日本計量新報への投稿

はじめに(編集部)  (以下の文章は、2001年6月初旬に埼玉 計量団体連合会会長の松村恒夫さまからいただきました投稿をそのまま記載したものです。なお小見出しだけを編集部で付け加えました。)


 

関東甲信越計量協会連絡協議会と地区協議会との問題点

 松村恒夫(埼玉計量団体連合会会長)

 

●四四回目の関ブロ

 関東甲信越計量協会連絡協議会、通常『関ブロ』の大会は一都九県輪番制により昭和三十二年神奈川県を最初に各都県をめぐり、今年は四四回目の開催年、図らずも今回、埼玉 県が担当することで現在、開催準備に追われている。
 十〇年毎の輪番制の開催県として、昭和三十六年を最初に四〇年を経ての埼玉県として四回目の開催県に当たることになる。

●従属意識の減少が無関心に変わった

 その間、社会は人々の価値観を変え多様化させた。計量業界についても同様で特に行政指針の変遷、法改正の多くが『関ブロ』に対する会員の考え方を変えて行った。
 発足当時の時代背景を持つ会員と現在会員との意識構成の格差のあるのはごく自然と思う。嘗て会員の心構えは、計量 行政執行に協力する団体の一員である自負、更に国制管理品を扱う、特殊職業としての自覚自尊意識の共通 性が会員の結束を強め、一方官尊民卑、補助金制度の下支えが組織形成、組織維持強化の原動力であった。それまで伝統的な行政管理庇護の傘下に育った業界にとって行政緩和や、改革の基に自利自力を迫られる中で業界団体はすでに行政に対する期待感依存、従属意識、体制維持の意欲の減少が無関心に変わった。
 特に計量協会においての会員の減少が目立ち、各地計協の深刻な問題となっていることは、今更述べるまでもない。

●地区協議会構想

 日計協より日計振へ組織改正に伴う『関東甲信越計量連絡協議会』の容認と他に日計振独自の事業として地域協議会の創設に関する機関運営の説明が、昨年の八月二十二日(火)アルカデル市ヶ谷にて日計振主催に依る、地計協会長及び事務局長会議が開かれて以下の通 り説明があった。
 即ち定款第四二条(委員会及び地区協議会)の項目に「本会は事業の円滑な遂行を図るため、委員会及び地区協議会を設けることができる」又同条三項に、「地区協議会は、その地域の特質に応じ本会の目的を、遂行するために必要な事項・・云々」更に四項では、「委員会及び地区協議会の組織及び、運営に関して必要な事項は、理事会の議決を得て、会長が別 に定める。」

●日計振のニュー・ポリシィ

 新たに「地区協議会」なる会を創設し、従来継続されて来た、「関東甲信越計量協会連絡協議会」とは別 に日計振が新たに打ち出したのは、計量協会中心の協議と関係なく組織統合された日計振のニュー・ポリシィに依るものであって、謂うところ「地区協議会」とは定款に基づく日計振の機関運営に統括される。

●「アンケート」では殆どの地計協は反対

 だが、此の件に関し会議資料として提された「アンケート」では殆どの地計協は反対であった、従って会議の結論にも賛同の数は少なかった。むしろ既存の形の協会が色濃くクローズアップされ、第二七回計量 士を中心の「関東甲信越地区支部連絡協議会」開催県担当者が、本年開催県となる埼玉 へ相乗り開催要求の唐突な然も、運営対策委員の恣意的とも思える提案があった。此の件について日計振、計量 士会より何も聞かされていない。勿論事前連絡協議も、打診相談もない。あったとしても「関ブロ」の理事会及び地元の団体の合意了解が必要なはず。
 此の件について同席していた当県計量士会長の一言の発言もなかった事は意外だった。

●関ブロの会則と過去

 「関東甲信越計量協会連絡協議会」所謂「関ブロ」は現在引き継ぎ会則通り運営されている。 概要説明すると 一、目的 計量に関る諸問題の意見交換、会員相互の親睦と扶助。上申、協約の件 二、名称前述の通り 三、役員 理事三○名(うち会長一、副会長二、監事三)副会長、監事は輪番による。任期は三年とする 四、会員の資格 関東甲信越の計量協会、計量連合会 五、会議規程 ・年1回の開催を原則、・議長開催県より選出、・協議題は構成県よりの提出、・協議会の事後処理は会長のもとに行う、・理事会の開催地及理事会の議決は会長の決定に依る。
 会費一都県年額五万円で臨時徴収することも出来る会計年度(毎年四月一日〜三月三十日)。
 会計報告は毎年定例協議会に提出し承認を求める。以上が会則の概要である。  過去を遡れば「関ブロ」協議会の内容は地区それぞれの特長があり、親睦会は特に感じる。
 ある議題討議の際、来賓側の行政主務官と激論となり進行がストップした事もあった。又要望書、意見書を協議会決議として書面 提出しても、全く計量行政に生かされず、形だけの協議会となった。

