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日本計量新報の記事より 社説 2004/1−4

 

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社説・新時代の代理店会のあり方と田中衡機の決断 (04年4月25日号)
社説・お客様の欲求を智恵によって実現する (04年4月18日号)
社説・顧客の欲求を徹底的に満足させるウェブサイトの構築(04年4月11日号)
社説・新概念の計量器が登場し新市場を創造することは素晴らしい(04年4月4日号)
社説・毎日楽しめる『今日の計量新報ニュース』(04年3月28日号)
・社説・計量協会の社会的機能と岩手県計量協会の解散(04年3月21日号)
・社説・計量団体運営と会員への広報活動(04年3月14日号)
社説・計量計測情報が世界につながることの意味(04年3月7日号)
・社説・ビル・ゲイツほどにはインターネットには驚けない(04年2月 22日号)
社説・新しい常識は最初は一笑に付されることが多い(04年2月15日号)
・社説・物事の流行り廃れと計量器の変遷(04年2月8日号)
・社説・ゴールポスト死亡事件と問題解決システム(04年2月1日号)
社説・ユビキタスネットワーク時代と省庁統合(04年1月25日号)
・社説・計量関係の新年会とその主役と人が集う意味(04月1月18日号)
・社説・SARS対策としての放射温度計(04年1月11日号)
社説 ・計量管理と品質工学の融合と利用(04年1月1日号)


社説・新時代の代理店会のあり方と田中衡機の決断 (04年4月25日号)

 工業用のはかりを中心に各種はかりを製造販売する(株)田中衡機工業所(福山匡代表取締役社長)とその販売代理店等19社で構成する親睦組織の「タナカ会」(恵藤計器(株)恵藤太郎社長)が36年の歩みを刻んだのを契機に組織を解散した。

 田中衡機ではタナカ会解散は同社と代理店との交流の新時代に対応したあり方を模索するためだとしており、旧来の組織に代わるものとして今後は同社製品の製品説明会・研修会などを中心的な行事にして全国各地でこの種の催しを旺盛に実施していく考えである。したがってタナカ会の解散は次の発展のためのものであり、同社製品の販売店との交流を先に内容の行事を実施することでこれまで以上に強めていく。

 タナカ会の行事は関東地区を中心とする会員の親睦行事として新年懇親会、懇親旅行会、納涼大会など年間に3回実施されてきていた。会発足は1968年(昭和43年)4月でこの年の9月には田中衡機本社工場において工場見学会と研修会が実施された。その後は年間行事として関東地区の温泉地で1泊懇親旅行会を実施してきていた。また新年懇親会および納涼大会などは、この会と組織構成員が重なる東京計量器卸商組合が同じような行事を実施するようになったため、タナカ会独自の催しとしての意義が薄らいでいた。

 代理店会の形式をとっていたタナカ会であるが、会の発足は自然なものでメーカーと販売代理店との交流をもっと強めようということで、(株)藤本商店前社長の藤本政雄氏が積極的に行動してこの組織を作り上げてしまった。時代が旅行ブームであったことから観光地巡りの懇親1泊旅行を内容とした総会を実施していた。代理店の跡継ぎはこの旅行に参加することが業界への顔見せ行事となっており、タナカ会の集まりを通じて仕事を覚えるという一面もあった。宴会慣れもこの行事を通じてということもあったようで、タナカ会への顔見せは2代目、3代目経営者の登竜門ともなっていた。

 はかり業界におけるメーカーと販売代理店との関係のあり方の一つとしての代理店会に、親睦を主な内容として運営されてきたタナカ会は他のメーカーにも注目されて似たような組織ができていたが、タナカ会ほど長い年月にわたって上手く運営されてきた事例はない。販売代理店会は旧来の組織形態での運営が困難になってきているため、そのいくつかがこのところ相次いで解散していた。

 日本のはかり産業は成長期からバブル経済の崩壊とともに後退期に至り、現在は後退期からどのようにして這い上がるかを懸命に模索している状態である。はかり産業の製造出荷額は内外のメーカーの総額はせいぜい1000億円程である。このほかにはかりのメンテナンスなどでの売り上げが20%以上はあるものと推計されており、はかり販売事業者の中には、メンテナンス事業の売り上げによって経営安定につなげているところが多くなっている。

 はかり産業の売り上げ停滞減少の反面、はかりを元にして発展してきた企業のうち幾つかははかり以外の部門の事業を大きく拡張しており、こうした企業のはかりが占める割合が10%程度という事例も見られる。はかり産業は停滞していてもはかり企業は内容を変えて大きく前進という事例が多いことから、旧来の産業の土俵にのみ拘泥することの危険性が指摘される。縮小していたはかり産業の中にあって事業閉鎖をした中堅企業がこの数年で数社あったほか、倒産によって企業の生命が尽きた企業が同じほどの数あった。統計数字ではともに10社を超えており、停滞する産業下での企業経営のあり方が問われている。

 36年続けたタナカ会をあえて解散して、メーカーと販売店の新しいあり方を模索する(株)田中衡機工業所は創業101年目を迎えており、100周年の節目の年には新潟県三条市にあった本社工場を同県南蒲原郡栄町に全面的に移転して、上越新幹線車内から一望できる新鋭工場を稼働させている。100周年を機に同社は製造部門および販売部門とも強化している。製造部門では新鋭工場を建設・稼働させ、電子部門のほか機械式はかり製造に関しても設備と体制を強化している。販売面でも福山匡代表取締役社長の陣頭指揮のもと体制を一新し、人員の補強を行っている。

 田中衡機工業所が生まれ育った三条市は燕市とともに金物の産地であり、ここからは製造業、流通業など全国展開する有名企業が数多く生まれている。田中衡機もこうした企業文化を育成してきており、田中正佐久代表取締役相談役、田中悌司代表取締役会長のオーナーと、昨年9月に社長に就任した生え抜きの経営者福山匡代表取締役社長の強固な連携によって新たな発展を期する。

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社説・ お客様の欲求を智恵によって実現する (04年4月18日号)

 計量計測機器は時代の技術と知識を総結集して形成される。とくに計量器が貨幣制度との関わりのなかで貨幣の質量を計測する、あるいは納税のための(徴税でもある)計量という特別な目的から解き放されたときに、それは生産財であったり直接的な生活の利便のための道具となる。

 そもそも計量は貨幣と結びついてだけ存在したのではない。貨幣以前に計量技術は存在したのである。人は文字を発明する以前に意味のある記号として数字を取り扱っていたことが牛骨に刻んだ月の運行に見合う線によって明らかにされている。古代エジプトの農業技術はナイル川の氾濫を予測するほどに発達し、ピラミッドの建築には数学と結びついた計量技術を確立していた。貨幣が貝であったり、加工した巨石であった時代にはそれと関連する質量計測など必要なかった。

