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日本の計量行政の動きと計量法改正の状況座談会
〜指定定期検査制度の在り方と計量法改正の動きを探る(2007/12/29)

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【1】

地方計量行政の現状と指定定期検査制度運営に生じた諸困難
検査手数料では指定定期検査機関の運営は絶対にできない
審議中の計量法改正作業はこの問題にどのように手を付けるのか

計量法関連08年はどのように動くか

横田俊英 私どもは新聞社という立場、森川さんと横尾さんは東京都計量協会の事務局の役職員であるという立場ということでありますから、ここでのお話合いの基本は私どもにおいては日本全国の計量にたずさわる皆様に計量行政の現状と計量法改正の動向に知り得ることのすべてをお伝えするということであり、また森川さんと横尾さんにおかれては東京都計量協会の会員の皆様にとって必須の事項をお伝えするということであると存じます。

 東京都計量協会の会員さまは計量士と適正計量管理事業所、あるいは一般事業所の計量管理担当者、計量器の販売事業者、計量証明事業者、計量器の製造・修理事業者、計量器の使用者を含む一般の消費者、ほかであります。別の表現をしますと薬局、理化学機器事業者、金物店、ホームセンターなどということもできます。

 こうした方々向けのお話は同時に関東一円の計量関係者はもとより、全国の計量関係者にとって必要とされる関係の情報と知識になるということであります。

 森川さんは定年まで計量器製造事業の企業におられて、計量行政に関係する調査と審議の場に深く関わってきており、現在でも東京都計量協会専務理事の立場からそうした職務を受け持っております。横尾さんは東京都計量検定所の幹部職員として検定所運営にリーダーシップを発揮してきましたし、一昨年まで計量行政審議会の専門委員としての役職をもち、また現在、日本計量振興協会の計量士部会で事業の政策策定と運営の委員として重要な職務を受け持っております。

 それぞれに重要な立場にありますから、知っていても話すことができない事柄を多くおもちではありますが、すでに公になっている事項については解説を交えてのお話をしていただくようにお願いします。

 計量法改正のこれまでの動きのおさらいをするとともに08年はこのように動くのではないかということで、その観測をお願いします。08年はあるいは大きな動きは出ないかも知れませんが、そうであればそれはそれで重要な観測ということにもなります。いかがでしょうか。

05年に計量行政審議会招集、07年3月には実質審議は終了

横田俊英 今回の計量法改正のこれまでの動きを簡単におさらいしてみましょうか。

高松宏之 04年に勉強会が始まり、05年に計量行政審議会が招集され06年にかけて盛んに議論され07年3月に審議を一時終了して環境計量証明に関係する計量標準の整備を中心にしてJCSSの普及推進を対象とした第3ワーキングから「報告案」が出されました。「報告」ではなく「案」が付いているのが妙ではあるのですが。07年3月をもってに実質審議は終わっているということでもあります。

「報告」ではなく「報告案」

森川正彦 あっ、そうか。あくまでも「報告案」で「案」は取れていないんだ。

高松宏之 そうです。第3ワーキングの報告ではなく「報告案」にとどまっているのです。

森川正彦 その内容は特定人体事業者の規制の強化案であるということですね。

05年に経済産業省の原島審議官が法改正の方向を都道府県の計量行政機関に対して説明

横尾明幸 計量法改正が作業が始まった05年には経済産業省の原島審議官が法改正の方向を都道府県の計量行政機関に対してはいろいろと話しをしていたのです。このころ同じ話しが計量関係の中央団体に対しても行なっていました。

 それで計量法改正のための計量行政審議会の第1回会合が平成17年7月26日でした。それで小委員会が8月8日に開かれております。ワーキングが始まったのが9月です。第1ワーキング、第2ワーキング、第3ワーキングのそれぞれのグループの会議が開かれております。

審議会全体と委員会やワーキングは何を目指して作業をしていたのか

横田俊英 過ぎてしまうと忘れるのですが、審議会全体と委員会やワーキングは何を目指して作業をしていたのか確認しておきたいと思います。

行革大綱・規制緩和、食の安全・安心、新計量法が施行されて10年以上が経過したことが見直しの動機

横尾明幸 国全体としての動きとしては行革大綱、規制緩和のことがそうですし、また食の安全・安心ということがありました。

 計量法の関係では平成5年に新計量法が施行されて10年以上が経過したので見直す時期になっているということであります。

「地ならし」も改正の動機に

森川正彦 地方分権一括法に組み込まれて計量行政が国の事務から自治事務に切り替わって何年か経ってみたら、自治体の計量行政にデコボコができていてこれでは上手くないなあという状況になっていた。これではまずい、全国規模である水準が保たれるようにするにはどうしたらいいかということ。機関委任事務から自治事務に切り替わった計量行政が法が定める内容どおりにきちんとおこなわれるようにするにはどうしたらいいかということが、計量法をどうするかということになったときに浮かび上がって見えてきた問題でもあったのです。

