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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)より掲載

私の履歴書 鍋島 綾雄  

日東イシダ(株)会長、(社)日本計量振興協会顧問、前(社)宮城県計量協会会長

目次

27 文化団体そして公益法人 2759号

 東北6県北海道会長会議で私が一番若くて末席を汚していた頃、文化団体とはという話題が議論になったことがあった。その時私の尊敬する長老から「鍋島君、計量協会は文化団体で、金もうけに走っては駄目だ」と名指しで諭された。私は「金のないところには人は集らない。文化団体とお高く止まっていても、金もない、人もいないで何が出来るんでしょうか」と生意気にも反論した。

 お陰で宮城県の計量協会はその後順調に事業が拡大して07(平成19)年度の予算を9000万円の大台に乗せて14名の事務局体制で次の会長に引継ぐことが出来た。

 計量記念日事業も県・市の予算に頼ることなく協会としてかなりの額の予算を計上することが可能になり、年々参加者も増えて大いに盛り上がってきている。20数年続けているみやぎ計量のひろば≠ヘ健康と計量≠テーマとして市内繁華街のデパートの前で開催したことで一般の方々の関心を呼び素晴らしい成功を収めたが、近年は八木山動物公園に会場を移し動物と計量をテーマにした催しで子供達の人気を得ている。小学生のポスター募集も子供達に喜んで参加してもらってはいるが未だほんの一握りの数でしかない。点から面への広がりをどのように実現してゆくべきか、難しい問題を問われている。

 こうした時代の流れの中で23年間本当に恵まれた時期に会長を努められたことは私の人生にとって幸せなことであった。

 しかし心残りは若き日に目指していた財政基盤の確立が出来さえすれば協会本来の計量思想の普及啓発に大きな貢献が出来るという理想には程遠い姿のまま引継いだことである。

 事務局は日常9000万円規模の事業活動に追われて活気に溢れているが、どうしても公益法人としての活動は後回しになってしまう。会員達の熱意と14名の事務局を活かしきれずに終わった。私のリーダーシップが足りなくて不本意ながら文化団体としての満足できる結果を残せなかった。

 そのことが問われるように、今、公益法人の見直しに直面している。宮城県の計量協会にとってはクリアが大変難しいと思われる。クリアが難しいから一般社団法人で満足するのではなく、この機会をチャンスと捕らえて体質の見直しと改善を図り公益法人の審査の壁は乗り越えて他地区のモデルになるような協会に脱皮して貰いたいと切に願うものである。

(つづく)

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