社団法人日本計量振興協会認定計量器コンサルタント制度の将来像を語る
計量器のプロだからできるコンサルティング販売
分権時代における計コン制度の活用と適正計量の実現

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座談会出席者(敬称略)
岩 下 貞 治  東京都計量器コンサルタント協会会長、岩下度量衡(株)社長
大 森 健 次  東京都計量器コンサルタント協会副会長、共栄衡器(株)社長
金 子 淑 男  東京都計量器コンサルタント協会副会長、マクロサービス(株)社長
山 田 基 夫  東京都計量器コンサルタント協会副会長、(有)山田特殊計器製作所社長
横 田 賢次郎  東京都計量器コンサルタント協会理事、(有)横田計器製作所社長
吉 川 和 男  東京都計量器コンサルタント協会理事、(株)ニューロン社長
清 水 弘 之  東京都計量器コンサルタント協会理事、守谷東京サービス(株)社長
八 木 佑 幸  東京都計量器コンサルタント協会監事、新日本度量衡器(株)社長
高 畑 光 雄  (社)日本計量振興協会参与(前(社)日本計量協会常務理事)
木 原 淳 雄  (社)東京都計量協会専務理事
横 田 俊 英  (株)日本計量新報社代表取締役社長


プロとしての自覚こそ大事
「推奨シール制度」の創設を検討



横田(俊)
 (社)日本計量協会が付与する資格の計量器コンサルタント制度が発足して三十年近くになるかと思いますが、この資格をお持ちの方は販売関係の事業者の皆様が中心でございます。この資格取得を通じてあるいはその後の研さんを通じまして得られた知識や技術をどのような形で計量器ユーザーのために活かし、ご商売につなげていらっしゃるか、お聞かせ下さい。また計量器コンサルタント制度に対する社会の評価あるいは有資格者の皆様の制度等に関するご意見をお聞かせいただければと存じます。

 

都計コンの歴代会長と活動

岩下 私は計量器コンサルタント制度ができて第一回目の研修を受講したものでございまして、第一回目の修了者で同窓会のような組織として作られたのが東京都計量器コンサルタント協会でございます。初代会長が小川直久さん、二代目会長が座間勝美さん、三代目会長が鴨下嘉市さんでございまして、第四代会長としてその任を私が仰せつかっております。
 東京都計量器コンサルタント協会は研修修了者の同窓会的組織から発展して創立されたものです。資格認定後も計量器に関する知識と計量技術の習得の場として講演会、研修会、工場見学会等実施して行こうということで活動を続けて参りました。初代会長の小川直久様は東京都計量検定所長をされた方で、計量器コンサルタント制度発足に尽力されましたし、東京都計量器コンサルタント協会の創立に関しても意欲的に行動されました。
 二代目会長の座間勝美さんも大変ご熱心でして、初代会長の小川直久さんとともに(社)日本計量協会、(社)日本計量士会その他関係団体ならびに行政機関に協力を求めるために精力的に行動なさいました。関係方面との折衝を通じて計量器コンサルタント制度の発足に当たりまして、コンサルタントの守備範囲と活動内容等様々な面でご助言を頂きました。議論の過程である方とは計量器コンサルタントが計量士資格を取得するための道筋等も話し合うことがありました。計量法令に結びついた仕事の内容というようなことでは計量器コンサルタントに与えられたものは何もありませんが、やはり計量器の専門家としての知識と技術を磨くということでの自己研さんを積んでユーザーと社会の信用を勝ち取って行くというのが当面の行動ということになったと思います。別の言い方をしますと計量器のコンサルティング販売ができる計量器コンサルタントの育成に努めること、そして適正な計量の実施の確保のための最前線部隊との認識をもって社会的な使命を果たすということであります。
 以上、計量器コンサルタント制度と東京都計量器コンサルタント協会の歴史のあらましをお話しさせていただきましたが、東京都計量器コンサルタント協会の創立以来事務局を担当してもらっております木原さん補足していただけませんか。