 しかしアダム・スミスは「諸国民の富」(国富論)のなかで金が貨幣になることの必然を解き、その論理展開において貨幣とその質量のことを執拗に繰り返しているので、スミス(国富論)の読者は、つい「計量制度は貨幣制度とともに」と結論付けて、社会の重要な基盤的制度であることを強調することになったのであろう。それは国家が一元的に制定して統一的に運用するものであることも間違いないことであり、確かに中国の初代王朝の秦の始皇帝は国家統一とともに諸国まちまちの計量制度を一つの体系に統一した。国家の計量制度制定とその運用にからむ一つの真理である「計量制度は貨幣制度とともに」をもって、計量器と計量技術のすべてを規定してしまうことは間違いである。それは国家が制定する計量制度に限っての真理である。計量制度の意味するものを軽んずる意図はないが、計量制度の性質を強調することによって、計量というものが保有している技術的側面での真理が隠れてしまうことへの警鐘として、このことを取り上げた。

 ある計装技術メーカーが「クリエイティブ・ソリューション・トゲザー」を企業タイトルとして掲げだした。企業工場などにおける課題解決を一緒に成し遂げましょう、という問いかけであり、そうした技術を提供している。この企業は海外の工場の設備と運転の管理をインターネットと無線電話などを利用して行う技術をつくりあげている。別の企業は商店の商品管理を電子棚札で行う技術をつくりだした。また他の企業は人の健康要素を測定して、健康増進に利用する測定器をつくりだしている。

 コンピュータ技術が大きく発達してこの関連技術が計量計測機器と結びつくことで、これまでは簡単にできなかった新しい計量の仕事が行えるようになった事例は多く、今後このような形で実現する計量の仕事は数限りがない。お客様の課題解決、お客様の欲求実現をともに考えるという現場主義の徹底推進によって、そこから新しい計量の仕事が生み出される。お客様の求めに計測企業の智恵によって応え、欲求を満足させ、また課題を解決する智恵を持つことが重要である。コンピュータ関連の技術が急速に発達して、この方面と計測技術の融合こそが顧客欲求を解決する決め手になっている。コンピュータ技術は機械仕掛けでは費用が掛かりすぎたことを安価にかつ簡単にやってのけるだけではなく、これまでは不可能と思われていた様々なことを現実のものにすることができる。そこに働く大きな要素は人の知恵であり、企業の智恵であり、やろうとする意欲である。

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社説・顧客の欲求を徹底的に満足させるウェブサイトの構築 (04年4月11日号)

 インターネットは情報を即時的な通信によって伝える情報通信システムであり、その総体は人類の知識の保管庫になっている。このシステムがさらに発達すると解決したい課題を設定するとネットワークシステムが総合して稼働して対処するようになる。現代では課題解決システムが初歩的な状態であるため、このシステムを個別課題ごとに構築しておかなくてはならない。個別の課題解決システムは「ソリューション」と称しており、現在計量計測を含めて会計システムその他で様々なソリューションができており、商品としても販売されている。

 計量計測の情報を多面的に扱うのが日本計量新報社が運営するウェブサイト『計量計測データバンク』である。ここには計量計測に関する知識、技術、経済、ビジネスなどに関する情報のすべてを集積して、利用者の便益に供している。はかりに関しては知識、技術その他の情報をくまなく掲載しているものの、「はかり」のキーワードを入力して、使用分野を「店舗での計量販売」とした場合に、「検定付きが求められる」という条件まで提示するまでにいたっておらず、不完全なところがあり、この課題の解決に向けて努力が求められるが、コンピュータの性能の向上が自動的にこのことを解決することになる。インターネットの世界そのものが課題解決型のソリューションシステムになっていくことは明白である。

 現代の技術レベルのインターネットの世界において有効に機能している情報サービスシステムは、どこかに必ずソリューションシステムが組み込まれている。端切れの計量計測情報が列挙されているだけでは、訪問者を満足させることはできない。情報を求めての訪問者の意図を満足させるのは、その計量に関する単語もしくは熟語のキーワードそのものに対する明確な回答であるとともに、そこに付随する必要な関連情報が組み込まれていることである。辞書の単純な回答を超越する親切な回答こそが求められているのであり、インターネットの世界の発達によってこのことが実現することになるが、現在の段階でも親切精神(ビジネス精神でもある)を大いに発揮して訪問者の意図にかなう回答としての情報を用意しておかなくてはならない。

 何かが欲しくて訪問する者に対して手ぶらで帰してしまう不親切なウェブサイトは魅力がない。有効に機能するウェブサイトというのは必ずソリューションシステムがそこに仕組まれているものである。顧客あるいは訪問者に対する親切心・サービス精神こそがウェブサイト(インターネット上のホームページ)を有効なものにする。顧客の求め、要求を徹底的に満たそうとするときにその人が運営するウェブサイトが変化し向上する。

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社説・新概念の計量器が登場し新市場を創造することは素晴らしい(04年4月4日号)

 体重、体脂肪、内臓脂肪、基礎代謝量、筋肉量などカラダの組成を測り、測定データをパソコンに転送することができる体組成計が人気を呼んでいることが本紙の独自の調査によって明らかになった。
(株)タニタ(東京都板橋区前野町1・14・2、社長・谷田大輔)が、2004年3月10日に新発売したもので商品名は、「PC対応インナースキャン」で、機種番号:BC・500。主な特長はパソコンとつながるということで専用のUSBメモリカートリッジを用いて測定データをパソコンに送信できる。
データ管理がパソコンで簡単に行える。大衆向けの健康管理計量器がパソコンに簡単にデータを送って長期にわたって健康管理を行う時代に突入した。

  タニタ体組成計「PC対応インナースキャン」は、体組成計本体、専用USBメモリカートリッジ、専用アプリケーションソフトで構成される。専用USBメモリカートリッジは30日×4人分のデータを保存できる。体組成計本体では、体重(100g単位)、体脂肪率(0・1%単位)、内臓脂肪レベル(1〜59レベル)、筋肉量(100g単位)、基礎代謝量(0〜9999Kcal/日)を計測、表示する。
パソコン上では、上記の数値表と体重/体組成、体脂肪率/体脂肪量、内臓脂肪レベル、筋肉量、基礎代謝量/基礎代謝基準値/総消費エネルギーをグラフで表示。
グラフは、日/週平均/月平均/年間週平均で表示し、4人分のデータが登録できる。体組成計本体では体重単独でも測定できる。メーカー希望小売価格:2万円(税込2万1000円)で、価格には専用USBメモリカートリッジ、アプリケーションソフトを含む。発売直後ということもあって希望小売価格近傍で販売されており、出足好調。

