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新たな計量文化を創る

大和製衡(株) 川西勝三社長に聞く

聞き手は高松宏之編集部長

vol.3

日本計量新報 2010年12月19日 (2751号)2面掲載

川西勝三 代表取締役社長

1943年6月20日生、兵庫県出身

 

大和製衡は これから何をするのか

組み合わせはかりでも、新しい文化を創造

組み合わせはかりでも、新しい文化の創造を考えています。これも、既成概念を申し上げますと、第1に、計量機は本来、能力を上げると(効率を上げると)精度は悪くなります。能力を上げると商品と商品の間隔(プロダクトウィンドウ)は狭くなり、シール不良などが出ます。

第2に、逆に精度を上げると能力は低くなる、というのが常識でした。

既成概念が飛躍のための宝物

つまり、常識という既成概念が実は飛躍のための宝物だと思います。

問題は当たり前という既成概念がなかったら宝物はありません。「ダメ」とか「できない」ということが宝物なのです。

 

すべての商品系列を革新する

能力を上げると、かつ精度も上がり、かつプロダクトウィンドウも広がる。既成概念でなし得ないことを実現するのが、革新技術です。

大和製衡は、すべての商品系列で革新をおこそうとしています。
 既成概念で温存されている問題点、つまり「宝物」は山ほどあり、社長である私は、常に研究者の心、力を失わないようにして、経営者として技術革新を進めていき、それが経営の原点だと位置づけしています。

 

国際化が企業存続の条件

計量業界では成功している企業は、例外なく国際化が進んでおり、そうでない企業、つまり日本のマーケットの景気に左右される企業は、経営が大変苦しいのが現状です。

国際化、これが企業存続の条件です。

 

計量の文化を変える

計量メーカーは、世界に誇れる技術を持たないと国際化はできません。革新的な計量文化を創っていくこと、誇りある新たな文化を創っていくこと、これにより、国民の計量の文化が変わること。

これが企業発展の条件であります。

自動車計量器も規制を

法改正の間隔が長すぎる

−−計量法や規制対象計量器などに関して、意見をお聞かせください。


 計量器は経済活動の中心になる機器で、世の中の安心安全を守っていくという役割を担っています。そして、現在の世の中の流れは非常に速くなっています。ところが、計量法改正の間隔は約10年ごとです。

 法律改正の目的は、法体系を世の中の変化に対して順応させていくことです。したがって、現在では10年ごとというスパンの長い法改正では、社会の変化に対応した法律の目的を達成することはできません。

自動計量器は規制の対象外

生産設備に使われている自動計量器といわれるものがあります。また計量器には不定貫の計量器と定貫の計量器とがあります。
 計量法の大事な役割には、量目不足を出さないようにすることなど、消費者に安心を与えるということがあります。

この「量目不足」ということは、計量器(この場合ははかり)の種類によって二つに分かれます。いわゆる定量パックの商品、これは定貫計量です。それから、量り売りのもの、これは不定貫計量です。

不定貫の計量器と定貫の計量器で計量したときの違いは何でしょうか。不定貫の計量器、例えば料金はかりは、商品の単価が決まっていて、それに計量したグラム数をかけて、料金を表示します。つまり、不定貫計量器は計量器が本来持っている精度が、計量結果の精度に反映します。したがって、この精度は非常に高いです。こういう高精度の計量器で計っているのですから、消費者の利益は守られるわけです。現在では3000分の1の精度は当たり前になっています。

定貫の計量器ではどうでしょうか。これには、はかりの持っている精度とは別に、定量を実現するというハンドリング精度が絡んできます。このハンドリング精度は計量器本来の精度に対して大変悪い精度になります。

現実には、はかりの精度3000分の1に対して、定量(=定額)にするための精度は何十分の一、何百分の一になります。

このように包み方や売り方で精度が違うということは、消費者保護の観点からすると、問題があるということです。

現在、パック商品(定貫物)の量目検査というものがおこなわれていますね。これは定貫自動計量器を検査しないで、できあがった品物、結果のパックを検査しているのです。

 

規制しやすいものだけを規制するのではダメ

なぜ、このような定量にパックする計量器は計量法の網にかかってこなかったのでしょうか。
 このような設備機械である計量器に対して、フィードの精度などもありますから、これを法の網にかけて検査するのは大変だということがあります。
 つまり、精度が高くて消費者に対して問題を起こしにくい、検査しやすい計量器に法の網をかけているのです。

しかし、計量法の目的の一つは、適正な計量の確保による消費者の保護です。
 そのためには、定貫の計量器であろうが、不定貫の計量器であろうが、法の網をかける必要があります。

ヨーロッパでは定貫自動計量器に対して、必ず実量をチェックするウェイトチェッカーが必要ということで、計量法の網をかけているのです。

 

規制対象の計量器は30%

 計量法で規制している計量器は、生産されている計量器の3割程度です。当然、自動計量器は規制の対象ではありません。社会を守っている計量器の30%しか、消費者を守る規制の対象ではないのです。

したがって、都道府県の計量行政機関も、この30%の計量器のみを対象にしているわけです。
 しかし、メーカーとユーザーは、法の網がかからない70%の計量器に関しても、安心、安全の管理をしています。

これが問題です。日本は、自動計量器への規制も含めて、この30%という数字を拡大していかなくてはなりません。ヨーロッパでは、自動計量器も規制しているのですから。

安全安心の推進を掲げるなら、本腰を据えて取り組まなければなりません。
 この問題は、先ほど述べた法改正の間隔にも関連していきます。

10年ごとの法改正ですと、一回改正に乗り遅れると20年の遅れとなってしまい、社会の変化、つまり計測技術の進歩に対応していない法体制に陥ることとなります。

法律改正は政治がらみでおこなわれることが多く、それは小泉改革では、行政の簡素化に繋がる計量法改正に偏ったと思えます。

 

政治に動かされた計量法ではダメ

世の中の変化に従って、計量器の規制がどうあるべきかということも急速に変化しているにもかかわらず、その状況を改善するためではなく、行政の簡素化に偏った、政治がらみの法改正になってくると、社会の変化への立ち後れは甚だしくなってしまいます。

国民は、行政の簡素化には協力していく必要がありますが、それに絞られてしまったら、計量の世界は国際社会との隔たりが大きくなります。国民のためではない、政治に動かされた計量法ではダメです。

もっと大局をみる必要があります。特に、計量器でのリーダー的存在のメーカーは、規制される計量器も、そうでない7割の計量器も両方生産しているので、無批判で政治に迎合はできません。

ヨーロッパは、伝統を重んじますが、変化にはしっかりと対応しています。

ルール、つまり法律とはどうあるべきか考えています。

 

 

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