|野鳥歳時記|

ゴジュウカラ

コロコロと  夏至の朝告ぐ  ゴジュウカラ 虚心

 夏山登山で八ヶ岳にはよく通いました。赤岳鉱泉のテント場まで標高をかせぐと翌日の行動がうんと楽になります。
 ゴジュウカラとの出会いはここでの野営のときでした。ゴジュウカラの啼き声は、私の耳には「コロコロ」と聞こえるのです。これはとても鳥の声とは思えません。6月の夏至のころに八ヶ岳に出かけたときのことでした。「コロコロ」という啼き声は、コオロギにして時期が早いしおかしいなと思いました。夜も明けきらないうちから「コロコロ」と耳に騒がしいのです。この啼き声は「チッチッチッ」と聞こえる人もあるそうです。これは地啼きで、さえずりは「フィーフィーフィー」なのだといいますが、私の耳には「コロコロ」に「チッチッチッ」を混ぜたような啼き声しか聞こえません。この不思議な声がまたかしましいので、テントの中から覗いていましたら、木の幹を頭を下にして歩きながら「コロコロ」と啼いている鳥がいるのです。これがゴジュウカラでした。
 八ヶ岳の行者小屋付近は、赤岳鉱泉とは離れておりますが、こちらは白骨樹が林立して異様な風景です。赤岳鉱泉を起点にして、硫黄岳に向かうと夏至のころにはまだ雪が残っています。その雪が消えた石ころだれけの平らな場所にはコマクサが桃色の花をつけています。そしてさらに進んで赤岳山方面 に向かう岩場には、人を怖れないイワヒバリが「ピョピョピョ」と啼きながら姿をみせてくれます。赤岳付近はイワヒバリが多いのです。雷鳥は八ヶ岳ではみることができません。ヨーロッパアルプスでもイワヒバリをみますが、日本のイワヒバリの方が可憐ですからで私は好きですね。雀もヨーロッパのものより日本のものがいいですよ。
 八ヶ岳に出かけますとゴジュウカラ、白骨樹、コマクサ、イワヒバリと衝撃だらけです。下山ルートを清里方面 にとりますと、夏至のころには途中の美しの森のレンゲツツジは見事ですし、聖泉寮に立ち寄りますと軒下にイワツバメが巣を掛けています。清泉寮は今は混み合いすぎておりますが、いいところです。
 夏はいいですね。昼が長いことなどもあって私は大好きです。

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