民間に移してはならないはずの計量行政事務が実際には移されている

横尾明幸 地方分権と自治事務により計量行政は理念としてはよいとしても実際には法規定の真っ当な解釈からは、県などが民間に計量事務を委託してはならないのにそれが実際にはやられてしまっているということがあります。05年の計量法改正の審議を始めるときにすでに2つの県で行なっていた実態がありました。国は、これではいけないということでこれを何とか収拾する内容で計量法を改正しようという考えは一方であったということです。

法改正審議のまっただ中でも計量行政は崩れ続けている

高松宏之 計量行政を法の定めに従った真っ当な解釈どおりにしっかりできないという地方公共団体は法改正審議のさなかにも広がっておりますから、この問題は深刻です。

技術基準はJISに移して運用するのはいいとしても、規制の部分は別次元

横尾明幸 技術基準はJISとのからみ。これは国際規格と整合させるということであったのですが不十分なままになっておりますから、これを何とかしたいということになります。技術基準はJISに移して運用するということはしなくてはならないかな、とは思います。

 しかし規制の部分というのは別の次元のことです。

審議の結果報告は第3ワーキングから案として出ているだけ

横田俊英 話しが戻ってしまいますが、審議の結果の報告が出たのは第3ワーキングからだけということで、それも「報告案」という形であって、「報告」ではなく、あくまでも「報告案」のままであるということになっているのです。

パブリックコメントはしたがその内容の公式発表はない

横尾明幸 それに対応するパブリックコメントも実施しました。その意見を集約しているのですか。

高松宏之 発表はしていません。

第3ワーキングではパブリックコメントが一部整理されて報告されている

横尾明幸 そうですか。第3ワーキングに限っては07年2月7日に開かれた第10回目の実質上最後の会議でパブリックコメントが一部整理されて報告されております。

審議の経過を提供しないで意見を聞くというのは、正常な態度ではない

横田俊英 パブリックコメントの制度はないよりは増しであるとはいえ、そこにどのような意見が寄せられたのか国の行政機関だけが把握するということで全部が公表されるということにはなっていない。そもそも意見を聞くということでの前提として、何をどうしたいからこのように考えている、これまでの審議の経過はこうだ、といった説明や情報を提供しないで、意見を聞くというのは、意見を聞く態度としては正常ではない。

 ですからないよりはよいとはいっても現在のパブリックコメントの仕組みは欺瞞的な内容の域を出ていないということができます。パブリックコメントの場になっている経済産業省のwebサイトを開いてみると今述べたような感想を抱かずにいられません。

結論が出ていないから答えられない

横尾明幸 パブリックコメントの内容の報告があって、それに対して考えてもよいと思えることに説明などもしませんでした。報告は案のままであり、結論が出ていないから答えられないということはあるのでしょうが。

高松宏之 そうですか。パブリックコメントの制度は運用によって生きてくると考えます。

経産省は計量行政審議会の意見を聞き置くという制度に変わってしまった

横尾明幸 計量行政審議会の性質が従来の性質に比較すると経済産業省との関係では地位を低めております。ここで審議して決定するのではなく意見を経済産業省に提出するということになっております。言い方を変えると経済産業省は計量行政審議会の意見を聞き置くという立場になっております。

 以前には計量行政審議会と委員の権限はもっと大きかったのです。

横田俊英 計量行政審議会の審議の現状ということでは。

横尾明幸 ワーキンググループの審議は終了している、ということです。

計量行政審議会の小委員会と本会議はまだ終了していない

高松宏之 小委員会と本会議はまだ終了していません。

横田俊英 08年1月の新年会の集まりで経済産業省の審議官は計量法改正は行わないと明言しました。

計量行政審議会は08年2月か3月に小委員会を開くのではないか(特定計量器の見直しは今回はない)

横尾明幸 そういうことです。08年2月か3月に小委員会を開くのではないかと思われます。

 そこで出てくる内容は、結局は法改正ができない、政省令で対応できるものはそこでやっていこうということです。

 第1、第2、第3のそれぞれのワーキングや小委員会で議論になっている特定計量器の見直しは今回はない。議論が伯仲している問題なのでもう少し慎重に検討を重ねていくこととして、このような問題は今回はこれは棚上げにして、別途委員会を設けてやっていくというのが経済産業省の意向であるようです。

今の国会は法案の審議がしにくい

横田俊英 国会は衆参のねじれ国会となっていることもあって法案が通りにくくなっています。法案を処理するにはある程度の審議が要るということで、今の国会はいろんな意味で法案の審議がしにくくなっていると思います。

さまざま事情があって計量法改正法案はまとめきれなかった

横尾明幸 計量法改正の法案についてはそのようなことは別にして出そうにも出せなかったということでしょう。法案づくりの担当責任者が代わったということもあるでしょうけれど。

横田俊英 計量法改正の法案を国会に出さないということは06年の計量士の全国大会の席上で経済産業省の幹部がはっきりと述べていたように思いますが、記憶違いかな。

森川正彦 計量行政審議会を開いてやろうとして動いてきたのに、その審議の進行の過程で法案の内容が何も見えてこないということですから、法改正をしようとしてもできないというのが現在の状況でしょう。

横尾明幸 そのようなことでできないらしい。私もそのへんのことの実感は十分にあります。

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