What's New計量新報記事計量計測データバンクOther Data会社概要出版図書案内リンク

 

    2004年1月1日(2520号)


■計量標準とトレーサビリティ

---------------------------------

計量標準の研究・整備に期待
産総研の計量標準総合センター(NMIJ)を中心に、国家標準へのトレーサビリティを必要としている計測器、計量器に対する標準供給をおこなえるよう努めている。標準整備計画は、知的基盤整備特別委員会で審議され、提示されている。特に@電気関連標準整備の加速、A次世代産業のためめ基盤整備、B国際相互承認に必要な基本となる標準の整備、C環境、安全への対応に必要な標準整備等が求められている。「平成15年度見直し版」では、2010年までに物理標準293種類、標準物質303種類を整備する計画になっており、前倒しで計画を遂行している。

広がる計量標準 
近年、環境・安全・健康への関心が非常に高くなってきている。環境汚染物質の精密分析、振動・騒音の基準、体温計・血圧計・血液分析等の環境や社会の安心・安全に応える技術課題に対して計量標準は重要な役割を担っている。従来の物理標準だけでなく化学系の標準物質に対するニーズが高まっている。 現在よりも新概念・高精度・高安定性の標準が必要となってくる。従来からの標準を維持管理するとともに、時間標準、表面微小寸法・微細形状のナノメートルレベルの精密測定など、次世代型計量標準の開発研究を推し進め、自然科学・科学技術の発展に寄与することが重要になっている。 遺伝子治療や人ゲノムの解析など、バイオテクノロジー分野の技術的な進歩にあわせて、バイオ標準関連のニーズも高まっている。 NMIJの昨年の計量標準や校正技術に関する研究成果を見てみると、若手研究者を中心に、不確かさの指標として分散の期待値の表式を表示するシンボリックな計算を含む分散分析プログラムの開発、光の周波数・位相を精密に制御する光周波数シンセサイザの開発、新世代型密封セルによる平衡水素三重点の実現、「長さ標準器」の遠隔校正技術を開発、耳式体温計校正用標準黒体炉システムの開発、フェムト秒レーザーを用いた新方式の距離計の開発、気体の質量を精確にはかる高精度標準混合ガス調製装置の開発、FG5絶対重力計による高精度な重力加速度計測、静電容量標準の供給に貢献する溶融石英型標準キャパシタの周波数特性の測定など数々の成果を上げており、体制が徐々に整ってきた中での今後の成果が期待される。

トレーサビリティ普及に民間の力 
トレーサビリティの普及に関し、NPOの研究会などがトレーサビリティの普及活動を実施していることが注目される。

JCSS認定事業者制度の登録制への移行期
2005年施行へ準備進める 
2002年3月29日の「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」閣議決定等を受け、計量法の一部改正を含む「公益法人に係る改革を推進するための経済産業省関係法律の整備に関する法律」が可決成立し、03年6月11日付で公布された。この法律は、公益法人改革の法改正の一環であり、要件を明示して登録制にすることにより行政の裁量余地をなくすのがねらい。 今後は、04年度中を目途に関係政令及び省令の改正作業を行い、この内容を受けてNITE認定センターの具体的手続き詳細の整備を進める。施行は05年夏頃を予定している。 同法の成立で計量法トレーサビリティ制度のJCSS校正事業者は内容が変わる。@認定制度から登録制度に移行する。A登録基準が明確化された。▽特定標準器による校正等をされた計量器若しくは標準物質又はこれらの計量器若しくは標準物質に連鎖して段階的に計量器の校正等をされた計量器若しくは標準物質を用いて計量器の校正等を行うものであること▽国際標準化機構及び国際電気標準会議が定めた校正を行う機関に関する基準に適合するものであること、である。B更新制が導入された。登録後、政令で規定する期間を経過すると、更新を受けない限りその効力を失うことになる。更新年数は3年以上の期間を別途政令で規定する。C事業の区分は、計量法第2条の物象の状態の量を引用し「校正を行う計量器の表示する物象の状態の量又は値付けを行う標準物質に付された物象の状態の量ごと」に登録する。D認定から登録への経過措置も設けられている。 認定区分の拡大 04年度は、トルク、距離計、アンテナ係数などの追加が予定されている。
 

