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日本計量新報 2009年8月9日 (2785号)

自然への誘い
上高地は河童橋付近に旅行者がにぎわう


標高3,000メートルを超える槍ヶ岳、穂高岳の谷を下る水が集まって形成された平地が上高地である。日本アルプスもここが中枢というほどに峰が高くそびえ、谷が深く刻まれている。槍ヶ岳に刻まれた氷河痕が槍沢のカール(圏谷)である。穂高にも氷河痕があり、涸沢のテント場はカールの真っ直中だ。氷河期の痕跡と隣接する上高地は原始の自然をそのまま現代に残している。上高地は槍ヶ岳、穂高岳ほかの日本アルプスに登るための経由地点であり、同時にそうした山から下りてくる登山の終点の場所である。山に向かって身構えて歩む者と、はるか富山などの山を経て上高地に降りてくる縦走者の安堵の姿が交錯する。日本で一番といえる景勝地としてバスツアーのコースに組み込まれることの多い上高地は、河童橋付近を中心に旅行者で埋まるにぎわいを呈する。バスツアーが上高地散策に割り当てる時間は3時間ほどしかないので、この時間内に歩く行程は上流の明神池と明神橋までである。このコースは2時間30分の行程なので、息せき切ってせっせと忙しく歩く旅行者が出現する。

上高地の流れのどこにでも岩魚(イワナ)がいる。高低差のない遊歩道は木陰につくられていて快適である。上高地の自然が放つ冷気が心身に活気を与えるので投宿地で飲む酒と肴(さかな)はことのほか美味いことであろう。

(写真と文章は甲斐鐵太郎)

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