。立ち止まり見ていると、母が「行ってみる?」「そうだね」。

 どうやら大沢にある国立天文台の展示スペースのようである。三鷹市は「天文台のあるまち三鷹」を売り出そうとしているようだ。母は「私、天文台の直ぐ近くに住んでるんですよ!」と、説明員の方と親しげに話をしている。簡易プラネタリウムに頭を突っ込んでしばらく星を眺めているようだ。

 そこに、見慣れた「IEEEマイルストン」の表示が。野辺山にある45m電波望遠鏡が、IEEEマイルストンに選ばれました!受賞は2017年6月14日、ほやほやだった!!数々の成果の中でも、星間物質と、ブラックホールの観察が著名な功績とされている。

 パラボラアンテナというのは平行光線を一点に集めることができる。逆に言うと宇宙の一点から来る光線、電波を、周囲の雑音から浮かび上がらせることができるのである。そしてその直径が大きくなればなるほど、雑音が小さくなり、かすかな信号を浮かび上がらせることができるのである。45mということは、ほぼ学校のプールを持ち上げて、星に向けているということか?巨大である!

 野辺山には、幾つもの天体観測機器がある。アンテナを移動して、見かけの直径を大きくすることにより、分解能を上げることができるので、ミリ波干渉計の35tもある6台のアンテナを移動するレールが敷設されているが、現在はもう任務を終了し、南米チリにある、アルマ望遠鏡に技術が受け継がれているそうだ。

 その中で、45m電波望遠鏡は1982年の完成から30年以上、第一線で活躍しており、700tのアンテナを何億マイル先の宇宙へ向けている。

 リサ・ランドールは、著書『暗黒物質と恐竜(邦題:ダークマターと恐竜絶滅)』の中で、宇宙の果ては地球の歴史と密接な関係があることを証言している。マイルストンというのはそのはざまにある礎石なのであろう。

(掲載写真はすべて国立天文台の提供)


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