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日本計量新報 2014年3月30日 (3004号)

1%ほどの計量器の検定によって計量の安全が確保される

計量器には計量法の検定制度の規定による精密さ、正確さ、堅牢さなどの条件を満足した特定計量器がある。有効期間が満了すると再検定を受けるのが一般的であるが、ハカリ(質量計)には有効期間がなく2年に1度の定期検査を受検しこれに合格しなければならない。ハカリの定期検査合格の器差条件は検定合格条件の精密さの半分になる。これら特定計量器のうち電気式はかりにあっては、4月1日に施行される消費税の5%から8%への変更にともなって、消費税計算機能を変更することによって新消費税に対応する。消費税計算機能がハカリに組み込まれていない場合には計算を設定するロムなどのチップを交換するなどして対応する。封印の破棄をしなければ消費税計算機能の変更ができないものについては、条件をつけて税率変更後3カ月の間は封印の破棄をともなわない変更と同じ扱いにすることなどが決められていて、ある団体から会員の製造事業者事業者、修理事業者に通知されている。
 特定計量器のハカリなどは計量計測機器に占める割合は1%に達していない。これら特定計量器は取引と証明にかかわり適正な計量の実現に重要な役割を担うことから検定を義務付けている。ハカリにあっては検定後の定期検査を義務付けるという特別の体制を敷いている。昔はほとんどの計量器が検定を義務付けられていた。いまは1%ほどかそれに満たない「特定計量器」に指定された計量器を検定の対象とし、ハカリにおいては定期検査を義務付けている。このように計量器のうちわずか1%ほどの取引・証明分野の計量器を検定することで社会の安定を図ろうというのが計量法の体制である。身近な特定計量器には、ハカリのほかにガソリン計量器、ガスメーター、水道メーター、電力量計、タクシーメーターなどがある。お酒の酒税に関係した酒精度計という浮ひょう型の特定計量器があり、東京の事業者は東京都計量検定所に持ち込んで検定を受けて供給している。
 計量法に規定された検定と定期検査の実施主体は都道府県である。特定市として取り扱われる市によるハカリの定期検査は都道府県の権限が市に託されてこれがおこななわれている。ハカリの定期検査制度は国民の生活を支える社会基盤として機能している。都道府県と特定市はハカリの定期検査を完全実施する責任があり、それによって経済社会が確実に動く。その昔、東北地方のある特定市はハカリの定期検査を何年も実施しなかった。JR北海道では線路幅の測定値を誤魔化した。箍(たが)がゆるむとそのようになる。
 計量検定所、計量検査所などの名称で計量事務を担当している部署では、ハカリの定期検査の完全実施は国民の生活を支える基礎的なことと理解し、業務に邁進している。学習と訓練が不足し意識が低下すると東北地方の特定市のような状況が出現する。ハカリの定期検査という計量法上もっとも大事な分野でJR北海道と同じことが起きかねない。背景にはその仕事にお金を用意していないということがある。
 市中の定期検査対象のハカリを把握することが完全実施の前提だ。これまではローラー作戦という方式で市中を巡回して対象となるハカリを把握して名簿に記載していた。この名簿こそがハカリの定期検査の完全実施の鍵であり、そのためには市町村の計量担当職員などと協力して事前調査を絶え間なくしていくことだ。

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