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ツツドリ

夕暮れに  ツツドリの啼く  杉木立ち   虚心

ツツドリ


 相模湖の住まいには週末に戻る生活がつづいています。春が早いと梅の実が大きくなるのも早いのです。梅雨も早く訪れるように思われます。ですから野鳥の産卵行動も早いことになるのでしょう。夏が早く来るとどんなことがおこるのでしょうか、わかりません。

 夏の訪れが早いということは夏山登山をはじめ、夏の野外遊びの開始が早まるということで、今年は100名山つぶしを夏の早いうちにひとつやる予定です。山梨と長野の県境の山です。

 夏が早く来た裏の林ではアカハラがせわしく鳴きます。ウグイスもいつも以上です。新しい来訪者に聞き耳をたてているとツツドリの声がしました。

 フォ・フォー・ポー・ポーという太い竹筒に息を吹き掛けたときに出る音と同じ鳴き声をします。ツツドリの名はここからきています。
 ツツドリはカッコウと酷似した姿をしておりますが、カッコウに比べるとツツドリの方が腹部の縞模様が荒くなっています。野外でその区別がつくのは余程のベテランです。ツツドリの鳴き方は筒に息を吹き掛けたときのようなものですが、カッコウの鳴き声は名前通りのものです。大きさはハトと同じくらいで、ジュウイチもそうです。似ている鳥にホトトギスがあり、キョ・キョ・キョ・キョという鳴き方です。ホトトギスはヒヨドリほどの大きさです。いずれもホトトギス科に属し、子育ては託卵です。卵が似た鳥に預けるようで、ツツドリはセンダイムシクイなどに、カッコウはホオジロなどに、ジュウイチはコルリ、オオルリなどの青い卵をもつ鳥に、ホトトギスはチョコレート色をしたウグイスなどです。これらホトトギス科の野鳥は自分で巣を作ることがありません。いずれも夏鳥です。カッコウは夏を象徴する野鳥ですし、ホトトギスも唱歌になっているので「卯の花」とのセットで名前は良く知られています。

 この鳥たちの餌は昆虫ですが、季節が重なるからからでしょうか毛虫を良く食べるということになっています。ツツドリによって裏の林の害虫が駆除されて杉や檜が良く育つといいのですが、こうした商業林に人の手が入らず打ち捨てられることになります。日本の林業は人件費の高騰で成り立ちにくくなっているようで、これが原因で商業林は放棄され、また薪を採らなくなったために雑木林もまともでなくなっているのです。GDP世界第2位のこの国は工業立国として繁栄してきたものですから、農業、林業とのバランスが崩れてしまったのでしょう。日本の野鳥の減り具合をたわく声が耳に届きます。明治以降の野鳥の減り方は顕著だったようですが、その速度がどうであるか詳しい資料をもっていません。シベリアにあまり手が入っていないのが救いであったように思いますが、アジアの工業化によって渡り鳥が棲む環境に圧力が加わっているのでしょうか。

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