計量新報記事計量計測データバンク会社概要出版図書案内
2011年1月  1日(2852号)  16日(2853号)  23日(2854号)  30日(2855号)
社説TOP

日本計量新報 2011年1月1日 (2852号第2部)

コペルニクスやアインシュタインの発想に学んで未来を切り開こう

100年に1度と言われる経済の困難に負けず、強い信念を持って自らの業務に邁進する人たちがいる。
 計量器産業では、生産量が最盛期から30%減、器種によっては50%もの落ち込みを記録している。通常なら、とても耐えられない状況にありながら、この産業に従事する多くの企業や経営者、そして従業員は歯を食いしばって懸命に耐えている。そればかりか、新しい機種の開発や新分野への進出などを通じて、未来を明るく生きる道に乗りだしている。
 いつの世でも、同じ所に同じ形でとどまっていては現状維持が精一杯で、次の展開を塞ぐことにつながる。

 地球は、日常生活を送る上では微動だにしないように感じるが、時速10・7万キロメートルの速さで太陽を周回している。太陽もまた想像できないような速さで銀河系を動いており、銀河系も他の天体と連動した動きをしている。
 コペルニクスは、1543年に太陽が宇宙の中心であり地球が自転しながら太陽の周りを公転しているという地動説を提唱した。
 ニュートンは、1665年に万有引力と二項定理を発表した。この理論により質量を持つあらゆる物質に働く力が明らかになり、月と惑星と太陽の運動法則が証明された。
 アメリカ人初の化学部門のノーベル賞受賞者であるアルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーは、1880年代に7年がかりで光の速さの計測に取り組み、多くの失敗の末に、光の速さはどのような慣性系の上で測っても常に一定であるという光の特殊性「光速度不変」を突き止めた。この理論は、アインシュタインの「相対性理論」の大前提となった。
 アインシュタインは、旧来の物理学の理論をくつがえす、真空中の光の速さは、光源の運動状態にかかわらず一定であるという現象を、そのまま物理学に当てはめて「慣性系では同じ物理法則が成り立つ」という特殊相対性理論(オリジナルタイトルは「動いている物体の電気力学」)を打ち立てた。これにより電磁気学におけるマックスウェルの方程式の正しさが明らかになった。
 特殊相対性理論は、重力場のない状態での慣性系を取り扱った理論であり、日常的な電磁気学の分野で利用される。1916年に発表した「一般相対性理論」は、特殊相対性理論の前提条件である「慣性系では」という限定をとりさった。これによってアインシュタインの「一般相対性理論」は重力などを含む加速度系といった宇宙空間のことを取り扱うことができるようになり、重力の働きによって空間が歪むという空間概念をうみだした。巨大な質量は巨大な重力場をつくりだすので空間が歪む。その極地に相当するのがブラックホールである。
 アインシュタインは一般相対性理論で、光が星の重力により曲げられると予言していた。皆既日食の観察によって、この現象が確認されてアインシュタインの理論が証明された。

絶対と思われている理論や、社会の常識は時の経過にともなって変わる。
 計量計測機器は、いまやデジタル技術が駆使され、コンピュータとの連結が当たり前のこととなっている。「計測した結果」はそのまま「知りたい数値」に直結するようになった。

需要に適合するのか、需要を掘り起こして新市場を創り出していくのか、いずれにしても新規性のある商品の開発が、社会に求められる。世の中には自分が知らない知識や技術が山ほどある。視野を広げ発想を転換することで、なすべきことが見えてくる。
 当時の常識を覆したコペルニクスの地動説、ニュートンの物理理論、マックスウェルの電磁気学、アインシュタインの相対性理論とそれに伴う新しい宇宙観の創造などを思い起こして、触発されることは、混迷の時代を開拓的に生きていくために、意味のあることだ。

 経済にも論理があり、時代の約束事のような概念もある。そうした概念や約束事はやがて破壊される。だからこそ、現論理や常識を疑ってみるとよい。常識に縛られず、所属する企業の在り方、個人の生活の在り方を確認することが未来を切り開くきっかけとなる。

※日本計量新報の購読、見本誌の請求はこちら


記事目次本文一覧
HOME
Copyright (C)2006 株式会社日本計量新報社. All rights reserved.