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計量制度見直し座談会
   法改正が計量士、計量事業者などにどのように影響するか

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【2】

計量士の登録の更新制をなぜ設けるのか

計量士の代検査の基準器登録が制度としてあったが

横田俊英 計量法の本法の法律を変えなくても政省令などの改正でやれることは多いということですね。

 まず計量士の登録の更新制に関してお聞きします。なぜ更新制を導入しようとしているのですか。計量士の実態がわからないということが伝えられております。

森川正彦 最初に登録したときの記録しかありません。しかもこれは書類の形であるだけです。データベースにはなっていません。廃止の届けなどもありません。要するに取ったら取りっぱなしという状況なのです。極端なことをいうとその方が亡くなっていてもわからない、把握できないということです。

横尾明幸 そうです。以前は代検査を行う計量士は、使用する基準器を登録する規定があったので、活動している計量士の実態がある程度つかめていたのですが、今はそれもありませんから。

高松宏之 代検査をする計量士の基準器登録は制度としてあったはずです。

横尾明幸 旧法では代検査業務を行う計量士は、事前に各都道府県に検査に使用する基準器を登録して検査結果を報告する。そういうことでやっていました。現在も都道府県は代検査をやる計量士に関しては検査結果報告書の提出である程度状況を把握していました。

 登録の更新制を導入や更新時研修の義務付けに関しては私は全国計量士大会でも言ったのですが、どこからか言われたからやるのではなくて計量士自らがやる必要があるということです。


適正計量管理事業所の計量士も把握していたはず

横田俊英 今は検定所や検査所でも、所轄地域にいてそこで活動をしている計量士の実態はつかめなくなってきてるということですか。

横尾明幸 少なくとも私が東京都計量検定所の職員であった当時は台帳を作成し、計量士の実態をつかんでいました。今でも同様のことを行っていると思います。

横田俊英 同じような方法で適正計量管理事業所の計量士も把握していたということですね。

森川正彦 データはあるんです。問題はその紙のデータがただ積み重ねられているということなのです。今のお話のように代検の登録をしている計量士の数と適管事業所の計量士の数を合わせれば、今実際に働いている計量士の数は把握できます。

横尾明幸 その作業は国が指示して昨年にやっています。当然ですが登録している計量士の名簿とはずれがでています。名簿も紙ベースですと無くなる怖れもあり、またデータの更新もできません。

横田俊英 計量士ができる業務を新たに設けていこうということを考えた場合には、どこの県や市などにどのくらいの数の計量士がいて、その計量士がどのような能力を持っているのか行政が把握していることが求められている。

 

計量士を行政がもっと活用したい

横尾明幸 今回の計量制度見直しの論議のなかで、地方分権との絡みで地方計量行政にバラツキが目立つようになった、つまり跛行性(はこうせい)が大きくなっています。地方の計量行政が責任を持って実施しなくてはならない検定や定期検査などの業務がやれなくなってきている実態が広がっております。そこでその補完業務を計量士の資格者に割り当てていこうという考えがでてきているのです。

 しかし大都市はよいとしても、地方にどれだけの計量士がいるかというと実態がわからないので困ったのです。それが計量士の更新制導入の動機の一つとでもありました。

横田俊英 規模の小さな県や地域の場合には実働できる計量士が居ないということがあります。登録更新制にして計量士の数を把握しても居ないものは居ない。この事実がわかるだけかもしりませんよ。

行政の業務を計量士に委託するという形態の模索

横尾明幸 行政の主体はあくまで県です。行政の業務を計量士に委託するという形態でいくつかの地方では実際に行われています。

横田俊英 実施の主体は都道府県知事ということですね。業務を都道府県の監督のもとで計量士が行う。

横尾明幸 ええ、丸投げになっては困ります。制度をきちんと整備する必要があります。

 現行の指定検定機関制度は、本来ならば型式承認もできるような設備なども必要なのですが、そうではなくて指定基準をもっと緩くして、いわゆる器差検査による検定(器差検定)のみを実施するところも指定検定機関にしようという動きもでています。

役所が民を利用するための要求事項

森川正彦 それに関して今ISO/IEC17020という規格が注目されています。「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」であるISO/IEC17025に比べるとずっと基準が緩くなっています。これを使ったほうがよいのではないかと思います。

