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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)より掲載

私の履歴書 鍋島 綾雄  

日東イシダ(株)会長、(社)日本計量振興協会顧問、前(社)宮城県計量協会会長

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35 皇居に参内した感激 2770号

 私が(社)宮城県計量協会の理事になってから46年、会長になってから20年経った2003(平成15)年秋、思いもかけず計量功労による叙勲の光栄に浴した。

 初代遊佐広太会長は自治功労で、2代目会長の鈴木利平氏は薬剤師協会会長としての功績で厚生省(当時)の推薦による叙勲を受けている。

 3代目の会長である私は、初代会長や2代目会長のような華々しい経歴の持ち主ではなく、ハカリ一筋に生きてきた平凡な人生だった。にもかかわらず、宮城県として初めての計量功労による叙勲を受けた。

 2003(平成15)年117日、生まれて始めて皇居に招かれ坂下門から参内した。

 バスを降りて皇居を背に記念撮影をしてから、4列縦隊で「春秋の間」に案内された。私はたまたま一番左の列だったので、「春秋の間」に到着して左向けをして4列横隊なったとき一番前列になるという幸運に恵まれた。天皇陛下に本当に間近にお目にかかることが出来、「のにを拝し奉り感激の極み」という言葉のとおりの心境だった。

 家内とは1950(昭和25)年2月に結婚した。その5カ月後、家内は母一人娘一人だった母親を癌で亡くした。そしてその9年後、故郷の四国高松から見知らぬ土地の仙台へ連れてこられ、以来貧乏所帯のやり繰りに今日まで家内は散々苦労をして来た。今回の栄誉は半分家内へのご褒美であり、二人で一緒に皇居に招かれ天皇陛下に間近でお目にかかれたことはこの上ない光栄で、夫婦にとって嬉しい限りであった。

 周りの人たちも大変喜んで祝ってくれたが、特に嬉しかったのは、44年前、私の仙台行きを高松桟橋で見送ってくれた友人達に招待され、高松で心暖まるお祝いをしてくれたことだった。

 折角の機会だったので長男・次男夫婦も一緒に高松に帰り、私達夫婦が育った故郷鬼無を息子の嫁さん達に見てもらった。既に家内の実家は東京に出てしまって、屋敷は人手に渡っており、荒れ果てた土塀を背景に皆で記念写真を撮った。

 その1年後、鬼無に帰ってみると、土塀も家も庭もすっかり取り壊され、7区画の分譲地に整備されておりびっくりした。奇しくも1年前に撮った写真が家内が生まれ育った屋敷の最後の記念となった。

 

(つづく)

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