●地区協議会の会則

 前述の如く、関ブロ協議会は、現行会則の基本通り構成運営され、現在確実に第四四回大会開催に向け進行中である。日計振会則四二条U項、V項に沿っての地区協議会則最終案の(総則)二条に本会の設置は、「社団法人日本計量 振興協会定款第四二条による」と明確に定義され同則三条にはその目的としては地域の特質に応じて(社)日計振の目的遂行のための調査審議をする。
 第四条の呼称は「関東甲信越地区協議会」を初め他、「東北北海道地区協議」「中部地区」「近畿」「中国」「九州地区」の六地区に区分され、地区協議会を設置し目的達成のため必要な事項について調査し、審議することである。地区協議会の構成員及び役員選出方法部会委員会設置他十五条に亘る地区協議会最終会則案が(平成十二年十一月二十日)運営対策委員会より提出されている。

●関ブロと地区協議会

 日計振による「地区協議会」構想と従来通り運営開催されている各地方計量協会連絡協議会との違いは、まず日計振の基に組織運営が機関決定される(日計振会則第四二条三項)(会則三四条総会に対す会長の報告義務)本年度事業報告三号議案U一四に「地区協議会等地区活動の支援」とあるが現在「関ブロ」の組織は小野田会長のもと、定款五条によって、理事三〇名、監事三名いずれも現在任期中、理事会は年二回、事務関係は都の計量 協会事務局が担当し、定款七条に依り賦課金が定められ、協議会開催費用の一部に当てられている。
 又協議会への提出議題は事前に会則六条の四項により、各都県計量協会より議題提出を求め会で審議するとあり更に六条の五項の協議会後の処理も適切に実行されている。  日計協以来日計振の、運営改善に鋭意努力をされておられる副会長の横田初英氏より地区協議会についての私見と、設置推進理由の説明書を頂いた。
 要は日計振として、任意の組織体として個別に現存する協議会をこの際「地区協議会」の名称の基に中央と地方を直結することで遊離感や、乖離心を払拭する目的で、現在閉塞状態にある地計協の活性化を図る。一方会員相互の連帯感を強め地区協議会を通 し、結束して管理支配体制を抑止する力ともなり得る。又主務官庁への要望書、具申する時の発言力の高揚にも繋がる。
 中央に対する役員選出方法は従来地計協を基盤として選出されるので、現場の実質会員の意見は即座に反映される。一方計量 士協議会と計量協会との合同開催には合理性はあるが反面問題点も多いと、私見書に見られた。

●組織構築と実体感

 「関ブロ」を初め各地の協議会に関しても同様に「殷誉褒貶」の批判のあることは事実だ。然し一時代業界発展に教導的役割を果 たしたことは事実である。日計振の定款に「地区協議会」との名称の上、すでに機関運営の俎上にある。強いて地区の自主性に委ねその特性を尊重すると言うが、現存する協議会の現状認識と「地区協議会」構想との整合性を、会員に対しどう説明し納得させるお積もりなのか。
 長期に亘り培われた地域会員同士の唯一親睦の場でもあり共通課題の協議の場として根付いたもので、そのまま、組織変更により会員の意識変化は急に起こり得ないと思うし、むしろ大会開催に対する会員の倦怠感を増長させる事を心配する。

●今後日計振に望むこと

 業界全体を概評してみると私には「同床異夢」の感がする。計量界に於いて共通 の思想、理念、目的が組織体個々の特性を越えて計量に携わる者の原点にあると思うが、組織体系は総て縦割式で、強いて申せば行政形閉鎖性の中では最も必要な、会員相互の親睦融和、連帯の精神は生まれない。

●拙速な包摂構想に溺れるな

 拙速な包摂構想に溺れることなく、会員及び関係団体総てに亘り出来る限り解り易く。業務、事業の説明。accountabeilty (説明責任)情報の公開等を含め、調整と、指導力を充分働かせ会員の信頼に答え、総てに円転滑脱なることをを含め強く「第四四回、関東甲信越計量 協会連絡協議会」開催県の責任者の一員としてお願い致します。


 

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