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日本計量新報 2008年5月18日 (2724号)より掲載

私の履歴書 鍋島 綾雄  

日東イシダ(株)会長、(社)日本計量振興協会顧問、前(社)宮城県計量協会会長

目次

25 多彩な事業を展開 2757号

 会長になる前から狙っていたのは県がやっていたトラックスケールによる計量証明事業である。検定所にトラックスケールを設置して年間150万円以上の収入があった。私はかねがねこの証明事業を協会に移譲して貰いたいと願っていたがそう簡単には実現しそうもなかった。

 ところが、思いがけない援軍が現れた。県が立ち上げた行財政改革委員会という委員会がこれに目を付けて、県の計量証明事業を廃止して協会に移譲すべきと結論を出した。

 お陰で会長就任2年目の1986(昭和61)年には早くも念願がかなった。トラックスケールの設備を計量協会に無償貸与し、計量証明書を知事名で発行してきたのを計量協会長名の証明に切り替えた。その後数年後に無償貸与でなく無償払い下げに切り替えられ、それから20年間協会の貴重な収入源となっている。

 協会に対する県の配慮に深く感謝するものであるが、協会もその期待に応えてきたこともあり、県の信頼を得たことが、その後色々と事業が舞い込むことに繋がった。

 県では産業技術センターで鉄筋やコンクリートの強度試験をして証明書を発行していた。実際の業務は商工労働部長が理事長の財団法人を設立して、センターの設備を使って実務をやらせていた。後に副知事になる松木さんが商工労働部長の時、部長室に折に触れてよく顔を出していたのが役に立ったのか、1996(平成8)年、関係団体を整理するに当たって部長の英断で財団法人を廃止して事業を計量協会に移譲するという話になった。鉄筋の強度検査と生コンのテストピースの強度検査をやるのだが、職員5名も含めてそっくり引き継いだ。引き継いだ時、職員(技術者)は日給制であったが、協会の職員として迎え、他の職員と同じ待遇にした。

 ここ数年、耐震偽装の問題もあって関心も高く、2006(平成18)年度で鉄筋の検査成績書の発行9611件、コンクリートの検査成績書の発行27538件という実績を残している。

 設備投資はゼロで25000万円強の有難い委託契約だが、その他にこの仕事が増えたことによって収入証紙の売上が6000万円強あって売りさばき手数料だけでも180万円の増加が見込めるという願ってもない話だった。

 運が良かったと言えるが、これも県の上層部が協会の存在を認識し高く評価していてくれた結果である。

(つづく)

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