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日本計量新報 2014年8月10日 (3021号)

日本の計量行政と人々の平和な暮らし

朝の食事を手っ取り早くすませ、昼は社員食堂か街の食堂で誰かと一緒に飯を食う、そして夜はビール1本を食卓において寛ぐ。このような生活ができている人は、あれこれのことがあったとしても仕合わせである。
 昼をすごす職場は物をつくる事業所であったり、小売り、流通、サービスなどの事業所であることが多い。物づくりの分野では設計し図面をつくり、加工をして組み立てるというその基礎のところで、計測があり、計測にあたってはどこで用いても理解が共通する計量の単位が使われている。小売り、流通、サービスに関する事業所でも事情は同じだ。
 医療の分野で使われる計測の単位が違ったり、体温、血圧、体重の測定が人の健康状態を判定するのに足る測定の確かさを備えていないのでは困る。血圧計は圧力計であるから、国際単位系のパスカル「Pa」を用いるべきところを現状からmmHgを用いており、食物に含有の熱量はジュール(J)であるが、実情に配慮してカロリー(cal)を認めている。理想は絵に描いたようには実現しない。
 人が暮らすその基礎となる衣食住には、水があり、燃料があり、光がある。水は上水道で供給され、ここには水道メーターが設置されている。煮炊きをするのにガスが用いられ、電気が使われる。家庭にはガスの使用量をはかるガスメーターがガスボンベやガスの配管の端末に据えられている。電気の使用量は同じように設置された電力量計で計られる。
 電気、ガス、水道のメーターは、どの家庭にも設置されているものであり、これらの精密さの確認は計量法の検定制度によってなされ、実際にはメーカーの自己検定方式の指定製造事業者制度を機能させることで実現されている。
 体温計、血圧計も、電気・ガス・水道の各メーターと同じしくみで精密さが確認される。体重計は少し複雑なしくみになっているが、多くのハカリは、計量法の検定制度に対応して製造され、精密さが確保される。
 近代計量制度は国の基は計量制度とともにあるということで、日本の場合にはこれをしっかりしたものとして作りあげてきた。計量行政機関、とりわけ地方公共団体の計量行政部門の多くは、自治体住民の付託に答えるべく、高い志と誠実さをもって計量行政事務・実務に取り組んでいる。何気ない日常とその平和が実現されている背景で、計量行政が機能している。

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