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日本計量新報 2008年8月10日 (2736号)

携帯電話をパソコン代わりにして計測の管理を実行する体重計システム

 計量の世界では「計量思想の普及」という言葉を会目標の定款に掲げている団体が多い。メートル法の普及推進運動をしているときにはこの言葉は会活動によく適合していた。現在の計量団体の活動の実態と計量思想の普及・啓発には大きな乖離が生じていて、会役員の多くは計量思想の普及と啓発の意味を語ることができない。
「計量思想の普及」を定款に掲げているある団体は、計量器の検査や校正業務をお体裁でしているだけだが、重要な役員は団体の仕事を定款の第一題目であると何時でも説く。同じ表題を掲げている別の団体は役所の下請け業務と一部の会員企業などへの奉仕活動を行うだけである。
 計量思想の普及とは、計量法を国民に知らせることだと思っていた時期もあったが、もはやそのような勘違いをする人はいなくなった。製品やサービスの品質と深いかかわりをもつ計測技術や計量管理の理論などの宣伝と実際への適用を追求するのであれば、それは大きな意味で計量思想の普及・推進である。それを実行できるのは計量士であり、計測関係企業のサービスやメンテナンス業務であるから、計量士や計測企業の活動はそのままでも計量思想の普及・啓発である。もっと簡単に述べれば計量士と計測企業の仕事は計量管理の実践である。
 国民が計量や計測、そして計測器と直接的に関わるのは、家庭や事務所などに設置されている温度計・湿度計や体重計を使うときである。体重の管理を体脂肪の管理と結びつけた体組成計の計測値をパソコン代わりの携帯電話に送るというサービスがある。このサービスがどれだけ利用されているのか不明であるが、利用者にとっては便利なものである。
 体重管理、体脂肪管理にとどまらず、いつでもどこでもコンピュータを使えるという「ユビキタスコンピューティング」という考え方は、計量計測のあらゆる方面においてさまざまな形で利用され、この先、関連サービスが登場し普及することになるだろう。このような計測機器と関連サービスは「計量思想の普及・啓発」などと大言壮語はしないけれど、計量を国民が身近に実際に利用する場面を大きく広げる。これは立派な計量思想の普及活動であって、その結果は国民生活を豊かにして経済と文化の発展に貢献する。


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