 製品仕様を列記すると、色・柄シルバー、最大計量136Kg、最小表示0〜100Kgまで100g、100Kg〜136Kgまで200g、体脂肪率計測0・1%単位(5・0%〜75・0%)、本体表示=内臓脂肪レベル1〜59レベル、基礎代謝量0〜9999Kcal/日、筋肉量0〜100Kgまで100g、100Kg〜136Kgまで200g、過去データ各項目最大過去30日分、グラフ表示(アプリケーション)=体重/体組成、体脂肪率/体脂肪量、内臓脂肪レベル、筋肉量、基礎代謝量/基礎代謝基準値/総消費エネルギー(日/週平均/月平均/年間週平均でグラフ表示)、上面キー=設定キー/UP(ゲスト)キー/DOWN(過去データー)キー、内臓脂肪キー/筋肉キー/基礎代謝キー、フットキー=4キー/Weight&OFFキー、設定=日時年/月/日/時/分、年齢7〜99才(生年月日で設定)、性別女性/男性、身長100〜220cm(1cm単位)、表示方法=LCD文字高18mm、本体寸法(質量)=D294×W309×H56mm(約2・3Kg/電池・メモリカートリッジ含む)、電源=DC6V/最大60mA単3乾電池(R6)4本使用、材質=樹脂カバーABS、カバー・ベース鋼板・塗装、USBメモリABS、レンズAS、電極板スターライトエンボス、設定スイッチシリコンゴム、主な付属品=取扱説明書、保証書、健康小冊子、単3乾電池4本、体脂肪率判定シール、ベストウエイト健康サポートセット(案内1通・返信用封筒1通・チェックシート4枚)。

  人の健康状態をはかる方法として体温や血圧の値、体重を求めることはこれまでもよく行われてきたが、体重計の応用その他によって体脂肪、内臓脂肪、基礎代謝量、筋肉量などカラダの組成を測ることも当たり前のように行われるようになってきた。健康の状態をはかり、また健康な体をつくりあげていくために様々な健康にかかわる身体の要素を正確にはかろうとすることは人間の知恵であり、こうした知恵を形にしたのが健康関連計量器である。

 計った値をパソコンに取り込んで様々な管理に利用しようというのは、パソコンが普及した今日でこそ実現できたものであり、それは素晴らしい。この先にはこのデータを医療分野とインターネットで結んで健康の管理と増進につなげることであるが、この面に関しては技術的問題よりも医療に関する行政上の障壁があるので一気には進みにくい。

 それでも人には健康をはかり、その増進にいそしむ情熱があるから、便利に利用できる健康計測機器を購入する。新しい概念の計量器が登場して新しい市場を創造していくこともまた素晴らしいことである。

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社説・毎日楽しめる『今日の計量新報ニュース』(04年3月28日号)

 計量計測関係の出来事、話題、課題その他をすべて報道として取り扱うのが『日本計量新報』であり、関連する計量計測情報を集めた膨大な蓄積庫がインターネットを通じて提供する『計量計測データバンク』である。こうした情報活動は計量計測関係者の視点に立って行っており、必要な情報を個々人が集めるのを代行する行為でもある。

 計量計測関係の出来事は毎日また刻一刻と時を待たずに発生しているから、週一回の報道で読者の希望を十分に満たせるわけではない。毎日報道、号外的報道も掲載する場としてインターネット上のニュース番組として毎日更新して提供の『今日の計量新報ニュース』(別名『日刊 計量計測データバンク』)を稼働させている。この番組は無料で見ることができる。毎日更新されるニュースの分量はNHKの15分番組と同等程度であり、重要なニュースは「過去の『 今日の計量新報ニュース』」として しばらく掲載される。計量が好きな人は毎日でも計量のことが書かれたモノまたは報道に接したいものである。『今日の計量新報ニュース』はこうした希望を満たすことができる最適の読み物である。 2004年3月22日の『今日の計量新報ニュース』の内容は
@〈産総研〉生体組織を利用したバイオ光センサーの試作に世界で初めて成功・バイオ・電子工学分野への道を拓く
A〈三菱総研〉米国鉱工業生産(山田聡)
B〈日銀〉政策委員会議決事項 (2004年 2月議決分)
C〈帝国データバンク〉系列会社の倒産動向調査、Dアミノ酸・豆知識の5本である。

 また「しばらく掲載のニュース」の内容は
@〈産総研〉世界最高分解能の磁気力プローブ顕微鏡を開発・超高密度磁気記録研究開発が加速
A〈日科連〉PITTCON 2004 視察報告(pdf)
B特別シンポジウム 「新しいVOC(揮発性有機物)排出抑制制度と今後」(5月26日)(pdf)
C〈三菱総研〉稼働率・生産能力指数(1月)・稼働率上昇は幅広い業種へ拡大(淺岡均/大島一宏)
D〈日銀〉金融経済月報(基本的見解、 3月)
E〈日銀〉金融経済月報(全文、 3月)
F〈NITE〉事故情報の調査結果及び収集状況(平成15年度第3四半期)
G〈産総研〉バーチャルミュージアムを更新・18テーマ追加
H長野計器とオムロンが圧力センサ事業で業務提携(pdf)
I〈東京都〉住民基本台帳による東京都の世帯と人口(平成16年1月)
J肝臓病などである。 

  さらに同じく無料閲覧可能な「過去の『 今日の計量新報ニュース』」(2004年3月22日現在)の内容は
@〈厚労省〉介護保険制度について
A〈東京都〉中小企業景況調査1月分、〈東京都〉「労働力調査」15年平均東京都分集計
B〈産総研〉リナックスソフトの多言語化をオープンソースで実現・多言語対応を容易にし、言語による情報格差の解消へ・
C〈産総研〉AIST diamond workshop 2004
D〈日銀〉企業向けサービス価格指数(1月)、〈日銀〉営業毎旬報告(2月20日現在)
E〈三菱総研〉貿易統計(1月)・中国、欧州向け輸出は堅調を維持(淺岡均/大島一宏)
F〈三菱総研〉非製造業の設備投資における新たな動き
G第17回ESRI経済政策フォーラム「日本政府のガバナンス・予算の構造改革・」(2004年3月10日(水))(内閣府)
H〈帝国データバンク〉TDB景気動向調査・第16回発表
I「疲れ」はアレルギーの大敵
J〈月探査情報ステーション〉「マーズ・エクスプロレーション・ローバ」のトピックス、ギャラリー及びよくある質問と  回答(FAQ)更新
K特定計量器一覧(東京都計量検定所)
LJIS漢字コード表の改訂・168字を変更
M〈すばる望遠鏡〉宇宙の宝石箱・わい小不規則型銀河ろくぶんぎ座A
N〈国民生活センター〉回収・無償修理等のお知らせ(マキシアム・ジャパン/アサヒビール「リキュール(無償交換)」・李錦記/エスビー/ライオン「中華スープの素(代金返還)」)などである。他にも日本計量新報社のウェブサイト(インターネット上のホームページ)は無料閲覧できる大量の有益情報を掲載している。