計コン制度発足の経緯

木原 (社)東京都計量協会の販売者部会は、以前は東京都計量器販売者協会という名称で活動しておりました。それで計量器コンサルタント制度がらみのお話しが出て参りましたのは昭和四十五年か四十六年頃だったと思います。
 東京都計量器販売者協会の役員の立川市の小林峯三郎さん、ほかに鎌田光次さん、大木史郎さんなどが中心になりまして、私たちの後継者のためにも販売者に関係した計量制度上の何らかの資格制度を作れないかという議論を始めました。そうした議論の中から、今ある計量器コンサルタント制度のようなものが浮かび上がって参りました。構想が具体化するまでには紆余曲折がございましたが、そうした議論を引き継いでそれの実現に向けて動かしたのは東京都では小川直久さんそれから座間勝美さん等でございます。関係者の皆様で計量関係の全国団体である(社)日本計量協会、全国計量器販売事業者連合会、(社)日本計量士会のほか、通産省計量課などにも、計量器コンサルタント制度に関する構想を熱心に説いて回っておられました。その結果、通産省が認定する資格制度というとこまでは漕ぎ着けることができませんでしたが、(社)日本計量協会が授与する資格制度であれば宜しかろうということで現在ある計量器コンサルタント制度ができあがったわけです。

岩下
 そうでしたね。それで資格を付与するための計量器コンサルタント育成教習の要領がまとめられ、(社)東京都計量協会が全国で初めて計量器コンサルタント研修会を実施しました。

第一回計コン資格取得教習

木原 制度発足に向けての当初の考えは計量器コンサルタントではなく、計量コンサルタントとして動いておりました。それらが関係団体および行政関係との間で詰めを行う中で、計量士制度との名称の紛らわしさが持ち出され、計量コンサルタントでは誤解を生む怖れがあるから、計量器コンサルタントにすべきだということになって現在の名称に落ち着きました。
 私ども東京都計量協会では、主要な構成員であります計量器販売事業者の皆様に対して何らかの有益な資格が与えられることは喜ばしいことだと考えておりましたから、計量器コンサルタント制度発足のために努力し、制度ができて以後も協力・共同の関係で様々な仕事をともに実施して参っております。
 私ども(社)東京都計量協会は昭和四十七年第一回計量器コンサルタント研修会を開きました。これは計量器コンサルタン資格を得るための講習会でして、全国で第一番目のコンサルタント養成のための研修会でした。(社)日本計量協会が定めた計量器コンサルタント養成のための講習内容に対して関係方面とも協議してカリキュラムの追加をするなど、より内容豊かな教習として実施いたしました。
 教習は夜間教習として実施、一日三時間、述べ十日間です。
 講義の第一日目は、通産省の計量課長の新井市彦さんでして「販売者に必要な計量法と今時改正点の解釈について」という講義の内容でした。講師陣といたしましてはそのほかに、東京都計量検定所検定第一課長鈴木和夫さん、同じく東京都計量検定所検定課長平井昇一さん、(社)日本計量機器工業連合会常務理事小泉袈裟勝さん、(社)日本計量士会専務理事本宮大介さん、(社)計量管理協会常務理事斎藤総彦さん、工業技術院計量研究所第四部計量器課長穂坂光司さん、小泉袈裟勝さんは講義を二つ担当しておりましてそのうちの一つは「度量衡の歴史」でした。
 そのような講師の陣容で行われた東京都計量協会の計量器コンサルタント第一回研修会でしたが、その第一回修了者が岩下貞治さんなどでございます。
 以来、東京都計量協会では昭和六十三年まで計量器コンサルタント教習を実施して参りました。以後は三年程度に一度の開催となっておりまして、現在までで合計二十一回の計量器コンサルタント研修会を実施しております。修了者は約千人でございます。計量器コンサルタント教習の修了証書を手にした方の全員が計量器コンサルタントの資格申請をするということではありませんで、資格を申請された方は六割から七割程度でございます。

計コン通信教育

岩下 計量器コンサルタント研修の通信教育も実施されておりました。通信教育が始められたのは、いつごろからでしたかね。

木原 通信教育はだいぶ後になってからだと思います。

岩下 通信教育の研修の実施要領の記載された文書を手元に持っております。

計コン資格制度

高畑 昭和四十七年に計量器コンサルタント研修が実施されたということですが、記録によれば最初は「計量器販売事業者研修」で、昭和五十三年に「通信教育による計量器コンサルタント研修」の実施要領が作成されたようです。

大森 東京都などで実施している計量器コンサルタント資格付与のための計量器コンサルタント研修が、地方の場合には講師を含め受講者を集める都合、県単独では実施し難いことを考えて、日計協は通信教育制度を創設したものと記憶しております。

