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日本計量新報 2008年7月6日 (2731号)

会員はゼロで事業はハカリの検査というのが計量協会にやがて訪れる姿だ

ある計量計測関係の公益法人は、組織替えなど幾多の変遷の末、収入の主体が計量計測機器の校正などの検査業務となっていて、所属する会員からの収入割合が10%程度になっている。地方の計量協会などでも、指定定期検査事業を都県などの指定を受けて実施していれば、会費収入は大体そのようなことになっていく。
 計量協会という組織は、以前は計量器販売事業者を登録制度と連結する、再登録の手続き代行業務を最重要な加入利益として供給することで会員をつなぎとめていた。
 しかし、血圧計や体温計、そしてハカリに販売登録制度を課していた計量法がこれを届出制度に変更してからは、再登録の手続き代行業務という会員利益が消えたために、計量協会から計量器販売事業関係の会員が抜け去る傾向が依然として続いている。このままいけば、会員はいずれは計量器販売事業の専業者に限られるようになり、その計量器販売事業者の総数は全国に100社あるかないかである状態であるから、計量協会の会員は見る影もないほどに少数となってしまうおそれがある。会員の絶対数としてみると組織の実態は怪しい状況になってくる。
 計量法では計量証明事業者を規定しており、環境計量事業者と質量を対象とする一般計量証明事業者の二種類がある。ある県の計量協会の場合には環境計測を事業とする環境計量事業者が絶対的最大多数となっているし、別の県ではくず鉄やその他の廃棄物を計量してそれを証明する一般計量証明事業者が同様の存在となっている。登録事業者は計量法のしばりとの関係で協会に加入し所属することがさまざまな理由で求められるため、事業者の協会への加入率はことのほか高く、その結果、相対的に構成員の中で高率を占める計量証明事業者に計量協会の役員が配分されるようになった。
 このような法のしばりによって組織された会員の意識は、かつて「メートル法運動は日本の将来を決する重大事項」と心から考えて協会活動をしてきた人々とは根底から違っている。
 計量協会は水と油のように交じり合わない会員を同じ組織に抱えているので、低下しがちな協会活動がさらに低下しがちである。
 計量協会は計量証明事業者を除くと、やがて計量士と一部の計量士によって組織された数10名規模の組織となって、その種たる事業はハカリの定期検査を実施することとなる。
 すなわちそれは、冒頭で述べたように会費収入はほとんどゼロで検査事業をしている組織という状況につながる。良いとか悪いとかの価値判断は別にして、計量協会という組織の後々の姿である。


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