質量標準のトレーサビリティーに関し
基準分銅と基準天びん等のご用命承ります

東京地区質量基準器事業者連絡協議会

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はじめに
 私たちは質量標準のトレーサビリティーに関して基準分銅、標準分銅および基準天びん等の専門的な製造事業者として深く関わってきた者であります。日本の質量標準づくりとその供給は私たち専門の製造事業者があってこそ成立しうるものと自負しており、これまでの質量標準機器の供給実績がそのことを証明しております。
 計量法で定められた基準分銅あるいは基準はかり、基準天びんの製造と検定を受検しての納品等、質量標準とそのトレーサビリティに関係する全ての業務に関して私どもにご用命いただければ、専門事業者の立場から個々の需要家に対してリーズナブルで最適の質量標準器ならびに質量のトレーサビリティー実現のためのサービスを提供させていただきます。
 私ども質量標準器の専門事業者が、日本の質量標準器の供給とトレーサビリティーの実現のために、持てる知識と技術を結集して、需要家の多様なニーズにお応えするために勉強会の形で組織しているものであります。日本の産業界その他の質量標準のトレーサビリティー需要は、ISO九〇〇〇シリーズを中心にして多様な内容になっており、専門事業者とは申しましても個々の企業の経験だけでものごとを判断できる状況ではなく、多くの事例を集めて検討し、社会で新たな常識となりつつある的確な質量標準器を供給するために研鑽しております。
 質量標準の供給に関しましては制度内容が複雑でありますから、一般の方には分かりにくく、標準器の供給を受けるための専門事業者選びに困惑している方が多いかと存じます。私たちは長年にわたり、お客様のご信頼の下、日本の質量標準の製造と質量標準の供給に関わってきた専門事業者でありますから、初めての方でも安心してご用命いただけるものと存じます。
  以下は、私ども東京地区質量基準器事業者連絡協議会が、日本の質量標準のトレーサビリティーに関して事例を集めて検討した結果、導き出された現状のリポートであります。需要家の皆様の質量のトレーサビリティー実現のための参考にして下さい。

1、質量は基準・標準と比較して求められる
 計測が正しく行われるためには計測するその量の標準がなければなりません。計測とは基準となる量との比較とJISでは定義されておりますが、質量の計測も質量の標準との比較なのであります。

2、標準器とはかりのずれがあっては正しい測定はできない
 各種のはかりや天びんは質量をはかるものですが、質量をはかるとは質量の基準との比較でありますから、はかりや天びんが質量計として機能する背後にはいつでも質量基準器や質量標準器が作用しているのです。こうしたことを忘れてしまいますと、はかりや天びんはそれ自体がいつでも正しいのだから、その測定はいつでも正しいのだという思い込みをしてしまいます。ゼロ点の調整を怠ったはかりで質量を測定しますとゼロ点がずれただけ、測定はずれた値を示します。はかりや天びんがはじめから質量の基準となる値とずれていれば、その後はずっとずれた測定値を示してしまいます。

3、計量法の質量基準器制度と基準分銅および基準はかり・基準天びん
 質量標準を示す標準器にはその精密さ、不確かさによって順位がつけられ、計量法の質量基準器であれば、それは基準分銅の呼ばれ、上位のものから特級基準分銅、一級基準分銅、二級基準分銅、三級基準分銅があり、それぞれに検査成績書には有効期間が定められております。また同様に計量法では基準分銅の検査をするための基準はかりを制度として定めております。
 基準はかりには、基準手動天びん、基準直示天びん、基準台手動はかりがあります。この基準はかりの検査の有効期間は三年です。
 平成五年に改正された計量法によって、基準分銅や基準はかりの用途が限定されました。基準分銅は取引または証明に用いるはかりの検定や検査に用いるためのものと規定されましたので、基準分銅や基準はかりの検査を受けることができる者は、計量士、質量計の製造・修理事業者、検定所、検査所等に限定されました。

