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2003/07/16
今日の計量新報ニュース(日刊 計量計測データバンク)
法隆寺の五重塔の再建説確定的に、使用木材の年代測定で
奈良文化財研究所によると、奈良県斑鳩町の世界最古の木造建築物、法隆寺の五重塔(国宝)に、624年から663年の木材が使われていたことが7月15日、分かった。同研究所が年輪年代測定法で調べたもの。
樹皮がないため、詳細な伐採年代は特定できないものの、おおむねその年と考えられるという。法隆寺は聖徳太子が607年ごろに創建、670年に焼失し再建したという説が有力であり、今回の測定結果は五重塔の再建説をほぼ決定づける結果といえる。
同研究所は塔の部材14点を測定。うち3点が、年輪の最も外側になる「白太(しらた)」部分が残っていたため、詳しい年代が特定できたとしている。垂木2点と化粧裏板1点が、それぞれ663年、631年、624年の木材だった。
創建当初の寺とされる若草伽藍(がらん)の跡が1939年に確認されたため、現存する法隆寺西院の建物は再建とする見方が主流だったが、01年に、心柱(しんばしら)(塔の中心の柱)が年輪年代法で594年伐採と判明、伐採直後に現在の五重塔が建立されていたとすれば、法隆寺創建ごろの建物ということになるため議論になっていた。
年輪年代測定法とは、暦年代がわかっている年輪の幅の変動 パターン(これを「暦年標準年輪幅変動パターン」という)を蓄積し、それと年代の不明な資料の年輪幅変動パターンを照合することで、年輪の暦年代を特定するもの。