 日本計量新報社の『今日の計量新報ニュース』(別名『日刊 計量計測データバンク』へのアクセス(URL)は http://www.keiryou-keisoku.co.jp/。検索エンジンを利用して「今日の計量新報ニュース」「計量計測データバンク」「日本計量新報」のキーワードを打ち込むことでアクセスできる。

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社説・計量協会の社会的機能と岩手県計量協会の解散(04年3月21日号)

 都道府県等地方の計量検定所と証紙販売などの業務分担のほか、計量意識の向上などの運動で共同行動するなど一体不可分の関係をつづけてきた地方の計量協会の一つである岩手県計量協会が2004年3月31日に解散する。

 計量協会は会員数の比率に占める割合が特別に高かった計量器販売事業者の退会が急激に進んでいる。血圧計ならびに体温計を販売するためにはかつては販売登録が求められたが、この方面の計量法の改正で販売にかかる規制が全廃された。また一般のはかりの販売も登録制であったものが届出制になり、登録制時代の再登録のために協会に依拠していた事務手続きなどの支援が不要となったことから、質量計販売届出事業者の退会傾向も血圧計ならびに体温計販売の事業者と同様の動きである。

 日本がメートル法を採用するまでには明治から昭和30年代まで長い期間を通じてのメートル法普及運動が行われてきており、計量協会はこの運動に計量行政機関と提携して熱心に参加して大きな成果を挙げてきた。メートル法普及のための街中の自動車パレードや駅頭での宣伝行動など、今では想像できにくいほどに旺盛な宣伝活動を行政機関と共同して行っていた。名古屋市で計量器販売店を営んできた金森直治氏は「当時親父は本当に熱心であった。そしてその運動も派手やかなものであった」と日本計量史学会の研究発表会で語っており、同じことが日本全国で行われた。そのようなメートル法運動の熱は今の計量協会にはない。メートル法が実施されたことによって注ぐ情熱の対象がなくなったことによる。メートル法普及運動は大変な文化運動であった。それは革命運動のときに起こる民衆と指導者の狂気のような情熱と同じ現象であり、革命が成就すると熱は徐々に冷めていく。日本のメートル法運動はメートル革命の成就によって目的を達成したこともあり、いま行われている計量運動は平時の穏やかな運動の観を呈する。

 解散する岩手県計量協会は、古くからの計量公務員と計量器製造ならびに販売事業者の情熱によって今日まで継続してきたが、こうした人々の引退などによる協会運営からの離脱によって事態に変化の兆しが見えていた。会員数の著しい減少と組織団体としての体をなしえない予算規模に苦しんできた計量協会に残された重要な社会機能は、はかりの定期検査を地方公共団体の指定を受けて実施する計量法が定める指定定期検査機関であるが、岩手県の場合にはこの方面の仕事は計量協会ではなく別の社団法人が実施しており、将来的にも変更はあり得ない状況にあった。

 善意ではあっても計量運動の主体性に乏しい会員を中心にする計量協会の運営は難しく苦しい。とくに県民等の計量意識の向上、適正計量の実施を通じての計量の公正さと安全の確保という、自治体との共同目標が何かの要因によって妨げられた場合には存立の基礎がゆらぐ。全国の計量協会の置かれた状況は会員数などでは岩手県と同様であるが、財政規模などは様々である。規模の大きさでは専任事務局員を10名以上の規模で置いて指定定期検査機関業務を実施している (社)東京都計量協会を頂点とする大規模協会、2名から6名規模の事務局員を配置する中規模協会、半専任の事務局員を配置するところなどの小規模協会がある。 

 会長ならびに役員の情熱に支えられて運営を続けていられる協会は多い。会長の意欲不足は協会活動にそのまま反映する状況であり、言ってみれば死に体が何とか支えられているのは会長と役員の情熱に負うところが多い。

 かげりが出た組織からは加速度的に会員が離散するものである。いまの計量協会の置かれた状況にふさわしい会長ならびに役員としての適格者は、何より計量が好きなこと、人のために思いをはせて働けることであり、会社の規模や格式などはその条件に含まれない。飾りのように据えられたと思われる会長がいる計量協会は元気がないし活動も活発ではない。また法律に違反したり社会的に問題のある行動をした法人の代表も会長としてふさわしくない。それは公正さを基本とする計量の基本任務と矛盾するからである。また、年老いてなお10年以上にわたって会長の任にある人を見かけるが、こうした人事が組織の停滞現象をもたらしている事例を見る。会長ならびに役員は次につづく人物を育てるのも重要な任務であり、これができない人はどんな事情があってもその職務には失格である。

 岩手県計量協会の解散にいたる同じ要因が他県の協会にも広がっている。協会なくして計量運動なしなのか、あるいは協会としての実体がなくなりつつあるなかでの心ある者によって計量運動を支え実施していくのか、極限状況に追い込まれている協会そして極限状況に追い込まれつつある協会は考えなくてはならない。協会には、はかりの検査業務実施可能な計量士有資格者がいるところが多いので、計量士を協会運営の中心に据えて新しい時代における進路を見いだしていくことも可能である。計量士が少なければ計量士育成の業務を協会事業として実施することである。計量法の重要な業務であるはかりの定期検査の実施に関して、計量士制度は適正計量管理事業所制度ならびに指定定期検査機関制度と絡んでも骨格的に重要な制度であるから、この制度を利用しながら計量協会の社会的機能を新たに創り出し、また発展させることが次世代ならびに未来を考える場合に重要なことである。

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社説・計量団体運営と会員への広報活動(04年3月14日号)

 日本には都道府県ごとに計量協会という組織が形成されていいる。協会の理念として掲げられているのが「計量思想の普及」であるのが一般的である。このために集合しているということはボランティア組織というものになるのだが、会員のうち昔から縁あって加入している薬局など血圧計および体温計販売の会員は、この2つの計量器の販売にかかる計量法の定めがなくなったことなどとあわせて、協会から得ることができる便益の極端な減少ということもあって退会するものが多い。

 計量協会の構成員は、販売事業者、製造修理事業者、適正計量管理事業者を含む計量管理に熱心な一般事業所、事業計量証明事業者、一般・環境計量士などである。 協会の構成員を列挙してみると理念は「計量思想の普及」ではあっても、実際業務として求められるのは各事業者への事業に関わる知識等の情報提供、事業者間の交流の場の提供などである。しかし計量協会としてこうした事業を実施するための専任の事務局を持たないところもあり、協会活動は年間を通じてもほんのわずかのことを行うだけというところも少なくない。

 会員への協会事業など日程のお知らせ、計量検定所など計量行政機関の諸業務とお知らせ、会員の消息、その他協会運営にかかるすべての事柄を、日本計量新報の見開き2ページの特別紙面「とうきょう特集」「特集神奈川」を通じて隔月あるいは年に数度全会員に届ける広報事業を行っているのが(社)東京都計量協会と(社)神奈川県計量協会である。この2つの協会はインターネットにウェブサイトを設けて、この紙面を掲載しているほか、ウェブサイト上で独自の広報活動を行っている。また(社)日本計量振興協会は同じような特集で、広報活動を行っている。

