計量新報記事計量計測データバンク会社概要出版図書案内
2014年10月  5日(3028号)  12日(3029号)  19日(3030号)  26日(3031号)
社説TOP

日本計量新報 2014年10月19日 (3030号)

食材の味の状態を示すことは大きな課題だ

スパーマーケットで売っている末成り(うらなり)の果樹と、姿がその魚であったり、その肉であったりする食物を食べるしかない状態にあると、偽物(にせもの)をあてがわれていることへの不満がつのる。食べ物への恨み節は、東海林さだおの掘っても掘っても肉だらけのカレーライスへの願望を画いた漫画に象徴される。
 調理される前の素材としての食材である魚、肉、野菜、果物などの味は食べてみないとわからないことが一般的である。試食をさせていればある程度は予測がつくとはいっても、すべての食材でそれをすることはできない。ある生産地が豊作で場末のスーパーマーケットに上等のブランド野菜が偽りのない状態で届いて店頭に並ぶこともあるが、こうしたことはまれであり、普通の人は形や彩りだけが良くて味の良くない食材を手にするしかない。
 良い食材を得るためには名のとおったブランド店舗を選ぶことになり、身近なところではデバ地下である。しかしそこで売られている食材には優、良、可の表示も超、特、並の表示もない。スイカにはたまに糖度の表示があっても、それが必ずしも良い味を示していない。果物の味も、野菜の味も、肉の味も、魚の味も産地の関係者にはよくわかっている。姿と形である程度わかるのであろうし、触ってみればわかる、そして切り身をみればわかるということで、築地の市場でマグロの尾の部分を切って肉を見せて競りにかけられる。
 食物の目方(質量)と長さ(サイズ)などはよく計ることができ、目方を組み合わせてある量にすることができる技術が発達している。同じようなことで選別のシステムもよく発達している。食料の供給とその取引に関係してだめな分野がその味の状態あるいは品質の状態を示すことがらである。美味しさと価格の安さあるいは高さの関係が食物の取引については、曖昧であり、闇に包まれ、そこには詐欺にも似た状態が存在する。こうした闇に光をあて、食材の取引、消費者にとっては購入のための目安や手がかりをつくることは重要である。

※日本計量新報の購読、見本誌の請求はこちら


記事目次社説TOP
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.