計量計測データバンク「日本計量新報」特集記事計量関連団体 年頭所感(2015年一覧)>【日本硝子計量器工業協同組合理事長】組合全体で技術の継承を

2015年 計量関係団体 年頭所感

組合全体で技術の継承を

日本硝子計量器工業協同組合理事長 横田賢次郎

横田賢次郎 新年おめでとうございます。組合員各位におかれましてはどのような新年をお迎えでしょうか。
 年末の総選挙、政権の継続、円安、株式の回復高、日本経済はその期待されるように進むのでしょうか。
 大手企業は潤い、一方私ども小規模企業の現状はいかがでしょうか。巷でいわれるように、私どもまでその潤いは届いていないように思えます。
 昨年9月12日、水俣条約国内担保会議、いわゆる「水銀に関する水俣条約」に関する第2回会議が開催され、組合として出席をしました。
 その会議で、組合としてガラス製水銀温度計について、@製品の概要A製品の生産・輸出入の実態B製品の代替可能性とその代替品の状況C製品の代替困難用途とその根拠D原料水銀の調達と保管の実態E業界としての要望の各項目について数量、実態を含めた説明をして意見を述べてきました。そして、近々これらの会議を踏まえて国内法が制定されるとのことです。
 この制定に合わせて水銀製品添加製品に関しての検討会が立ち上がります。そのためのヒアリングが改めておこなわれる予定です。ガラス製温度計の将来がかかわっておりますので、組合員には再三にわたりますが、ご協力をお願いいたします。
 次に、毎年の話になりますが、組合員は高齢化と、職人といわれる技術者の退職でさらに厳しい現状にあります。
 一部作業工程では新しい方法を取り入れていますが、精密なガラスの加工などはまだまだ人の手に依らなければなりません。つまり、製造工程における若い人材を育てなければ、それぞれの技術の維持、発展はあり得ないところまできています。その材料であるガラス管もほとんどが輸入に頼る状態が続き、今後とも変わらないでしょう。昨年、そのガラス材料のドイツの供給先会社がチェコのガラス会社と合併し、一部材料の供給が難しくなるといわれています。
 人の問題、材料の問題と組合の状況は以前に増して厳しくなります。このようななか、組合各位には、どうか次世代に繋がるよう、組合全体で技術の継承に繋がるようご協力をお願いします。
 私共メーカーは、これからどのように進むべきでしょうか。
 日本硝子計量器工業協同組合は、オンリーワンであり、国内には2つとしてありません。そこで、毎年のことになりますが1951(昭和26)年組合設立当時に掲げた4項目を述べてみます。

 1 相互扶助の精神を基調とする団体の力による共同事業の実施
 2 弱小企業といわれる組合員の自主的経営と経済活動の促進
 3 天下の公器を製作するという自負心による良品製作の推進
 4 専門化、高級化という市場開拓による適正価格の維持


 どの項目にも、先人達のすばらしき思いが溢れています。
 私どもは日本ではひとつしかないガラス製温度計等の製造事業者の団体です。小さな組織ですが、共同でできる事業は多々あるかと思います。
 現在もおこなっている材料の共同購入、過去には温度計あるいは浮ひょうのJIS制定、その改正、組合規格の製品の販売等があります。
 また、ガラス製温度計の啓蒙として、東京都などがおこなう小学生対象の出前計量教室に寒暖計の製造キットを提供しています。
 2003(平成15)年11月に東京江戸博物館で催された「平賀源内展」、その関連事業である江戸開府400年計量記念事業で、私ども組合が来館者を対象に寒暖計教室を開催しました。それが現在の出前計量教室へと続いております。この出前教室、ガラス製温度計の理解を広めることに良い機会となっています。
 次に水銀の廃棄についてですが、組合が廃棄事業者と契約しその処理を委託しています。これは1984(昭和59)年からの実績があります。前述の会議でも胸を張って述べることができました。まさしく組合としての共同事業そのものです。
 このように組合の存在意義を深め、われわれ団体でしかできないことを考え、組織の一層の活性化を図ることで邁進をしたいと考えています。組合員はもとより、みなさまの一層のお力添えをお願いする次第です。どうぞ、本年も関係官庁、関係団体、関係各位皆様のいっそうのご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
 以上、年頭にあたりごあいさつ申し上げます。

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