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2003/04/22
今日の計量新報ニュース(日刊 計量計測データバンク)
ソニー、半導体生産に3年間で2,000億円投資、次世代PS向け「CELL」量産へ
ソニーは、新たな半導体開発に向け、今後3年間で総額約2,000億円の設備投資を実行する、と発表した。今回の計画は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(以下、SCEI)が次世代のプレイステーション(PS)に搭載する新型汎用プロセッサ(コードネーム:CELL)を中心としたブロードバンド対応のシステムLSI群を生産することを主な目的としている。
今回の計画は、2003年度を初年度としており、約730億円を投資して、長崎県諌早市にある、SCEIの半導体生産拠点「SCE Fab2」の未使用空間を中心に、300mmウエハで65nmプロセスに対応した新たな半導体生産ラインの導入を開始する。新設するラインでは次世代汎用プロセッサの開発後期における試作からスタートし、段階的に量産体制を構築していく方針だ。
SCEIは、米IBM、東芝と共同で2001年春頃から、ブロードバンドネットワーク時代の基幹となる、次世代汎用プロセッサの研究開発を進めている。また、ソニーはこれら3社とともに、半導体の微細加工技術の開発に取り組んでいる。さらにブロードバンドアプリケーションに対応した信号処理技術の研究開発にも着手している。
ソニーは「SCE Fabは、ゲーム用以外にも、さまざまなエレクトロニクス機器向け高性能LSIを生産している。今回の投資は、多様なデジタル機器を視野に入れた高性能半導体の生産を担う、最も重要な拠点をいっそう強化するものとなる」としている。同社はこの4月にブロードバンドネットワークカンパニーを新設、エレクトロニクスとゲームを融合した商品の本格展開を計画しており、SCE Fabは、これら新事業の起爆剤となる。
SCEIは「今後拡大するブロードバンドネットワーク時代を支える重要なプロセッサ群には、最先端の半導体技術の導入が不可欠であり、ゲームをはじめ、映画、音楽、デジタル放送など、家庭内のさまざまなブロードバンドアプリケーション群を支えるデジタルコンシューマー電子機器やネットワーク機器が、今後はパソコンの進化とともに半導体技術の進化の強力な牽引力となっていくと考えている」としている。
米IBMでは、今回の計画について「『CELL』の開発は順調に進んでいる。今回のSCEIとソニーの発表は、『CELL』のデザインの進展およびその可能性を最大限に引き出す半導体技術の向上、『CELL』のさまざまなアプリケーションに幅広く対応する可能性を裏付けるもの」と論評している。
また、東芝は「『CELL』は、将来の東芝半導体事業の中核となる非常に重要な次世代汎用プロセッサであり、東芝は、デジタル家電、モバイル、ブロードバンドネットワーク市場を中心とした幅広いアプリケーションに『CELL』を導入、積極的に促進していく方針だ。今回のソニーグループの発表により、この動きが加速していくことを期待する」としている。