11月27日、近畿計量大会を開催
神戸市の神戸メリケンパークオリエンタルホテルで
計量協会のハカリの定期検査業務
欠損会計の慢性化で苦境に
近畿地域の計量協会がもちまわりで開いている「近畿計量大会」が2015年11月27日午後に、神戸市の神戸メリケンパークオリエンタルホテルで開かれ、計量士、計量器事業者に加えて計量関係行政組織の来賓など300名ほどが参加した。計量行政の根幹業務でもあるハカリの定期検査の実施組織が計量協会になっている状態にあって、協会運営は苦難をつづけていて年度会計が赤字という非常事態にあることが議題で提起され、討議した。
記念講演
絶対わかる!陽子線治療と重粒子線治療
大会は、第1部として、近畿計量協議会会長感謝状を贈呈し、提案議題の「計量関係団体の抱える課題について」を協議した。記念講演は、沖本智昭兵庫県立粒子線医療センター院長による「絶対わかる!陽子線治療と重粒子線治療」。
第2部は、懇親会を開催した。
近畿計量大会は、近畿2府4県の各地区計量関係団体の計量関係者が一堂に会し、現在の計量課題について協議し会員の地位向上を図るとともに、相互の連帯協調を深め、あわせて計量思想の普及促進をはかることを目的に開催されている。
提案議題要旨は次のとおり。
【提案議題】計量関係団体が抱える課題について
(趣旨)わが国の計量制度は、計量法改正から20年が経過し、国際化への対応の遅れや、計量行政組織の執行体制の弱体化など課題を抱えており、地方公共団体においても、地方分権一括法以後、外部委託が多くなってきています。地方計量協会(団体)でも行政からの委託が増えているなかで、計量を巡る数々の問題点を抱えております。そのなかで、4点程共通する課題を今大会において発表します。
これは、近畿地区だけでなく全国的に抱える課題といえますので、全国に展開されれば行政においても非常に参考となるのではないかと考えます。なお、今回の発表では、定期検査や一般計量士の代検査に関係が深い質量計の分野を取り上げておりますことを申し添えます。
ハカリの定期検査事業
慢性的に赤字で推移
県の指定を受けての県協会によるハカリの定期検査事業が慢性的に赤字になる欠陥が指摘される。
主な議案は都道府県が実施主体であるハカリの定期検査の実施のあり方であった。府県の計量協会を指定する形で託されてハカリの定期検査がなされている状態にあって、計量協会はハカリの定期検査業務で欠損の会計を慢性的に強いられていることは、計量行政のあり方の致命的な欠陥であることが指摘された。
議題を提案したのは兵庫県計量協会であり、この議題を同協会会長の川西勝三氏(大和製衡社長)が説明した。
兵庫県の計量行政組織は兵庫県計量課であり、1997(平成9)年度から兵庫県計量協会を計量法が規定する指定検査機関に指定して、ハカリの定期検査を実施してきている。指定時に計量課の職員が27名だったのが現在は5名になっていて、この間に22名が減員されている。
指定の規定にしたがって計量士がハカリの定期検査業務をするときの日当は1万6000円であり、この分は県から指定に関係する検査費用として手当てされている。しかし指定を受けての定期検査業務は総合すると計量協会の支出が収入を上回る状態がつづいている。この状態に耐えられるような協会の財政状態ではなく、赤字分を会員からの会費で補うという県が実施の主体であるハカリの定期検査のあり方の現状には大きな問題がある。
三浦裕幸計量行政室長
政省令改正を実施する
2016年度を予定
通産省計量行政室から来賓として出席した三浦裕幸計量行政室長が、協議議題のあとに大略次のように行政室が考えている内容を説明した。
計量法関連の政省令改正を2016(平成28)年度中におこなう計画でおり、現在、関係の計量行政機関や計量協会などに意見を聞いている状況である。
国の法制度の基本となる法律の改正をするとなると、そのあり方を変えることになるので、今回は計量法そのものを改正するのではなく、計量法関連の政省令を改正することによって課題に対処していく。
(写真は上から、「近畿計量大会のようす」「会長感謝状を贈呈」「川西会長が議案説明」) |