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計量制度見直し座談会
   法改正が計量士、計量事業者などにどのように影響するか

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【13】

JCSSの制度が機能しないうちに基準分銅の使用を限定したところに問題があった

森川正彦 使用者の義務については、現行の計量法にも一行だけですが書いてあります。

横田俊英 質量の精密な測定に関しては、実際には非常にいい加減になっているという現実があります。不確かさへの理解もまちまちですし、逆補正をしてしまうという現実。精度の荒い分銅で、それより精密な天びんを校正するというようなことが起こっています。

岡崎稔 まず、自己責任による計量器の自己管理がきちんとできるような社会システムをつくる必要があります。

森川正彦 質量でいえば、現状は分銅が体系的に供給されていないということです。

横尾明幸 JCSSの制度がきちんと機能しないうちに、基準分銅の使用を限定してしまったところに問題があると思います。

横田俊英 これまで社内標準に使っていた基準分銅が使えなくなったということでした。もっとも以前の規定でも基準分銅はそうした標準として供給されていたものではないという建前はありました。しかし現実は見て見ぬふりをしており、実際にも一般の民間事業所の質量の標準は基準分銅でまかなわていたのです。

JCSSの普及のため当初は計量検定所などはJCSS校正事業者はなるなということだった

横尾明幸 JCSSの普及の問題では、当初は民間主導で普及させるので、計量検定所などはJCSS校正事業者はなるなというようなことでした。民間の事業者のじゃまになってはいけないということです。

 ただ普及が思うようにいかないので、東京都計量検定所はJCSS校正事業者になりました。ただ当時は職員の計測技術が不足していましたので、非常に大変でした。今になってやっと技術が確立してきたなというところだと思います。

JCSSを普及するといいながら役所にその気がないように見える

岡崎稔 JCSSを普及するといいながら、私には肝心の役所にその気がないように見えます。普及への努力が不十分です。たとえば、技能試験のチャンスですが、実質上は2年か3年に一度ぐらいしかありません。試験の告知もホームページに10日か2週間ぐらい掲載するだけです。そうすると、申請者からすると、これを知らずに見逃すと、また2年から3年、JCSS校正事業者の登録申請するのを待たなくてはならないのではないかというふうに受け取ってもしかたがないことになります。

 NITE((独)製品評価技術基盤機構)の「JCSS登録の取得と維持のための手引き」には「その申請範囲において適切な技能試験プログラムがない、又は技能試験プログラムの時期が申請時に利用できない等の理由により申請事業者に対して技能試験/試験所間比較が実施できない場合には、審査チームによる測定監査により技術的能力の確認をします」とありますから、申請があれば個別に対応するということのようですが、私は申請者の立場に立ってよく相談にのるといった姿勢がまだまだ不十分だと感じています。

国は全力をあげてJCSSを普及させると文章に書くだけでなく実際に予算も人も付けて実態を伴わせるべき

横田俊英 今度の計量制度検討小委員会報告書(案)では「JCSSの普及していない分野の立ち上げ、階層化を推進するなど、JCSSの更なる普及拡大が期待される」と言っています。国は全力をあげてJCSSを普及させるのではないのですか。文章に書くだけでなく、実際に予算も人も付けて実態を伴わせていただきたい。

事業所はF1級のJCSS校正証明書付の分銅を買い使わないで神棚に祀っている事例も

岡崎稔 やっていることがちぐはぐです。中小企業庁が「中小企業への計量標準供給基盤強化事業(中小企業知的基盤整備事業費補助金)」というのをやっています。JCSS校正事業者になるのに補助金がでるのですが、補助金受給者は早晩事業者としての登録を取得しなくてはなりません。しかし、たとえば中小企業庁とNITEが緊密に連絡を取っているとは思えません。縦割り行政になっているように思えますのでこれは困ったものです。

森川正彦 JCSS校正証明書の利用のされ方も問題です。分銅のお話が続いていますので分銅を例にとりますが、事業所がF1級のJCSS校正証明書付の分銅を買います。しかしこの分銅は神棚に祀られているだけなのです。実際の役には立っていません。ISO9000シリーズなどのためにJCSS校正証明書が欲しいだけなのです。全部がそうだとは言いませんが、F1級の分銅など、実際には事業所では使えないです。

横田俊英 同様のことは、基準器が社内標準器として使えた昔からあります。そのことを皮肉った川柳があります。

質量標準の話を複雑にしたはかりの不確かさという概念の導入

岡崎稔 私は、質量標準の話をよけいに複雑にしたのがはかりの不確かさという概念の導入だと思います。分銅の制度がしっかり根付いていないのに加えて屋上屋をつくってしまったのです。

横須賀健治 そうですね。今日と明日では変わってしまうはかりに不確かさを付けた証明書を出してどうするのでしょうか。

横尾明幸 質量は分銅が基準ですから、はかりはいらないですね。しかし、そういう区分ができれば、取得せざるを得ませんね。校正事業者としては信用問題ですから。

はかりは温度計と違って簡単に分銅でデータが確かめられる

岡崎稔 もとよりはかりはほかの計量計測器と同じです。だから温度計に不確かさが付くようにはかりの不確かさは付けられるものです。でもはかりは温度計と違って簡単に分銅でデータが確かめられるのです。だから分銅の制度をきちんとするのが先決と思っていたのです。もしはかりの不確かさが先行するなら分銅はそれこそ神棚の飾りでよいことになってしまいます。

横田俊英 不確かさが現場の使用で必要か。それによって、かえって煩雑になっていないかという問題もあります。決め方の問題もあります。精密測定や国際的な比較の関係などでは必要ですが。しかし、この問題は別の機会にしたいと思います。

横須賀健治 理想と現実は違います。そこをどうするかです。

(おわり)
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