 広報の場としてウェブサイトを利用することは今の時代では当然のことであるが、会員がこれを利用する場合には受け身の姿勢が多いと機能しにくい。ウェブサイトは能動的な者には有効である。この点、電子メールはウェブサイトよりも働きかけが積極的である。新聞(書面・印刷物)、電子メール、ウェブサイトの総合活動を通じて会員に積極的に働きかけて会員利益を高めることが計量協会などの運営にとって大事なことである。

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社説・計量計測情報が世界につながることの意味(04年3月7日号)

 情報という言葉が現代人は大好きであるが、情報と口に出すとき多くの人々は情報の意味を知らないようだ。情報は本のなかにあると思うと書店に足を運ぶ。人によっては図書館に足を運ぶが、新しい経済情報あるいは経営情報を入手しようとすると大概は書店に足を運ぶ。その書店に果たして欲しい情報を載せた本が置いてるかというと、目的を達しないことが多い。それでも書店にはそれなりに手がかりになる本は置いてある。情報化社会だから情報が大事だと言う人は多いが、本当に大事なのは知識である。知識がない人にとぎれとぎれの情報を与えても、その意味を理解することができないであろう。

 情報化社会とは、見えにくかった或いは取得しにくかった知識が入手しやすくなるということでもある。書店においてある図書の多くは一般性のあるものであり、ここで計量計測あるいはその他専門性の高い図書を見つけることは困難である。限られた売り場面積で最大の販売効率を上げるには汎用性の高い図書を配置することになる。社会の基本となる知識や娯楽に関することなどよく売れる本だけが一般書店に置かれる。人間の身体機能を解き明かそうとすると、骨と筋肉と内臓と神経と脳だけでは不十分である。細胞や血液そして免疫作用さらにDNAなどと突き進んでいくとこれだけでも一般書店の書架を塞いでしまうことであろう。計量計測の技術そして法令、さらに歴史ということで文献を並べたらこれに同じである。

 人間のさまざまな営みを解き明かしたり、営みに必要な情報は無限にあると言ってよい。文字のない時代、印刷技術のない時代の情報との蓄積と保存は口伝や絵等に頼るしかなかった。文字が発明され、印刷技術が発明され、情報の伝達手段としての交通が発達するごとに、人類は知識を大量に蓄積し、素早く伝達してきた。記憶器械としてのコンピュータは記憶容量を本に換算すると何百万冊のオーダーで達成しており、情報の伝達に関しても瞬時性を獲得している。1台で何百万冊と同じ記憶容量のコンピュータが無制限につながったワールド・ワイド・ウエブ(インターネット)上には、人類の知識の総合が盛り込まれている。

 計量計測という人の注意を引くことが少ない知識や計量器という商品そのものもの情報が、インターネットの世界を通じて、どんな人にも利用可能な状態が築かれている。インターネットを通じて計量計測に関する情報が世界につながり、利用者につながり、人々につながるようになった。これは大変なことであり、夢のようなことであるから、情報革命でもある。計量計測の情報革命を利用する人とそれを利用できない人との間にはさまざまな格差が生じてくることであろう。

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社説・ビル・ゲイツほどにはインターネットには驚けない(04年2月 22日号)

 マイクロソフトのビル・ゲイツはつねに先のことを考えている人間である。ビル・ゲイツはこの次に起こることを賢明に探っており、そのために行動している人間である。この人が著す本に書かれている未来の予測は大概その方向で実現する。未来を予測するために自ら考え、求められる方面の人々の意見を聞き全体をつかんでいく。急激な変化がつづく時代だからこそ未来を予測して事業を定めなくてはならない。

 そのビル・ゲイツの言っていることであるが、10年先に起こることに対してはゆっくり対応し、2年先に起こることに対しては賢明に対応するということである。10年先に起こることには不確実性がつきまとうが、2年先のことはなすべきことがほとんど明確であるから全力を投入しても無駄になることは少ない。

 未来予測の天才であるビル・ゲイツであってもインターネットの進展の速度に関しては一時見通しを誤った。
この人がインターネットの可能性とその革命の胎動を知ったのは1993年4月のことである。米国防省が始めたインターネットが学者や科学者の間でこのころ人気になっているのを休暇中に資料閲覧していて気づいた。インターネットのワールド・ワイド・ウエブの双方向性の便利さに痺れている彼らの状態を知って、マイクロソフトのこの方面への対応力の不足を感じたのである。
ビル・ゲイツにして、その以前の10年以上も前から動き出していたインターネットの普及が急速に始まることを予測し得なかったのである。マイクロソフト社内では、インターネットの可能性を指摘する文書が幾つも出ていたのだが、ビル・ゲイツはその文書を無視していた。
休暇中の自由な時間の読書環境にあってゆとりある心には、進展中のインターネットの意味が素直に理解されたのである。事態に気づいたビル・ゲイツは巻き返しを図るための体制を築き、翌年にはインターネット関係の重要なソフトウエアを45日で作り上げた。
ウインドウズ95はインターネット対応緊急作戦を通じて生まれてきた基本ソフトであり、これによってインターネット普及にさらに弾みがついた。 

 インターネットが社会・経済に及ぼす影響力は、普通の人々が考えているよりはるかに大きい。ビル・ゲイツもあっと驚いたその便利さと進展速度であるから、普通の企業人はもっと驚くべきであるが、ビル・ゲイツほどに驚けないことであろう。新しい事態は確実にかつ急速に進んでいるが、多くの人は肌でそのことを感じていても理念の面で理解できない。このギャップがもたらすものは大きい。

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社説・新しい常識は最初は一笑に付されることが多い(04年2月15日号)

   世の中の変化が急激なときには人々の意識が旧来のままの状況下で新しい事態が発生している。ほとんどの人々の意識は古いままであるが、新しい事態に対応しないと企業および組織は取り残される。

 企業および組織の中には新しい事態を敏感に感じ取って新しい事態に適合するための提案をその人の本能によってか、理詰めで導き出してか行うことが多い。 新事態への対応が理詰めなものであれば古い意識の人々を説き伏せることは可能であるが、理屈が伴わないと何を血迷っての発言かと拒絶されることが多い。「この馬鹿がまた変なことを」と笑われる。感覚は良いのに何かが足りない人は多いが、新しい事態への対応を説くための理屈が付けられないのである。

 企業などはその在り方を文章にして定めているところが多い。そうした在り方のなかに、新しい事態に対応するための提案を受け入れることを盛り込んでおくべきであり、それは企業生き残りの安全保障の一つでもある。

