計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事計量関連機関 年頭所感(2015年一覧)>【経済産業省産業技術環境局計量行政室長】今の時代にふさわしい制度の見極めを

2015年 計量関係機関 年頭所感〈経済産業省〉

今の時代にふさわしい制度の見極めを

経済産業省産業技術環境局計量行政室長 三浦裕幸

三浦裕幸 2015年(平成27年)の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年は、アベノミクス第1の矢、第2の矢の効果により、経済の好循環の兆しが見え始め、この好循環を回していくための第3の矢である成長戦略として、まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げるなど、経済最優先でデフレ脱却を図るための各種取組がなされてきました。本年は全国津々浦々まで景気回復を届けるために引き続きアベノミクス各種の政策が実行される年となります。
 こうしたなか、昨年は計量行政室として次のような取組をおこなってまいりました。
 まず、計量標準、計量証明に係る業務を所管することになり、法定計量とともに計量行政を一元的に推進する体制を構築しました。
 次に、基準適合証印やいわゆる丸正マークが付されている特定計量器について、基準適合状況を確認するために実施した試買調査に関して、事業者における自主的な適正計量の確保に係る活動を促進するため、初めて調査結果を公表し、調査において不適合の疑いが確認された製品を扱う事業者に対しては、適切な是正措置等をおこなうよう指導いたしました。
 また、国際整合化の観点から特定計量器検定検査規則にJISを引用する取組を引き続き実施しており、非自動はかり、騒音計の他、計7器種について、改正作業に着手しました。本年4月の施行をめざして作業を継続しているところです。
 計量標準の分野では、昨年12月に、産業構造審議会産業技術環境分科会・日本工業標準調査会第6回知的基盤特別小委員会・知的基盤整備専門委員会が開催されました。同委員会での議論等を踏まえ、標準物資および物理標準の整備、JCSS制度やトレーサビリティのさらなる普及に引き続き取り組んでまいります。
 国際的な取組については、国際的な発言力の向上を図るべく、国際法定計量委員会(CIML)や国際度量衡総会(CGPM)等の国際会議に参画し、(独)産業技術総合研究所のご協力も得つつ、途上国の法定計量制度の整備支援に向けた道筋の開拓や国際単位の定義改訂に関する決議に対する意見出し等をおこないました。
 本年は、これまでの取組を引き続き実施するとともに、スマートメーターや水素ステーションといった新しい技術への対応を図るべく検討をおこなってまいります。業界団体においても計量法制度に関する各種勉強会が立ち上がっていると伺っておりますが、今後の計量制度を考えていくためにも共にさまざまな検討させて頂きたく存じます。
 また、毎年2月に全国の都道府県、特定市の行政機関職員が一同に介する全国計量行政会議を開催しておりますが、本年から同会議と各地区ブロックで開催されているブロック会議を結びつけるしくみを新しく導入します。これにより、各種会議のさらなる活性化および国と各自治体の連携の強化につながることを期待します。
 また、各自治体では、人材の確保や育成が大きな課題となっております。この点についても(独)産業技術総合研究所とともに教習のあり方を見直すなどの取組をおこなってまいります。
 私は昨年7月に着任いたしましたが、着任時のあいさつで、「計量制度は、長い歴史の上に成り立っている基盤制度であることから、大きな制度変更が頻繁にされるものではないと理解している」と申し上げました。他方、就任以来各地区の行政機関や計量協会でおこなわれる会議に可能な限り足を運び、さまざまな方と意見交換させて頂きましたが、大改正以来、20年経過した計量法について、「そろそろ見直す時期が来ている」との声も少なからず頂戴しているところです。
 計量制度は基盤であるがゆえにその実行は着実におこなわれる必要がありますが、同時に経済社会の変化およびニーズに適切かつ柔軟に対応する姿勢も重要であると認識しており、今の時代にどのような制度がふさわしいのかという点を良く見極めたうえで、今後の計量行政を運営してまいりたいと考えております。そのためにも、地方自治体、計量関係機関、計量団体などの方々とのこれまで以上の緊密な連携が必要となってまいります。引き続き、より良い計量制度を構築するためのご指導・ご鞭撻を賜りたく存じます。
 最後になりましたが、皆様方関係各位のご健勝とご活躍を祈念いたしまして、私の新年のごあいさつとさせていただきます。

↑ページtop
計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事計量関連機関 年頭所感(2015年一覧)>【経済産業省産業技術環境局計量行政室長】今の時代にふさわしい制度の見極めを