首都高速道路橋脚に金属疲労による亀裂が多数発見された問題に関する記事を集めました。


首都高亀裂、放置なら崩落
 東京都内などを走る首都高速道路の橋脚の溶接部に金属疲労による亀裂が多数見つかった問題で、原因の大部分は、法定重量を上回る過積載トラックの通行にあることが専門家らの調査で分かった。
 亀裂を補修しなければ5年ほどで橋脚が破断し、道路が落ちて大惨事になる恐れがあったことも判明。首都高速道路公団は、警視庁の協力を得て過積載の取り締まりを強化し、入線制限など抜本的な対策に乗り出す。同様の問題は阪神高速道路でも起きており、国土交通省と日本道路公団は、全国の国道や高速道の橋脚の緊急点検を実施する。
 首都高速道路での橋脚の金属疲労による亀裂は、1997年の定期点検で初めて発見。これまでに鋼鉄製の橋脚約2000本のうち、3号渋谷線の池尻付近(東京・世田谷区)や5号池袋線の東池袋付近(同・豊島区)など、計566本の橋脚で亀裂を見つけた。危険度が高い16本については補強材を取り付けるなど緊急補修作業を終えている。
 亀裂の長さは最長で約1・5メートルで、年間数ミリずつ延びていた。幅はいずれも0・1ミリ以下、深さは最も深いもので1・5センチ程度に達していたとみられる。

 公団は2000年に、三木千寿(ちとし)・東京工大教授(構造工学)を委員長に橋脚補修検討委員会を設置。亀裂の原因について、通行車両が橋脚に与える荷重、荷重が橋脚の鋼材に及ぼす影響などをコンピューターによる仮想実験や亀裂の断面の顕微鏡観察で分析し調べてきた。その結果、「想定を大きく上回る重さの車両が繰り返し通行することで、橋脚の溶接部分が金属疲労を起こし、亀裂が生じて進展した」と断定した。
 金属疲労による橋脚の亀裂は、鉄道橋で多く見つかっている。しかし、鉄道車両より軽い自動車が走る道路の橋脚では、疲労亀裂は入りにくいとされていた。
 三木教授らは、首都高での法定重量の25トンを上回る40―50トンのトラックが通行することで、橋脚に繰り返し大きな荷重がかかり、金属疲労が起きたとみている。公団は、車両の重さが2倍になると、橋脚へのダメージは約8倍にもなるとしている。
 また、その部位や大きさなどから、補修せずに放置した場合の亀裂の進み具合も調査。すると、亀裂は最短5年ほどで橋脚の溶接部分を貫通してしまい、結果、溶接部分は破断し、道路が落ちてしまう可能性が高いことも判明した。
 こうした橋脚溶接部の亀裂は、阪神高速道路でも橋脚14本で発見。日本道路公団によると、同様の構造の橋脚は、東京外環道151本、北海道の札樽道99本、近畿道69本など全国各地に計705本あるため、亀裂が入っていないか点検を急ぐ。国交省も国が管理する国道の橋脚について調べる。
 ◆年2万件近く摘発 追放は難題◆
 警察庁のまとめによると、昨年の全国での荷物の積載に関する交通違反は2万3362件で、このうち8割強の1万9384件が過積載。積載違反全体の件数は、1997年の約5万件から半分以下に減少している。
 首都高速道路公団によると、過積載とみられる大型トラックは93年度までは毎年130万台以上走行していたが、取り締まりを強化した94年5月の道交法改正で減少。近年は毎年50―60万台とほぼ横ばいの状態。一昨年度は約54万5000台で大型車の1・6%を占めた。料金所で量る軸重が12トン以上のトラックは過積載とみられるため、同公団では運転手に「指導警告書」を渡し、次の料金所で下りるよう求めている。しかし、指導を守らない運転手も多く、関係者によると、「警察の取り締まり時以外、車両の進入を拒むことは事実上不可能」という。

【読売新聞】タイヤ脱落:他に3件発生 三菱自動車に調査指示 国土交通省 
(2002-01-22)



 横浜市内で10日、走行中にタイヤが脱落して歩道の主婦を直撃し死亡させた事故と同車種のトレーラーが、過去に同様のタイヤ脱落を3件起こしていたことが22日分かった。いずれもけが人はなかったが、国土交通省はこのトレーラーを生産した三菱自動車に調査を指示した。
 国交省と同社によると、トレーラーは同社の「ザ・グレート」で、89年6月〜96年3月までの間に計3549台が販売された。過去のタイヤ脱落事故は00年2月に福井県内、01年9月に大阪府内、今月6日に福井県内で起きていた。いずれも福井県内の運送業者が同一の販売会社から購入した3台で、走行中に前輪がホイールごと脱落していた。
 販売会社は初めの2件について整備会社から報告を受けた際に整備不良と判断し、三菱自動車に報告していなかった。しかし、3件目が起きた段階で構造上の問題を疑い、同社に10日、3件をまとめて報告した。その当日、別の運送会社のトレーラーが横浜市内で新たな事故を起こした。
 三菱自動車で、販売された全車について追跡調査をしたところ、横浜の事故を含めた4件を除き同様の問題は見つかっていないという。国交省は「構造上の問題、整備不良、過積載が考えられる」として同社に調査を指示した。

【毎日新聞1月22日】 ( 2002-01-22 )

 

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