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日本計量新報 2017年1月15日 (3133号)

企業の製品と事業の社会的補修としての新技術への対応

 カメラとレンズは定期的に分解掃除などをして使う道具である。フィルムカメラの時代はとくにそうであった。デジタルカメラの時代になってからは機械仕掛けとしての機能の寿命よりも速くにカメラを陳腐な物として置き去りにする。画像の細密度の進歩などが著しいためである。デジタルカメラの技術進歩はどこまでいくのかということになると一般の人が思い出写真を撮るということでは、携帯電話に組み入れた状態の2016年現在でほぼ完成の領域に達している。

写真家だけではなく企業の業務用に用いる写真撮影でも現在のデジタルカメラで用が足りている。それでもデジタルカメラメーカーはさらなる能力の向上を図っている。市場がそれを受け入れるかは疑問である。三洋電機がデジタルカメラの生産数で1位であった時代があった。大衆用のカメラをつくって成し遂げたのである。三洋電機はパナソニックになった。パナソニックは現在なお有力なデジタルカメラメーカーである。今後デジタルカメラメーカーはどのようになっていくのか。キヤノン、ニコンなどは高級一眼レフデジタルカメラ部門で覇を競う。これにソニーが加わる。ソニーはミノルタを買収してデジタルカメラ部門で大きな地位を確保している。

センサー技術の一つとしての画像センサーの進歩と発展はムーアの法則どおりの進展をしている。半導体技術の進歩発展に関する発展速度と価格低減の法則をムーアが述べた。人工知能は半導体の能力に依拠している。センサーも半導体であり、人工知能も半導体であるカメラの自動撮影機能は市場の大きさに支えられてこれを飛躍させた。カメラで培われた機能がこれからは多くの産業分野で広く用いられる。民生用、産業用ともにセンサー技術と人工知能技術を連結させて新しい事柄を数限りなく生み出していく。

 フィルムカメラは定期的なメンテナンスをして使う道具であった。センサー技術の進歩はセンサーの数を増やしていて、センサーの精密さを向上させている。

企業の製品も事業も社会的な関係からのメンテナンスをする。新技術を自社製品や自社の事業との関連で評価して対応することになる。日進月歩の技術社会では新しい技術と無縁ではいられない。そうした技術を取り入れた新技術を自らが開発することこそ企業の製品と事業の社会的メンテナンスになる。

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