 企業も組織も社員・構成員の意見を広く採り入れるための組織のなかに作っておかなくてはならない。決めたことを実行する命令系にゆるぎがあってはならないが、現場経験のなかから上がってくる報告、意見に対してそれを受け入れる組織的な器(うつわ)ができていなくてはならない。 組織の構成員が活き活きとして行動するためには組織の目的と自分の役割を理解することが前提である。自分の役割を理解は、多くの場合組織あるいは上層部との意志疎通が十分に図られてこそ実現するものである。企業も組織もその構成員に対しては公明正大制を確保していなければならない。

 駄目になった企業行動を分析すると、その原因の大概は時代に適応する政策を採らなかったことが主たるものである。経営者のなかには古い常識で凝り固まっている人もあり、また独善的・独裁的であることも少なくない。このような経営者は社員の意見を実質的には聞かない。また年齢が高まるに従って何をするのも面倒くさくなり、ましてや新しいことなど怖くてできなくなる。こうした事態発生の兆候は人前に出たがらなくなることであり、また1人でしゃべっていて人の話を聞かないということである。

企業と組織が健全でいるためには、その首脳が社員・組織構成員のだれよりもよく学んで知的な面で最高状態にあることである。勤勉な社員が多い日本のこと、そうした社員の行動を把握し、現場から上がってくる報告と案件を理解し、指導していく能力を備えることが経営者の任務である。 現場その他に現れる新しい事態把握のための安全保障は、社員に自由に話せる心のゆとりをもたせることである。社員の側においても自分が納得できないことは、何度でも提案し、関係部署ととことん話し合うことである。 古い常識が蔓延しているなかでは新しい常識は最初は一笑に付されることが多い。良い社員とは一笑に付されたことを手を変え品を変えて何度でも提案する社員である。早すぎることは実らないことが多いが、それは企業と組織の肥やしとなって必ず役にたる。大事なことはそうした肥やしを造成するできる組体制ができているかどうかである。

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社説・物事の流行り廃れと計量器の変遷(04年2月8日号)

 日本の行政機関とその職員の能力に疑問が投じられている。米国の経済学者J・K・ガルブレイスは戦後日本の経済復興のための視察を行った際の感想を「日本は戦後も自らを統治することが可能だった。有能な官僚がそのまま残り、効率的に政府を運営する能力があったからだ。ある程度の米国の助けさえあれば、それで十分だった」と述べている。その後の日本の政府と政治はどのように変化したのであろうか。米国や中国や韓国の経済に関する国家戦略と比較して日本のそれは負けているように思われる。

 日本の法律とその実施に関しては交通法規を代表例として二重基準になっている。速度制限に関しては20Kmまでなら許され、それを1Km超えると違反として検挙されることがある。駐車禁止地域では通常1時間まで許容されているものが、時として30分に短縮される。警察の気分次第で実質上の法規が動く仕組みがなぜできるのか、外国人には不思議であるようだ。

 この1月には静岡市の小学校でサッカーのゴールポストが強風のために倒れて、当小学校の生徒がそれに打たれて死亡した。教育委員会はゴールポストを固定するように指導する通達文を出していたということであるが、その通達通りにゴールポストを固定したのは半数以下であった。死亡事故が起きた学校の校長は遺書を10通ほど残して自殺した。

 この通達は何のために出されたのであろうか。ゴールポストを固定すると倒れないが、そうするとサッカー以外に運動等にグランドを使うのに不便であることと、そのようなことをする慣習がないから実施しないことが多い。教育委員会はそのことを見越していればどうしても固定するだけの説得力ある文章にして通達しなければならず、そこには実施を確認する作業を盛り込まなくてはならない。通達を実施しようとしたならば結果を確認するための仕組みを作っておかなければならないのであるが、これが組み込まれていないのであるから具合が悪い。ここには建前と本音の分離があり、死亡事故が起きてしまうと建前が一人歩きするようになり、校長の通達実行責任が問われることになる。

 実際にことを動かそうとする場合には建前と本音とは分離していないようしなければならない。約束しても実行しないということは企業内の社員行動にもよくみられることである。本気で約束を実行させようとしたら、課題ごとにそれを実行したかどうかの点検の仕組みを作っておかなければならない。決めごとは本音に基づいて本気で決め、その本気を実現するするために点検のセンサーを十分に働かせなければならない。物事を決めてもそれを実行しない組織はやがて滅ぶ。教育と学校が滅びかけているように見える。そして行政そのものもその本来業務を全うし得ていない状況が広がっているのでなければ良いと思う。

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社説・ゴールポスト死亡事件と問題解決システム(04年2月1日号)

 日本の行政機関とその職員の能力に疑問が投じられている。米国の経済学者J・K・ガルブレイスは戦後日本の経済復興のための視察を行った際の感想を「日本は戦後も自らを統治することが可能だった。有能な官僚がそのまま残り、効率的に政府を運営する能力があったからだ。ある程度の米国の助けさえあれば、それで十分だった」と述べている。その後の日本の政府と政治はどのように変化したのであろうか。米国や中国や韓国の経済に関する国家戦略と比較して日本のそれは負けているように思われる。

 日本の法律とその実施に関しては交通法規を代表例として二重基準になっている。速度制限に関しては20Kmまでなら許され、それを1Km超えると違反として検挙されることがある。駐車禁止地域では通常1時間まで許容されているものが、時として30分に短縮される。警察の気分次第で実質上の法規が動く仕組みがなぜできるのか、外国人には不思議であるようだ。

 この1月には静岡市の小学校でサッカーのゴールポストが強風のために倒れて、当小学校の生徒がそれに打たれて死亡した。教育委員会はゴールポストを固定するように指導する通達文を出していたということであるが、その通達通りにゴールポストを固定したのは半数以下であった。死亡事故が起きた学校の校長は遺書を10通ほど残して自殺した。

 この通達は何のために出されたのであろうか。ゴールポストを固定すると倒れないが、そうするとサッカー以外に運動等にグランドを使うのに不便であることと、そのようなことをする慣習がないから実施しないことが多い。教育委員会はそのことを見越していればどうしても固定するだけの説得力ある文章にして通達しなければならず、そこには実施を確認する作業を盛り込まなくてはならない。通達を実施しようとしたならば結果を確認するための仕組みを作っておかなければならないのであるが、これが組み込まれていないのであるから具合が悪い。ここには建前と本音の分離があり、死亡事故が起きてしまうと建前が一人歩きするようになり、校長の通達実行責任が問われることになる。

 実際にことを動かそうとする場合には建前と本音とは分離していないようしなければならない。約束しても実行しないということは企業内の社員行動にもよくみられることである。本気で約束を実行させようとしたら、課題ごとにそれを実行したかどうかの点検の仕組みを作っておかなければならない。決めごとは本音に基づいて本気で決め、その本気を実現するするために点検のセンサーを十分に働かせなければならない。物事を決めてもそれを実行しない組織はやがて滅ぶ。教育と学校が滅びかけているように見える。そして行政そのものもその本来業務を全うし得ていない状況が広がっているのでなければ良いと思う。