横尾明幸 そうです。ISO/IEC17020を活用すればよいのです。

森川正彦 07年の2月に来日したフランスの計量協会の方の話を私も聞いてきたのですが、フランスの計量関係の民間検査機関の基準は、ISO/IEC17020です。この基準に則った機関が検定も実施しています。

高松宏之 ISO/IEC17020とはどういうものですか。

森川正彦 簡単にいうと検査機関のための能力要求事項です。これに対して、ISO/IEC17025は、試験所や校正機関の能力に関する要求事項です。したがって要求される能力のレベルが違います。

計量士の登録の更新制の導入は来年からという形ですぐにはやらない

横田俊英 指定検定機関は日本電気計器検定所のような特殊なものではなく、もっと一般的な指定をしようということですね。

 少し話を戻らせてもらいますが、経済産業省としては法律の改正はやらないが今の法律のもとでもやれる改善改良はやっていこうということですかね。具体的には計量士制度の登録への更新制の導入、計量標準の供給の拡大、適正な計量証明を実現するための方策、などはやっていこうと。

横尾明幸 計量士の登録の更新制の導入は来年からという形ですぐにはやらないだろうと推察します。この件に関しては今はまだ調査をやっている段階ですから。少し先の将来的課題ということができるのではないでしょうか。これは間違った判断かもしれませんが。

横田俊英 計量士の再登録の実施の準備や背景が整備されていないいないということででしょうかね。

森川正彦 そこで横尾さんは行政まかせではなく、計量士が自分たちでやったらどうかと言っているわけですね。

横尾明幸 そのとおりです。

横田俊英 計量士会に参加してきている計量士さんは問題ありません。計量士会で研修会なども実施していますし、お互いの情報交換や切磋琢磨で自己の能力アップにも留意していますから。このような形で集っている計量士さんが問題なのです。意欲や最新の知識の習得も十分ではないでしょうしね。

押しつけられた更新制には反対する

横尾明幸 今まで地域の計量士会や計量協会に参加していない計量士を計量の組織に結びつけるには、計量士などの団体そのものが魅力を持たせないといけないのです。そこへ結集しないと計量士の仕事が上手くやっていけないほどに団体は知識や技術やその他の情報を提供することができたら素晴らしいと思います。研修なども自分たちでやらないとね。極論を言えば、押しつけられた更新制なら私は反対です。

 それで自主的な意味で早く研修を全国8ブロックに区分して、全国統一水準の研修を実施したいですね。まず、実績をつくらなければね。計量士の研修会は日本計量振興協会(日計振)で2007年度に実施を計画しています。まずは東京と大阪で実施する予定です。

 計量士の数の把握だけではだめなのです。その人がどういう能力を持っているのか、どのような業務をやれる条件があるか、なども把握する必要があります。

横田俊英 全国計量士大会では、職域の拡大ということが議題の一つでした。

横尾明幸 私は行政に仕事をつくってもらう、行政の肩代わりとして仕事をするだけではだめだと思います。それだけではすぐ行き詰まってしまいます。

 それよりも計量士はこういう仕事ができますよということをアピールしていくことが大事です。

 品質管理にしても計量器や計測器を使わなければいけないわけですから、それはそういう仕事に長けた人がやるのがよい、計量の専門家の計量士がやるとよいということです。

 生産工場などでは、自動はかりの問題とも絡みますが、欧州のeマーク制度のようなものをつくらせて、そうした製造工場を適正計量管理事業所として指定し、計量士がいなくてはいけないということを法的にきちんと担保するようなことは必要だと思います。

 自動はかりは、静止計量はできませんから今の検定方法では検定ができません。そこで製造された製品の量目をチェックすることによって正確計量を担保すればよいのです。そのかわり型式承認は必要です。計量士を絡ませてその報告書を行政がチェックすればよいのです。

 そうすれば適正計量管理事業所も増えていくと思います。スーパーマーケットを指定の対象にするだけでは限度があります。

 今、適正計量管理事業所における計量士業務の外部委託化が増えています。生産工場までそういうことになって来ています。

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