  2004年1月1日(2520号)


地方計量機関の役割が増大

国際化と日本が果たす役割の増大 
2003年は国際法定計量委員会(CIML)やアジア太平洋法定計量フォーラム(APLMF)第10回総会が京都で開かれるなど、国際化が強く意識された年であった。

MAAの承認 
2003年11月5日から8日まで京都で開催された第38回CIML(国際法定計量委員会)で、MAA「型式評価の国際相互承認取り決めの枠組」が承認されことは重要である。MAA(Mutual Acceptance Arrangement)は、これまでのOIML証明書制度を土台に加盟国が6年間かけて審議してきたもので、法定計量分野における国際相互承認の枠組を定めたもの。国際貿易における計量器のワンストップテスティングの実現への一里塚となった。ただ、これはまだスタートラインにたった段階といってよく、実効ある制度として機能させるためには、日本を含めた承認各国の今後数年間の努力が必要である。

APLMF
−研修活動等に期待− 
APLMFは、2002年1月から議長、事務局を日本が引き受けており、総会で大岩彰議長が再選され後2年間議長を務める。 アジア太平洋法定計量フォーラム(APLMF)は、1994年11月に設立された。国際法定計量機構(OIML)と密接に関わり合う国際地域機関として、アジア太平洋地域における法定計量機関同士の情報伝達と相互作用を促進することで、同地域の法定計量の調和を追求し、貿易の円滑化に資する目的で活動している。京都で開かれた「法定計量におけるトレーサビリティ」のシンポジウムでは、法定計量におけるトレーサビリティの技術的な扱い、不確かさの導入に当たっての問題点、法定計量から計測標準に対する技術的な要求などの課題事項が取り上げられている。途上国援助では、04年は4つの研修コースが策定されている。(本紙への大岩彰議長あいさつ参照)APLMFの活動に対する、途上国の期待も大きく、産業界も含めた日本の貢献が期待されている。

APMP−グローバルMRAが発効へ− 
アジア太平洋計量計画(APMP)は、1980年にアジア太平洋地域の計量標準の水準向上をはかるための機関として設立された。「当初は途上国援助がその活動の中心でしたが、現在ではその活動の幅を拡げ、2003年末現在で28機関が加盟(準加盟除く)しています。年1回の総会の他、各種技術委員会や途上国向けセミナを頻繁に開催する等、活発な活動を行っています」(臼田孝APMP事務局長の本紙へのあいさつ) 1999年11月から日本がAPMP議長国(今井秀孝議長(当時))と事務局を引き受け、03年12月から、シンガポールが議長国となったが、APMP事務局は引続き日本に置かれている。 貿易の自由化の促進という経済的な要請の中で、技術的な基盤である計量標準の統一的なトレーサビリティ確立が強く求められている。APMPは、校正証明書の国際相互承認(メートル条約のグローバルMRA)に関わる、校正項目リストの作成について、内容を評価し信頼性を担保するという、重要な役割をはたしている。高度な専門知識と多大な労力を要する課題である。(臼田孝事務局長あいさつ参照)グローバルMRAは2004年から発効する予定であり、APMPなど地域計量機関(RMO)が果たす役割はますます増大している。

検則のJIS化 
国際化に関連しては、国際整合化の名のもと計量法関連の改訂作業が検討されており、特定計量器のうちの質量計など主要機種に関して、検定検査規則のJIS化作業(JIS原案作成と検則改正作業)が進められている。

    2004年1月1日(2520号)


 

<<<<<<<<記事目次       本文一覧>>>>>>>>

Home


(株)日本計量新報社