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社説・ユビキタスネットワーク時代と省庁統合 (04年1月25日号)

  経済社会はインターネットを核として情報化社会という新環境に遭遇していることから、これに対応を余儀なくされている。古い組織を情報化社会という新しい組織に変更していかなくてはならない。日本国政府は行政組織を情報化社会対応型に変更するため、情報技術(IT)関連の行政一元化に動き出した。小泉純一郎首相は、後で省構想は否定したが、2004年1月16日の経済財政諮問会議で、2007年4月に予定している優勢3事業の民営化にあわせて、情報技術を一元化して担当する「情報通信省」の創設を検討することを指示した。麻生太郎総務相は「IT産業は各省が縦割りで取り組んでいると、国際競争に負けてしまう可能性がある」と、また中川昭一経済産業相は「すでに韓国は情報通信の体制を一本化した」と同席で述べて首相の意向に同意している。政府は国際競争の激しいIT産業の成長を促進する意味から、総務省の情報通信部門と経済産業省の担当部局などの統合を軸にも旧来の縦割り行政の弊害を取り除く計画を示した。

 情報通信の世界はブロードバンド(高速大容量)通信化が一気に進んだことから、これに付随してIT市場がハード、ソフトの両面から大きく拡大するので、この足かせになる行政機構を整理統合する必要がある。現在、IT部門を統括する組織として首相を本部長とする「IT戦略本部」があるが、各省庁間の縦割り実体はそのままになっている。また2001年の省庁再編案作成過程で、IT関連部門の統合が検討されたものの旧郵政省や旧通産省などの関係省庁や関係議員の抵抗があって見送られてきた。

 検討作業は郵政民営化の具体案つくりの作業と平行して行われる見通しであり、著作権など知的財産を所管する省庁の部門の統合も視野に入れられることになる。省庁の統廃合を実施するには、国家行政組織法と各省の設置法の改正が必要になる。

 ブロードバンド通信がもたらす通信社会への影響とはどんなものか。従来の通信回線では情報をわずかしか運べなかったのに対して、飛躍的な大容量で運べるようになる。パソコンの半導体チップは3年で能力を4倍に向上させてきたが、通信容量(通信帯域)は3年で8倍に拡大する速さで進行している。前者をムーアの法則といい、後者をギルダーの法則という。この両者の法則に従って情報通信社会が進展するとまさしく情報化社会型の経済社会が実現することになる。ギルダーの法則に基づくと、通信の容量の増大は12カ月で2倍の速さで進み、3年で8倍になる。容量拡大によって画像を含めてさまざまな情報を円滑にまた低コストで通信できるようになるため、情報化社会実現の足かせが解かれることになる。コンピュータの能力向上がこれと平行して進むことでもたらされるので、通信の大容量化とで実現される効果は絶大である。

 こうした通信環境の変革とパソコンの能力向上によって、インターネットの世界にも革命が起きる。その情報端末はパソコンや携帯電話のみならず台所やリビングに設置される機器にまで取り付けられる。計量器自体がインターネットにつながる情報端末となり、測定値や制御信号を必要な場所と交信できる。電子棚札システムという新商品はストアオートメーションの画期的な道具として新しいPOS環境を実現しており、これを起点にして商店の情報管理システムが再構築されようとしている。

 インターネットの情報通信環境は、家電ならびに産業設備等のデジタル通信装置と連動することによって、何時でも・何処でもということで、空気を吸うように利用できるようになる。その結果、ホテルの冷蔵庫の飲み物が抜き取られるとフロントに信号が送られて料金加算され、現物が補填されるのと同じように、家庭等の冷蔵庫でもキッチンオートメーションが行われるようになる。オフィスのコピー機の用紙やトナーなども同様のことが行われる。不足品の補填は宅配業者が行うことになるであろう。社会の広い場面でこのようなことが行われる社会環境が実現するのは間違いない。

 計量計測の場面でも、何時でも・何処でもという意味のギリシア語に由来する「ユビキタス」ネットワークにつながる機器が登場して活躍することであろう。すでに電子棚札システムとして実現しているから、それが計量器の一定の部分に広がるのにそれほど時間をとらないことであろう。

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    社説・計量関係の新年会とその主役と人が集う意味 (04年1月18日号)

   計量計測関係も含めて経済界その他各方面では年が明けると新年会が開かれる。職場内および交友関係は忘年会を行い、これとワンセットのように新年会を開くことも少なくない。
 
 日本の社会は共同体社会を運営するためになにやかやと理屈をつけて構成員を集める催しを決まりごととして定めてきた。西洋のキリスト教社会は日曜礼拝など教会に人を集める仕組みを作って共同体維持をしている。人は集いを持つことによって共同体組織の存在を確認し、自己を認識するものであるようだ。

 計量に関係した新年会のうち一番規模が大きいのは東京科学機器協会が熱海で開く1泊形式のもので、定員を300名に限定してそれ以上の申し込みと参加者がある。この催しは製造者と販売者が一堂に集う意味もあり年始めの営業会議でもある。

 都道府県ごとの計量関係の新年会では大阪府のそれが一番規模が大きく150名が集う。神奈川県と兵庫県は120名ほどが集う。参加者は環境計量証明関係、適正計量管理事業所、計量士、計量器販売事業者、計量器製造事業者、計量行政機関職員などで、計量共同体組織の自己認識のための行事でもある。

 こうした計量関係の新年の集いで最大規模を誇っていたのが東京都計量協会の催しであったが、ここ10年ほどは参加者の規模が大幅に減少して寂しい状態にある。それまで無料であった参加費を有料化したことが契機になって参加者が減少した。他の府県等が有料新年会として開かれているなかそこそこの参加者を集めているのと比べると、東京都の新年会その他の催しの参加者の規模には一抹の寂しさを禁じ得ない。参加費を徴収するか否かの政策の選択の結果なのか、計量協会の求心力に由来するのか判断は難しいが、状態を他と比較した場合には東京都計量協会の役員ならびに事務関係者は考慮しなくてはならないことであろう。

 対して神奈川県計量協会には躍動感がある。神奈川県知事が定めによって会長になっていたものを会長ほか執行役員は一般会員から選出する規定に変更した。会長には(株)オーバルの加島淳一郎氏が就任、関係団体の意欲的な人を副会長に据えている。神奈川県と東京都の計量協会の新年会その他の催しの参加者を比較して気づくことは、環境関係事業者の参加はともかくとして、適正計量管理事業所ならびに計量士関係の参加者が、東京都では少なく、神奈川では多いということである。計量協会の新年会ならびに計量記念日あるいは総会その他の催しにおいても、適正計量管理事業所ならびに計量士関係の参加者の数が多くなければ活気がでないということである。そうした事態を観察すると計量行政に関係した人の面からの主役はこの人々であるように思える。

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社説・SARS対策としての放射温度計 (04年1月11日号)

