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日本計量新報 2013年4月7日 (2959号)

同じ計量器であっても生活向けと産業向けに分類することができる

大きな液晶画面の値の張るテレビが売れなくなったために大手家電メーカーが苦しんでいる。機能、性能などは同等で値の安い東アジアの競争企業との戦いで苦戦していることによることや、地デジへの切り換え需要が終わったことによるのであろう。出初めのころの大型画面の液晶テレビは高価格であった。開発費用を価格に載せるとその程度のものになったのであろうが、このところの低価格は高かったころのようすが嘘のように思えるほどである。
 自動車産業は、リーマンショックの煽りで減産を余儀なくされて苦みを味わった後に、回復に成功して、この先は新興国向けの需要の開拓などが課題である。またハイブリッド車の先にある電気自動車の開発とその実用化が日程にはいってくる。物流の主力は自動車道路と自動車になっている現在であり、この先相当長くこの状態がつづく。その一方で情報が紙媒体から電子媒体に移っているので、紙媒体の情報伝達にともなう物流は電子媒体に移行するとはいえ、この間にこれと連動しての物流の現象は少ないようだ。運送会社は世の中に増えているが、競争が激しいため、走っているトラックの積み荷は空っぽということもある。
 震災によって発生した不要物(瓦礫と称されている)を岩手県宮古市から福岡県北九州市に運ぶということがおこなわれていて、これも物流に属するのだから奇妙な印象がある。遠くに運ばずに近くで処理するのが至当なはずである。この「瓦礫」処理施設が被災地に建設されていて、そこには必ず大型ハカリのトラックスケールが設置され、計量されている。この施設は第3セクターなどの方式で建設され運営されている。「瓦礫」の用が済めば産廃処理施設として転用されるのか定かではないが、震災にともなうハカリの特別な需要の一つであった。
 計量器のうち、家庭で使われる温度計、体重計、料理用ハカリなどは、その機能がテレビなどと同じように家庭での用途向けである。ハカリに関しては、こうした体重計、料理用ハカリがハカリ生産量の7割ほどに達しているのがこれまでの経緯であり、これは長いこと変わっていない。全体の7割ほどの生産量を有しながらもその生産金額は全体の3割にも達していない。一般消費者向けに値段の安いハカリが大量に生産され、大量に供給されているということであり、体重計の機能に体脂肪などを計測表示する機能が付加されることによって価格を上げることができていた。
 計量器の機能の一つとして生産設備と連動したり、それ自体が生産設備になるということがあり、工場のハカリ施設で1億円を超えることは珍しくない。農業施設では、トマトの選果施設、スイカの選果施設、穀物の計量と包装施設などで一基で1億円、2億円のものも少なからずある。この方面のハカリ設備は生産量は多くはない反面、ハカリ生産量のほぼ半分ほどを占めている。

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