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第190回NMS研究会報告(2013年12月)

(3013号/2014年6月8日掲載)

コニカミノルタ(株) 近藤芳昭

 2013年12月7日(土)、品質工学学会会議室で、第190回NMS研究会が開催され、14人のメンバーが参加した。2013年11月に開催された第6回品質工学技術戦略研究発表大会(RQES2013)に関する各自の感想や意見交換と、持ち込みテーマ4件の紹介があり、終始活発な議論がなされた。以下に、主だった議論の要点を記す。

テーマ@「第6回品質工学技術戦略研究発表大会(RQES2013)の振り返り」(応用計測研究所矢野宏、NMS研究会吉原均他)

 ▽「品質工学は問題を解決しない」という言葉の意味は深い。問題を起こさないようにすることに価値があるのだが、その効果を検証するのが難しい。
▽いかに高く買ってもらえるものを作るかという新しいもの作りに品質工学は力を使うべきであろう。
▽テーマ設定が大事ではないか。「ここを直したい」といった問題解決が目的になってしまうと、新たな価値の創造にたどり着けない。

テーマA「非球面ガラスレンズ収差特性改善」(アルプス電気(株)中沢和彦)

 非球面ガラスレンズの量産品質向上をめざし、収差を品質特性とした評価を実施したという報告。L36直交実験結果と検討した因子(成型温度など)の概要説明があった。欠則した条件の扱いや、再現性が悪い点、金型間の差の扱いなどが今後の課題としてあげられた。

テーマB「日本企業の興亡」(NMS研究会吉原均)

 日本企業の興亡をテーマとした新たな研究に取り組んだ報告。各企業の公表データと、平均年収・年齢・社員数・総賃金に対する売上高などを用いて企業の診断をめざしている。今回は約2500社を対象に検討し、単位空間の取り方を試行錯誤した。単純に誤圧距離だけで企業の善し悪しを判断するのは難しかったため、信号間の相関係数に着目して検討を進めるとのこと。

テーマC「自動車の乗り心地シミュレーション結果の妥当性評価へのMTシステム活用」(KYB(株)満嶋弘二)

 自動車の乗り心地に関する検討の報告。どのような車体やタイヤの組み合わせでも、アブソーバで衝撃を吸収して乗り心地を安定化しようという研究思想。さらにシミュレーションを用いた期間短縮もめざしている。現在は評価者の感覚と車両挙動の相関分析をおこなっている段階とのこと。

テーマD「シミュレーションによる開発上流段階での品質検証」(コニカミノルタ(株)近藤芳昭)

 製品開発の構想段階で複写機の生産適合性や設計品質をシミュレーションで評価して、製品全体のシステム最適化や開発早期化への貢献をめざしている。画像の均一性を対象に、設計構想を元にしたL18×L18直交実験シミュレーションをおこない、CMYK色でバランスのとれた因子を最適条件として選択して一定のロバスト性を得たとのこと。
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