 新型肺炎のSARS(サーズ)患者の男性(32歳)が中国広東省広州で見つかり(1月5日中国衛生省が発表)、これで今冬発生の患者は台湾のSARS研究者につづく2例目となった。広東省患者の感染源はウイルス検査の結果ハクビシンであると広東省疾病対策センターが発表している。患者はハクビシンに触ったことも食べたことまもないということだから、感染ルートの特定はできていない。

 SARSの患者が中国国内の日本工場で発見されれば測操業停止措置がとられることになるであろうから経済への影響は避けられない。SARSの発生と蔓延で経済が混乱する。香港の観光もSARSによって大きな打撃を受けている。 

 感染源がハクビシンなど野生動物であることは判明してきているが、感染ルートは必ずしもつかめないことから、予防もままならない。人への感染が判明すれば罹患者を隔離するのがその最大の方法である。SARS罹患者は風邪と同じ症状を見せ、その手っ取り早い識別方法が体温測定である。罹患者そのものが罹患を意識しないうちに感染が広がるのを防ぐ方法として、発熱罹患者を見つけ出して隔離するしか方法がない。SARS多発国中国の工場では、本人も自覚できない発熱を体温計を使って見つけ出すことで、蔓延を防ぐことになる。 

 発熱罹患者を見つけ出す方法として、工場に入る人々の全てに放射温度計を当てて検査する方法が良く採られる。入り口で検査して、入場後は体温計で検査するという方法を採ることになる。大勢の人の罹患の有無の検査はこれ以上のことは難しい。風邪の発熱はSARSと区別がつかないから発熱者は工場、事業場で仕事をさせないことになる。中国で稼働している日本の工場では1工場で1万人以上という事例はよくあることだから、1人のSARS患者の発生で工場の操業停止となれば損失は莫大になるから、少しぐらいのコストアップになっても発熱者の検出はしなければならない。

 昨シーズンはSARS対策のために体温を測定する温度計がよく売れた。日本の市場のこのための機器は底をつき、増産体制をとるにも資材の調達ができない状態でパニックとなった。今シーズンは前例に学んで在庫もある程度確保されてはいるが、日本国内でSARS患者が多数発生した場合には同じパニック現象が発生する。転ばぬ先の杖ということで、体温計を必要な数各家庭や事業所に用意しておくことだ。

 集団の体温測定のための用具として放射温度計が使われた。放射温度計には温度計測の正確さなどで百万円ほどのものから、一万円程度で買えるものまで様々な商品がある。非接触方式で体温(目安として計測)をはじめ様々なものの温度が測定できる放射温度計がSARSによって広く人々に知られるようになった。

 放射温度計は、触れずに測ることができる温度計で、モノが発生する温度に対応した波長の赤外線をとらえ温度に変換して、そのモノの表面温度を表示する。モノには特有の放射率があるので、より正確な表面温度を求めるには、測る対象物ごとに放射率を設定することになる。放射率は人間の皮膚=0・98、地上に生えている木=0・5〜0・7、コンクリート=0・94、水の表面=0・92〜0・96である。産業分野での放射温度計の利用は広く行われている。数年前に発生して大パニックをひきおこした病原性大腸菌O・157による食中毒対策には、各種の温度計とともに放射温度計も利用された。

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         社説 ・計量管理と品質工学の融合と利用(04年1月1日号)

 ISO9000シリーズ(品質マネジメントシステム)や14000シリーズ(環境マネジメントシステム)の認証取得のブームは今なおつづいている。企業経営に関わって品質に目を向けるのは当然として、環境に関心が行き、国際規格で定められた品質や環境監査の規格を満足し、認証を取得する企業行動は全体としては肯定されるべきものである。 
 ISOの品質マネジメントシステムの内容はなるほどなと思わせるものであり、認証取得企業は多大な労力を費やしてこの規定を満たす。その過程では従業員の品質に関して改めて教育をし、訓練を施す。そうして取得した認証は、一種のライセンスのように思われ、保証のラベルになってる。しかし、そうした認証企業の品質管理や環境監査が優れており、間違いのないものであるかということになると首肯できないことが少なくない。認証という一種のライセンスを維持するための監査が義務とされており、その実施頻度は不適正と思われるほど短いため、維持コストは予想外に大きい。形式的であっても無理矢理に取得した認証は、一夜漬けの試験対策みたいなものでその日が過ぎれば頭には何も残らない。 
 関係する事業所では9000シリーズを取得したが、ミスは全然減らないという。14000シリーズの看板を掲げた事業所で火事が発生したのを見ている。これらは認証を文字通りのものにするには大変なことのようである。形式だらけで魂のこもらないISO品質マネジメントや環境マネジメントシステムの認証にしないため改めて、学ばなければならないことは多い。

 人の意識を改革する運動としては、かつての品質管理運動や計量管理運動の方がはるかにすぐれていた。どうすれば不良品をなくしコストを下げ品質を向上させることができるか、ということに関していえばTQC(総合的品質管理)運動の方が効果的であった。9000、14000は形式主義に偏っており、そのタイトルの内容で人の心を動かす要素に乏しい。ブームが過ぎてしまえば形式主義の監査だけが残って企業の重荷になってしまうから、どこかで簡便な方式に改める必要が出てくるだろう。製品には取扱説明と事故が起きたときの製造者責任を回避するための文書が添付されているが、その認証は事業所の製造責任回避の文書としては一応は効果的である。しかし、ミスや事故は減らないから品質管理に対する効果を高めることは別の手法を加味しなくてはならないのが実情である。 
 計量管理は品質管理と表裏をなして戦後日本の工業製品などの製造に大きく貢献してきた。その計量管理技術は現在のISOの品質マネジメントや環境マネジメントと新しい結合をして効果を発揮するときである。 
「工場の床をペイントして綺麗にしたら不良率が減った」という本当の話がある。事業所内の計量がしっかりと行われれば、不良品が減ることは間違いない。また計らなくていいものまで計っているのは無駄でありコストを上昇させるだけである。必要以上の正確さで計ろうとすることも間違いであり、それによって工程が複雑になり、コストも上昇する。計らなくてもいいものは計らない、計らないでいい結果を出す、というのが品質工学の神髄であり、知恵ある経営者と技術者はこれを事業所に積極的に導入している。

 ある大手運送会社ではISO9000の認証後、従業員に「9000を維持するぞ」という張り紙を書かせて事業所内に張り巡らせていた。この言葉を「ミスをなくするぞ」とか「品質を向上させるぞ」とか「コストを削減するぞ」と読み替えたいのだが、少し無理があるようだ。ISOの流行も自分のものにするために夢中になるのはいいが、その本質が品質向上、コスト削減、社会的責任ということであれば、これに加えて計量管理や品質工学の精神とこの方面で磨き上げられた技術を積極的に導入することで実効が上がる。本質を知った企業はそのようにしており、形式だけを追って認証を宣伝材料と思った企業はそれをしていない。

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