4、取引および証明以外用の質量標準に関する計量法上の制度
 計量法は質量基準器等の用途を取引および証明に用いる特定計量器の検定や検査に関するものとして規定したこととあわせて、産業界の計測標準のトレーサビリティを体系づけるため、通産省(国)が標準供給のための認定事業者を認定する制度を設けました。認定事業者は校正した計測標準に対して国家標準とのつながりを公に示すJCSS(Japan Calibration Service System)ロゴマークを付した校正証明書を発行することができます。

5、計測器と計測標準の国家標準とのつながり
 質量を含めて計測することは基準となる量との比較であり、その基準は国家の標準と技術的に整合がとれたつながりを持たなくてはなりません。産業界などで使われている計測機器や計測標準はどんな形かで国家標準とのつながりを持つものですが、そのつながりを証明する手法は必ずしもJCSSロゴマーク付きの校正証明書によってなされているわけではありません。一事業所内で必要とする計測器や計測標準は一つの量(計量単位)だけということはなく、様々な量(計量単位)があり、その量(計量単位)に関して通産省が認定する校正事業者がない場合があります。そうした場合には、どんな方法かによって国家標準とのつながりを技術的に示すことによって、その計測器や計測標準の正当性を証明することになります。

6、JCSSロゴマーク付き校正証明書とロゴマークなしの校正証明書
 日本の産業界における計測標準に対する需要は潜在的には大きなものがありますが、これまでは計量標準器や基準器の製造事業者等の校正サービスによって対応してきた経緯があります。現在でも通産省の認定を受けた校正事業の認定事業者の校正業務のすべてがJCSSロゴマークを付した証明書というわけではありません。計測器や計測標準の校正を依頼する事業所がそれらすべてをJCSSロゴマーク付きの校正証明書の発行を受けることになりますと、料金が思いの外かさみますから、それぞれ事業所の諸事情を勘案してロゴマーク付きとそうでないものとに振り分けることをすることも多いようです。

7、質量基準器および質量計製造事業者が発行する社内校正成績書が社会に通用する
 どんな事業所でも何らかの計測を実施しておりますから、その計測の国家標準とのトレーサブルであることを技術的に証明したり、説明できなくてはなりません。質量測定分野では、質量標準となる分銅や質量計の国家標準とのトレーサブルな関係を技術的に証明することを求められることが多くなっております。ISOの品質保証システムのISO9000シリーズや、ISOの環境監査システムのISO14000シリーズ、そのほかGLP、GMPなどがそうでありましてここでは使用中の計量器が設定された仕様に適合しているかどうか、一定の周期で点検を実施することを義務付けています。また食品安全分野のHACCPも実際に機能するようになってきております。以上のことから、計量標準と計測器のトレーサビリティの確保は、産業のあらゆる場面で書面上も実質上も欠かせなくなっております。「何となくトレーサビリティ」の時代から、「はっきりとトレーサビリティ」の時代に移行していることが、どのような計測標準に対しても、またどんな計測器に対しても、トレーサビリティを証明する書面の添付が求められることとして現れているといえます。 従いまして、質量基準器および質量計製造事業者が製造する質量基準器や質量計に対してもトレーサビリティ証明書が要求され、関係の事業所は質量の国家標準と整合の取れていることを技術的に証明する社内校正成績書などを発行して、こうした社会のトレーサビリティ需要に対応しております。そのような社内校正証明書が計測機器等を求めた事業所内の質量標準等のトレーサブルな関係を証明するものとして社会的に通用しております。

8、社会の質量標準の流れに重要な位置を占める質量標準器の製造事業者
 質量標準器は分銅あるいはおもりの外形をとりますが、そうした外形のものを規定の質量値に調整することが技術的には決定的に重要であります。質量標準器を製造する専門の質量計製造事業者は非常に微細な質量をはかった上で調整作業をする専門的な技術者でもあり、求められる精密さの度合いに応じて丹精込めた仕事をすることになります。そこには技術の熟練を要しますし、はかること、そして調整する作業は想像以上の時間をかけた仕事になります。
 質量標準の定期点検あるいは質量基準器の基準器検査の再受検のためには、専門の製造事業者の手で新品を作るのと同等の細かな調整等の作業工程を経ることになります。標準器は定期的にそのような厳密な校正作業をしてこそ、信頼性を確保できるものです。
 標準器は使用場所に対応した等級のものを使うことは当然です。精密さの要求度の低い場所で、はるかに上位の質量標準器を使用することは経済的ではありませんし、取扱いも難しくなります。従って、要求精度を常に考えながら質量のトレーサビリティを確保することが正しい対応といえます。

