日本の計量行政の動きと計量法改正の状況座談会 |
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地方自治体の一部では計量法の実施が不完全 |
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横田俊英 計量行政はその実際の内容は地方公共団体が実施しており、はかりの定期検査、ガソリン計量器の検定、タクシーメーターの検定などが中心になっております。この計量行政の実施体制がよく調べてみるととうも怪しい状況にある。自治体ごとに実施の内容にはかなりのデコボコがあって、これを跛行性などということもありますが、計量法の実施ということでは不完全ということで問題なのです。 法令違反の状況になっていることを是正するか、それを合法として規定を変えるかということの措置ができなかった。計量行政の内容を後退させるのではなく前進させる方向で望むことでなければならないのに、それをやる有効な手だてを見いだすことができなかったということができます。 計量法は自治事務ではなく法定事務であるべき横尾明幸 法を守っていく、遵守し、全国統一水準で行うという意味では計量法は自治事務ではなく法定事務であると私は思っているのですが、守るべきことが放棄されていても、国は地方公共団体に対し何もいえなかった、そしてそのような事実がどんどん進行していったということです。そうしたことは法律違反でありながらここまでくると元へ戻すことは非常に難しい状況です。 横田俊英 癌(がん)のような病気の状況になってしまっているのですね。 市町村にまで事務移管するという考えだけはあったが横尾明幸 自治事務ということで計量行政を特定市ではない市町村にまで事務移管していこうと考えた県があったのですが、それは考えだけであって結局は実行されませんでしたが。そのような状況が進む中で計量事務を行政機関でないところに委託してしまったという事態が幾つか出てきてしまっていたのです。 横田俊英 そのような事態に計量業行政上あるいは計量法上どのように対処するのが望ましいのですか。 行政機関に計量行政ができる組織をきちんと残しておくこと横尾明幸 元に戻せないという状況があるとすれば、検定なり検査なりの主体は行政であると認識して、行政機関(部署・人員等)にそのような組織をきちんと残しておくことであると思います。 横田俊英 その行政というと都道府県ということですね。 横尾明幸 そうです、都道府県です。 森川正彦 計量行政の主体は行政であり都道府県であるということを実体を伴った形ではっきりとさせておくことです。その上でその監理化に民間機関への委託等を実施するということでないと困りますね。 計量行政の主体は都道府県横尾明幸 地方公共団体の都道府県が計量行政の主体であることをはっきりさせて、そこに計量事務を担当する専門部署の組織と人員を配置しておいて、実際に手や足を動かすハード部分を民間(地区協会)等のどこかに移すのであればわかるのですが、これをやらないで民間にすべを移してしまうという状態になっているのです。それが問題だから今述べた内容で補正することが必要なのです。 横田俊英 今からでも間に合う、ということで都道府県に担当の専門部署をしっかり置いておくということですね。 行政の主体性を確保し、計量協会が質量計の定期検査を実施する横尾明幸 はい、そうです。指定定期検査機関制度については各地の計量協会は仕事が増えることになって協会運営に好都合なところが多いということで、この仕事を引き受けることになった。 ここにも行政の主体性をしっかりと残しておいて、計量協会が質量計の定期検査を実施する手足になるという形をつくっておくようにしなくてはなりません。 横田俊英 定期検査を実施する主体が都道府県であることがはっきりしていないといろんな困った事態が発生しかねません。 耐震偽装は計量行政の主体として役所が機能しないことから起きた横尾明幸 耐震偽装の問題はそのようなことから発生した制度上の問題という側面をもっております。構造計算に対して役所が確かめもせずに認めてしまうということで耐震偽装が大量に発生しました。 計量行政の主体が役所であることをしっかりと決めておかないとこのようなことが計量行政の分野で発生しかねないと私は危惧しています。 例えば、検定所による立ち入り検査業務は計量士であろうと誰であろうと民間には下ろすことができないと思います。 指定定期検査機関が真っ当に機能する仕組みをつくり、必要な費用も負担しなくてはハカリの定期検査は崩壊する横田俊英 指定定期検査機関の業務は完全に民営で実施できるような検査手数料になっていないから、どのように上手に運営しても検査手数料だけでまかなっていけるということにはなっていません。都道府県が定期検査を実施する場合でも検査手数料のみで設備や人件費をまかなうことができないのは自明の理です。ですから定期検査機関に指定した団体に対して地方公共団体は不足分の費用を提供するのが当たり前のことです。 地方公共団体の財政当局はこうした当たり前のことを何時しか忘れて不足費用の補填を止めることになります。 協会の会費収入での穴埋めは不可能横尾明幸 指定定期検査機関にはそのようになっているところがあります。指定定期検査機関の運営費が県からの費用補填を削られた結果、不足するようになって協会の会費収入で穴を埋めるという状況が発生しているようです。費用補填がさらに削られると穴埋めはできなくなりますから、そのうち法律が定めている内容で定期検査が実施できなくなります。 ハカリの定期検査実施に意識的な間引きをすることで計量法違反が横行する横田俊英 そうすると定期検査の間引きが起こる。辻褄をあわせるために定期検査対象のはかりが実際にあってもなかったことにする。まるで耐震偽装と同じ現象になります。 県からの補填が切られるなら特定市を返上するという動きも横尾明幸 今まで、特定市の計量行政費用の不足分を県が補填していたということがあったのですが、県の財政が悪化したということで特定市に対して県が逆に応分の負担をさせるという状況になっております。特定市の側ではこれに耐えかねて、そんなことでは特定市を返上するということを考えるようなことにもなってきています。その間に挟まれて苦しんでいるのが指定定期検査機関であるという話しも聞こえてきております。 指定定期検査機関は検査手数料収入では運営できない横田俊英 指定定期検査機関は検査手数料収入では運営できないのだから、指定した県が面倒を見るという姿勢を放棄したら途端に立ちゆかなくなります。 森川正彦 県の計量行政機関のその名称に計量の名も付かないようでは行政の主体という意味や内容は消えていくことになります。 横田俊英 そのようなところがあるようですね。 指定定期検査機関に業務を委託しておいて後は自分でやれというのでは無責任森川正彦 指定定期検査機関に対して県から出向の形で派遣されていた職員がいたのですが、それも止めになるとかさまざまな動きが出ていています。そうなったら指定された計量協会は指定定期検査機関の業務を実施することが困難になります。困難というよりもできなくなってしまいます。 横田俊英 呆れた話です。 森川正彦 ある県では補助金付き代検査ということで、特定市のはかりの定期検査を実施していたのにその費用がカットされたのでどうしようもなくなってしまった。 定期検査などは地方自治体が責任を持ち主体となる法定事務横田俊英 地方計量行政の費用を誰が負担するかということがはっきりとしていなくてはならない。言わずもがなの自明の理であるにもかかわらず、わかっていない人が多すぎますからはっきりとさせておかなくてはなりません。 横尾明幸 大きな目で見れば地方自治体の責任ですから法定事務でやるべき仕事というのが計量行政です。それは国のやるべきことなどもありますが、定期検査などは地方自治体が責任を持ち主体となる法定事務です。地方自治の本質からいえば住民の生命の安全や財産を保全するということは当然のことです。 横田俊英 定期検査を放棄するといいった事態は許されないし、定期検査を完全に実施する責任は地方公共団体にある。都道府県にあるということです。 森川正彦 それは全くその通りです。 横田俊英 タクシーメーターの検定、ガソリン計量器の検定についても都道府県は主体的な責任者としてしっかり実施しなくてはならないですね。 【つづく】 |
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