What's New計量新報記事計量計測データバンクOther Data会社概要出版図書案内リンク

 

 2001年9月9日(2413号)


■新宿歌舞伎町44名死亡ビル火災事件究明進む

ガスメータの故障原因説(嫌疑)ほぼ晴れる

 東京都新宿区歌舞伎町一丁目の雑居ビル「明星56ビル」で、9月1日午前1時ごろ発生した出火により、同ビル3階および4階で併せて44名が一酸化炭素中毒で死亡した事故は、放火の可能性が高いものとして出火原因の調査が進められている。出火元と断定されている3階エレベーターホール付近にはガスメーターが収納ボックス内に設置されているが、このガスメーターとガス管の接続部の一部が、外部から人為的な強い衝撃を受けて変形していたことが4日、関係当局の調べで明らかになった。また、メーターの左側部分と供給用ガス管の接続部が激しく焼けていたことも分かった。この火災では、3階エレベーターホール近くに放置されていたゴミ周辺から出火したとみられているが、関係当局では、出火とほぼ同時にメーターとガス管のすき間から漏れ始めたガスに引火し、ガス管の破断部分から下に向かって強い炎が噴き出した可能性が強いとみている。当初ガスメーターの故障等による火災発生の疑いが取りざたされたが、この可能性はほぼ否定されている。

 ガス管からの炎の噴出が、ガスメーター脱落の直接の原因だったかどうかはまだ解明されておらず、東京消防庁と警視庁新宿署特捜本部では、さらに現場検証を進めている。特捜本部では、エレベーターホールからの出火原因について、放火と失火の両面から捜査している。3階、4階で死亡した44名は火災発生に気付くまでにいた場所で倒れており、死亡原因がガス爆発によるものではなく、一酸化炭素中毒によって一瞬に倒れ、そのまま死亡したと断定される。ガス管からの炎の噴出と一酸化炭素中毒死の直接的な因果関係は考えられず、何かの物質が不完全燃焼して一酸化炭素を一気に大量に発生させたものと考えられる。

 関係当局などによると、ガスメーターの鉄製の囲いは、外側の塗料がはげ落ちるなど激しく焼けていたのに対し、内側はあまり焼けていなかった。供給用、配給用のガス管とメーターの接続部の一部に外部から強い衝撃を受けて変形した形跡があった。また、メーターの左側上部が特に黒く焦げていた。さらに、供給用ガス管の破断部分に高温で焼けた痕跡があったほか、収納ボックスの下部の壁と床にも黒いすすが付着していた。このため、関係当局は、外部からの衝撃の結果、メーターとガス管の接続部がずれて漏れたガスに、エレベーターホールのゴミなどの可燃物から出火した炎が引火した可能性があるとしている。

 2001年9月9日(2413号)


■計測技術から品質工学へ(1)

東京電気大学客員教授 矢野宏氏  

1 執筆にあたって(1)
 私の計測技術の実践的な原点は名古屋地区にあります。かつて計量管理協会の支援で愛知方式と名付けられた、名古屋地区を中心とした企業の計測管理は、私にさまざまなことを教えてくれました。このようなことから現在でも毎月一回続けられている「あいち計測研究会」には時々でかけますし、私もそのメンバーの一人だと思っています。この研究会が毎年一回日本計量新報のために座談会を開きますが、ちょうど2000年11月4日の土曜日がその日にあたりました。

 取材にこられた高松宏之編集部長から「品質工学入門」を書いて欲しいと依頼されました。私は入門に相当する本をすでに数冊書き、解説的な原稿はよく書くことから、二番煎じになるのではと考えました。(注1、 注2) そこで私が計量研究所時代に、何故、品質工学に近づいたかという具体的なことを通してなら書いてもよいと言ったところ快諾を得ました。またその方が日本計量新報の読者には身近に感じるだろうと考えたからです。

 かつて計量研究所に在職中に、品質工学の勉強会を所内でしてくれないかと依頼されたことがあります。しかし、計量研究所のように自然科学にこり固まっているところで、工学の方法である品質工学の勉強会を行うのはきわめて効率が悪いと思い断りました。その分、外部へ活動の場を求めていたのです。このことは長い間、私の心の中でわだかまりとなっていました。

 現在、私はかなり多くの企業で先端的な技術開発のお手伝いをしています。そこでは計量研究所時代には想像がつかなかったような新しいテーマで、全く新しい品質工学の論理での技術相談を行っています。そこで、計量士の国家試験の計量管理の問題レベルでの最後の到達点まで行くようにします。

(つづく)
(文章構成・阿知波正之)

注1=矢野宏:おはなし品質工学(改訂版)、日本規格協会(2001)、注2=矢野宏:品質工学計算法入門、日本規格協会(1998)

<<<<<<<<記事目次       本文一覧>>>>>>>>

Home


(株)日本計量新報社