9、質量標準器あるいは質量基準器とワンセットと考えたい基準はかり
 質量標準器あるいは質量基準器が所定の性能を保持しているかどうかを確認する手段は質量値を比較することです。それは上位の質量標準器あるいは質量基準器と下位のものとを比較することによって実現します。計量法上の質量基準器を比較し検査するための質量比較器が基準はかり(基準はかりおよび基準天びん)であり、計量法では基準はかりの検査の有効期間を三年と定めております。
 基準はかりは所用の基準分銅の基準器公差の数倍から一〇倍程度の質量読み取り性能を持っていなくてはなりませんから、非常な精密さを要求されます。質量基準器である分銅やおもりを計るはかりが基準はかりであります。基準はかりがあってこそ質量基準器である基準分銅のどの検査ができるのです。

10、基準はかり、基準天びんの基準器検査再受検のための費用と総合的には安くつく維持コスト
 基準はかり、基準天びんには基準器検査の有効期間が定められており、それは三年です。三年ごとに基準器検査を受検することになる基準はかり、基準天びんですが、質量測定において、長期保有の際の維持コスや信頼性と安定性を考えますと、こうした昔ながらの精密な機械式のはかりは非常にすぐれた内容を今なお保持しております。
 三年ごとに所用の調整をした上で基準器検査を再受検したとしましても、電子式のマスコンパレータを新規に導入することを考えましたら、機械式の基準はかりあるいは基準天びんはの総合的な維持コストは安いといえます。
 計量法は平成八年四月一日から、基準はかりの用途に「読取限度が基準器検査を行う分銅の基準器公差の五分の一以下」の電気式はかり等を質量比較器として用いることができることを定めております。これは電気式のはかりの性能向上を背景に制定されたものと考えられておりますが、旧来からある基準はかり制度がなくなったわけではありません。
 基準器検査を行う分銅の基準器公差の五分の一以下の読取限度を有する電気式はかりを計量法上の質量比較器と同等の扱いをしたとはいいましても、機械式はかりである基準はかり、基準天びんの電気式はかりに対する安定性等の優位性を説く専門家がおりますから、使用状況に応じた選択が求められます。質量の大小に応じた電気式はかりの選択、あるいは電気式はかりの前段階的な使用を説く声には一考の余地があるものと思われます。
 何れにいたしましても基準はかり、基準天びんを用いての基準分銅の検査は歴史がその正当性を証明している伝統的な技術であり、現にそうした技術を継承する事業者が日本国には厳然と存在し、事業をしているのですから、計量法に定められた基準はかりの使用に際して、こうした事業者の技に質量測定の信頼を委ねることは社会的には真っ当なことといえましょう。

【東京地区質量基準器事業者連絡協議会会員一同】

秋山衡材(株)
 〒130-0021東京都墨田区緑1-13-11 電話03-3634-0156 Fax03-3632-8756
(株)稲葉製作所
 〒110-0003 東京都台東区根岸3-12-21 電話03-3876-3961 Fax03-3876-3964

菅原精工所
 〒114-0003 東京都北区豊島1-19-5 電話03-3911-0752 Fax03-3914-0175

(株)新興度量衡製作所
 〒145-0076 東京都大田区田園調布南1-4 電話03-3750-3484 Fax03-3750-3497

(株)大正天びん製作所
 〒304-0031茨城県下妻市大字高道祖4219-2 電話0296-43-7021 Fax0296-43-8150

(有)白虎精機
 〒271-0068 千葉県松戸市古ヶ崎4-3592-2 電話0473-64-1346 Fax0473-64-1394

双葉精工所
 〒125-0031東京都葛飾区西水元1-29-3 電話03-3609-7385 Fax03-3609-7385

(合)安並化学衡器製作所
 〒272-0031千葉県市川市平田3-29-10 電話0473-77-1511 Fax0473-77-1527


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