|野鳥歳時記|

ホオジロ

 

ホオジロが さえずり交わす 陽の温(ぬ く)さ 虚心


 ホオジロは里山の代表的な野鳥です。人の近づくのを察して藪陰からチチッと鳴いて飛び出します。比較的長い尾羽の両端にある白い帯が目立ちます。この尾羽の白がホオジロの象徴だと思います。頬の白さからその名前がありますが、これは捕まえたホオジロ間近に見て命名したものだと推察します。
 山にも人里にもいる野鳥のなかで人に媚びないで粛々(しゅくしゅく)と生きているのがホオジロです。その生き方に人間は学ぶものがあると思っています。春にも、夏にも、秋にも冬にもホオジロは人里で暮らしております。チチッ、チチッという鳴き声ですぐホオジロと分かります。野鳥を知らない人はホオジロと似たカシラダカとの区別 がつきません。雀とカラスしか判別できない人は多いのです。
 ホオジロは雀より少し大きく、姿は均整がとれていて私の一番好きな野鳥です。雄と雌では頬の白い模様が違い、何といっても雄の姿がいいですね。ケバクなく地味でなくその渋さといったらありません。チチッ、チチッというのが地鳴きですが、春になると新緑のてっぺんでくつろいだ姿でピチュピチュとさえずります。縄張りを主張しているのでしょうか、別 な野鳥が近づきますと一瞬身構えします。もう、春もたけなわです。タケノコを掘る時期でもあります。
 4月1日、犬を散歩のお供に裏の畑の小道を歩いておりましたら、ツバメの飛翔するのを見ました。目の錯覚かなとも思いましたが、4月3日に相模湖駅の軒下にツバメが来ているのを確認しました。それから日が過ぎて今日は4月17日です。ツバメは産卵行動に入っておりますし、雀などは一番雛が孵りました。他の野鳥も産卵を始めています。
 野に出てホオジロをみると私は安心します。ここには自然があるのだと。とは言いましてもホオジロが棲みやすい環境条件は落葉低木や芦原があることですので、この環境条件が無条件にいいということはできません。それでも都会にはホオジロは居ません。
 それでは春の野をを代表する鳥はなんでしょうか。ヒバリだと思います。私はこの鳥を今年はまだ見ていないのです。

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