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日本計量新報 2008年6月29日 (2730号)

速度取締器と似たような自動過積載取締り装置ができている

 交通規則を遵守(じゅんしゅ)させるためなのか規則違反者を摘発するためなのかはともかく、自動車道路運行の速度違反を取り締まるための仕組みは実によくできている。オービスと呼ばれる常設型の速度取締器、移動型のオービス、そして「ネズミ捕り」、覆面パトカー、パトカー、白バイなどによって対応している。
 これに対して、自動車の規定積載量を超えて荷物などを積む、いわゆる過積載の取り締まりの体制と仕組みは速度違反ほどには整っていない。
 そのわけは、過積載を判別するための方法が車両をハカリに載せて実計量する以外になかったためである。実計量の方法としては、トラックスケールなどと呼ばれている大きな載せ台をもつハカリを使うことが多く、このトラックスケールは高速道路のインターチェンジなどに隣接して設置されている。また、持ち運びのしやすい構造の大型ハカリもあって、計量場所を随意設定して過積載の取り締まりを実施している。
 最近では、過積載の取り締まりが速度取り締まりと同じように実施できるハカリが開発されている。高速道路入り口などの誘導路に、走行中でも車両重量を正確に計ることができるハカリと車両の区別を識別する装置を連動させて、過積載車両を取り締まる装置で、オービスの過積載版である。
 高速走行中の車両の重量を計る方法として、2組か3組の埋め込み型で板状の荷重計と演算装置としてのコンピュータが同時稼働することによって、速度取締器のオービスと同じ働きをする。ハカリシステムの過積載取り締まり装置が総合的かつ本格的に稼働するにはいましばらくの期間を要するとしても、そのシステムがオービスと同じような働きをすることが技術面で可能になっていることの意味は大きい。
 速度違反は遵法意識の意に反して犯してしまうことが多いのに対して、過積載は最初から規定積載量を超えていることを意識して犯すことがほとんどである。過積載の取り締まりは警察の都合でときどき実施するだけだという状況であるために、自動車運行車は見つかったら不運であるという程度の意識で過積載を繰り返している。これが過積載は何時いかなる時でも知られているという交通監視システムができあがれば、過積載はほとんどなくなってしまうだろう。
 速度超過は自動車の安全運行に支障をきたす。同じように、過積載は法定速度で走行していても速度超過と同じように作用する。曲がれない、止まれない、タイヤの破裂などにつながり、事故の発生率が高くなってしまう。道路の破損、交通騒音などにも結びつく。
 スピード違反が制限速度をわずかに超えたくらいでは取り締まりの対象にならないのと同様に、過積載の取り締まりにもかなりのお目こぼしがある。それにもかかわらず、規定を遙かに超えて積載している車両運行者があるのは、これまで過積載の取り締まりにスピード違反の取り締まりほど有効な方法がなかったためである。
 守れない規則や過剰とも思える遵法精神と規則遵守の「コンプライアンス」に対して、そこそこのお目こぼしが設けられている過積載違反を犯さないように、運送会社や車両運行者はさまざまな方法で積載量をあらかじめ計量しておくようにするとよい。
 過積載は比較的割引が効いているコンプライアンスであるから、してはならない行為である。過積載対策の自主計量のためのハカリは、費用面でも十分に納得のいく安くて便利で正確なものがいくつも供給されている。


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