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コジュケイ

コジュケイの 二羽いた跡に ハコベ萌え  虚心

コジュケイ


 コジュケイは足下から急に飛び出します。ときどきは道路に出ている姿をみますが、落ち着いて観察したことがありません。朝一番に飼い犬の糞尿を済ませるため立ち寄る林で、コジュケイがよく餌をついばんでいます。ここは、うらなりの野菜は収穫しても面 白くないので、次の苗を植えるときに根ごと引き抜いて捨ててしまう場所なのです。春先の餌の乏しいときにはコジュケイの格好の餌場になるのでしょう。
 ツガイのコジュケイがここで私と飼い犬を毎朝迎えてくれるのです。ウヅラより一周りほど大きく、キジバトほどの身体をしたコジュケイは愛嬌者といえます。道路に出ていて人の前を何メートルも一緒に前進するときなど、タモ網で捕まえられるかなと思うこともあります。鳴き声は「チョトこい、チョットこい」というものなのだそうですが、私はコイジュケイの鳴いている姿をみたことがないのです。
 コジュケイは日本にもともといた野鳥ではありません。中国が原産ですが大正年代に飼鳥が逃げて野生化したということであり、その後は猟のために積極的に放鳥したのが居着いて、日本の在来種のような顔をするようになりました。ウヅラよりは華やぎのある体色であるものの度ぎつさはないので日本の野にいても違和感はありません。
 この春のウグイスの初鳴きは3月21日でした。鳴き出すと遠慮がないのがウグイスです。毎日毎日、ホーホケキョの声が聞こえます。紋白蝶は3月22日に見ました。関東地方は春分の日を境に確実に暖かくなります。東京地方の桜の開花宣言は3月23日に出されました。暖かくなると縮こまっていた心も身体もノビをしなければなりませんが、人は必ずしも春だからといって心が浮きたつものではないようです。日照時間の延長が心模様に影響して気だるくなる人が少なくありません。狼はどうしたわけか満月の日に異常に興奮するのです。現在の科学の力は万能ではありません。観察を通 じて法則のようなものを見つけだしはしますが、その訳を説明をできないでいることが多いのです。
 動物たちは季節が冬から春に動くのにあわせて生命の活動を輝かせますが、人間の心は労働を通 じて年中均一であるように訓練されてきました。春や夏や季節の到来にあわせて浮かれ出すことはありませんが、祭りで浮かれてそれを調整してきたともいえるでしょう。
 自然のなかで野鳥を観察するということは祭りのような個人の行事ですが、それをしているからといって必ずしも心が晴れているということではありません。お天道様にも照る日曇る日があるように、心に雲がかかる日も少なくないのです。
 晴れたらいいね、と思っても心の曇る日には無理をしないのです。曇る日は、一日とゆっくりと自分の心と向き合うのも人生を過ごすための方便であるように思われます。

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