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  since 7/7/2002

 

横田 俊英       

私の初釣行はイワナ1尾にヤマメ4尾

はじめに

イワナやヤマメの渓流魚には釣って良い期間があってこれを漁期といいますが、この漁期は河川によってまちまちです。関東では3月1日の解禁が多いのですが、長野県の千曲川はそれより早いですし、同じ河川でも上流部では3月1日より遅れることがあります。
 私の今年のイワナとヤマメの渓流魚の釣行の最初は3月15日でした。
 出かけたのは富士山麓から流れ出す相模川の上流部の桂川です。相模川手をぐるりと回したときにできる扇状の上流部を持ちます。左から道志川、桂川、笹子川、葛野川などのなのある河川が上流部を構成します。桂川は富士山麓の山中湖などを水源にします。笹子川は甲府盆地とを分ける笹子峠から流れ出します。

初釣行は桂川に出向きました

初釣行は桂川に出向きました。中央本線の大月で枝分かれして、私鉄の富士急河口湖線となって走っておりますが、この私鉄の十日市場駅のあたり、鹿留川と桂川の合流点付近に出かけました。解禁当初のイワナやヤマメは川幅が狭まって深い流れが形成される場所に居着いております。束になっていることが多いので、釣り人はそうした場所をわれ先にと確保します。2つ3つのグループが陣取れば一人で明け方に駆けつけた釣り人の入る場所はありません。

皆、興奮し緊張して次々に渓魚を釣り上げます

案の定、川岸ではいくつかのグループがたき火をして夜明けを待っておりました。私も夜が明ける前に川に着いておりましたこうしたグループの迫力に気圧されて釣場に降りる気が失せてしまいました。それで私は観戦に回ることにしました。夜が明ける寸前にはヘッドランプの明かりを頼りに釣り糸を垂れる人が何人か現れました。夜が白んで釣り糸の先の目印が何とか見えるようになると大勢の釣り人が一斉に竿を出します。川の両岸から釣り竿が差し出されるので釣り糸が交差し、お祭りといって二人の釣り糸が絡むトラブルがあちこちで発生します。皆、興奮し緊張して次々に渓魚を釣り上げます。半年の間の禁漁期に竿が入らなかった河川の魚は釣り針を知りませんから無警戒で釣り餌に飛びつくのです。午前5時半前から始まった解禁日の釣は午前10時になる終わりです。太陽が川面を照らすようになるとウブな渓魚も釣り餌に反応しなくなるからです。平均して25cmほどの大きさのイワナとヤマメを20尾ほど手にした釣り人は満足したようでした。解禁日の釣れる釣り場というのはこうしたものです。翌日になると釣果は10分の1になり1週間後には20分の1になってしまいます。だから解禁日の大釣りを楽しもうと釣り人の目が三角につり上がるのです。

出遅れた私に魚は釣れませんでした

大勢の釣り人の竿が次々に大きくしなり獲物を手にしている様子をジッとして見ていられるものではありません。しかし、釣るための場所がないのですから地団駄分での釣の様子の見物ということになります。
 午前10時過ぎて皆が釣を止めた後に私もその場所で竿を出しました。大きな魚が針がかりしたので、嬉しくなって少し遊ばせていたら釣り糸が切れてフッと竿のしなりがなくなりました。忙しさにかまけて糸のついた釣り針を買って使っていたのでした。魚信はこれっきりでした。この場所では粘っても魚は釣れません。名古屋ナンバーの四駆にフライフィッシングの出で立ちで戻ってくる人が居ました。フライロッドを振る場所はなかったはずです。

解禁日に一尾の渓魚姿を見ないというのは寂しい

場所を変わることにしました。2週間前に解禁された大月市の笹子川に移動して釣ることにしたのです。大月市の国道20号線沿いの笹子トンネルの間近にある「笹一」というお造り酒屋のある付近の川に降りての釣です。解禁から2週間が経過した上、正午近くの釣りをする人はいません。渓流魚は朝まずめに釣るものです。しかし私はこの日、静かな川でゆっくりと釣をしたかったのです。管理釣場同じような状況下での釣は嫌だったのです。桂川で人より遅れて竿を出して釣れなかった私はそれはそれで良いとも思っておりました。しかし解禁日に一尾の渓魚姿を見ないというのは寂しいので何とかしたかったのです。

私は先ほど釣った4尾の渓魚を川に戻しました

笹子川は国道20号線沿いを流れる見かけのいい川ですが入川者が多いので数釣りを期待できないのです。しかし、この日は平日でもあるのでの午後の川には人はおりません。この日は午後5時半から都内で会合があるので私に許された釣りの時間は1時間ほどです。短い時間に効率よく釣るために浅場はすべて捨てて、深みのある流れにだけ釣り糸を垂れて釣り上がっていきます。どうでしょうか。魚はいるのでしょうか。不安もあります。見込み十分な深みに餌を入れたときです。流れに逆らって釣り糸が少し動きました。魚信だ。祈りを込めて竿を反応させます。ブルブルとい手応えがあって18cm級のヤマメが竿をしのらせました。感動の一尾です。同じようにして別の場所でヤマメが2尾追加されました。さらに上流に進んで岩陰に流れ込む深みに釣り糸を入れると目印がモゾモゾと動きました。よし、と竿を立てると21cmのイワナが掛かっていました。
 これで都合4尾、イワナとヤマメの姿を見たので満足です。ヤレヤレということで、岸辺に腰を下ろすと、先ほどは姿を見せなかった渓魚が浅場の平たい流れの川面をピョンピョンと何尾も跳ねているのです。渓魚の姿を見ようと形相を変えて釣っていた自分が哀れに思えてしまいました。静かな川には渓魚が静かに暮らしているのです。釣り人はそこに乱暴に踏み込んでいるのです。私は先ほど釣った都合4尾の渓魚を川に戻すことにしました。
 少しの合間を縫って釣り場から遠くない場所にある山梨県大和村の村営の温泉につかりながら、解禁当初とは違って暖かくなれば強い瀬やチャラチャラの流れにも渓魚は居着き、真昼でも何とか釣りになる5月から真夏過ぎまでの釣りに思いを馳せるのでした。

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