木原 計量器コンサルタント研修会の実施要領と類似のものであったはずです。

計販連が構想を出した

岩下 計量器コンサルタント制度の基本構想はそもそもの全国計量器販売事業者連合会から出されたものです。私も制度創立前から関連の話し合いに参画しておりました。
 資格ということにこだわったのが東京都計量器卸商組合の会員であった亡くなられた
大木史郎さんでした。大木さんは正式な販売者関連の資格制度というものの創設を強く主張なさいました。参考事例として挙げられたのが消防関係の器具を取り扱う資格制度でございました。
 全国計量器販売事業者連合会では、計量器販売関係の従事者に益する資格制度を何とか創設したいという希望を持っておりまして、ちょうどその頃実現のための具体的な検討をしていたわけです。資格付与団体を全国計量器販売事業者連合会にすべきかどうか、いろいろ検討をいたしましたところ、やはり社団法人である日本計量協会が一番ふさわしいだろうということでそこに落ち着きました。そのようにして創設された計量器コンサルタント制度が、養成の教習が通信教育を含めた内容となって全国の地方計量協会の会員の方々の間に価値あるものとして普及しました。
 計量器コンサルタントの地域ごとに団体が作られているのは東京都、大阪府、福島県などでありまして、愛知県などでも動きがございます。
 計量器コンサルタント制度は先輩方が苦労して作っていただいた資格制度でございますから、全国の販売関係の皆様とともに、今以上に国民に役立つ制度として発展させるためにも計量器コンサルタントの資質向上に努め、関係方面のご理解を頂きましたならば、夢ではありますが全国的な組織団体も実現可能なものと思っております。

通産省の補助金

高畑 計量器コンサルタント研修事業は、補助金が昭和五十三年から五十六年まで付いておりましたし、また昭和五十八年、昭和六十年、その後は平成五年から平成九年にかけて改めて付けていただきましたが、平成十年からは自主事業として継続しております。補助金の使途は、会場費と講師の費用やテキスト代でございます。この補助金は、コンサルタント研修事業を実施する地方の計量協会に支給しておりました。

大森 通信教育はいつの間にか実施しなくなったようですね。

高畑 計量器コンサルタントの通信教育の研修実施要領では、(社)日本計量協会が運営し、研修の実施は都道府県計量協会ということになっております。近年は各地で、集合研修会の形態で行われております。

大森 東京都の計量器コンサルタント研修会の修了者は千名ということですが、これまで研修会を二十回やってきたとしますと、一回当たりの研修会修了者は五十名ということになります。

千七百名に資格付与

高畑 (社)日本計量協会が資格を付与した計量器コンサルタントの方は約千七百名です。資格の有効期限は三年ですので、三年ごとに更新をしなくてはなりません。更新手続きをとらない方が大勢おられまして、現在計量器コンサルタントの資格証を持ちの方は四百六十九人です。

大森 計量器コンサルタントの資格を仕事に活かす術を知らない方が多いと思いますし、また資格を取りましても、そのことを忘れている方がいるのも事実です。

資格を生かす道

岩下 東京都計量器コンサルタント協会などのように、組織化されておりましたら計量器コンサルタントが互いに研さんし合いながら資格を活用する道を講ずることもできます。未組織の地方計量協会などの場合には、資格を持っている人がその資格を活かし切れないということが出てくるのではないでしょうか。

木原 私どもでは東京都計量器コンサルタント協会の会員の皆様には更新時期がきた場合には連絡しております。更新手数料を記載した書類に現金書留封筒を添えて通知します。それでもお忘れの方には電話等でご連絡申し上げております。

資格証のサイズ

大森 資格証は結構大きいものですから普段持ち歩くことができません。自動車の運転免許証のようなサイズであれば携行に便利ですし、普段から期限切れ期日を目にすることができますから忘れることは少なくなるでしょう。自動車運転免許証と同じ形体のものであれば、客先で提示するのにも大変便利です。

高畑 計量器コンサルタントの資格更新は、計量器販売事業が登録制から届出制に変わったことで影響が出ているのでしょうか。

大森 そのこととは直接の関係はないと思います。

岩下 資格証を運転免許証のような形にするのは非常によいことだと思います。是非とも実現して欲しいですね。

金子 計量器コンサルタント制度は、計量器関係事業所が従業員の教育の場としても利用しております。計量器の製造事業者、つまりメーカーには計量器コンサルタント有資格者の育成に積極的な所もあります。

高畑 計量器の販売を職務とする営業関係の方には、特に有効な教育であり資格制度であると思います。

行政上の活用の道

大森 計量器コンサルタント制度の有効性ということについて申し上げますと、計量器販売事業者にとりましては、これはまことにこの上ない有効な社会的資格であると思います。計量器販売事業者としては、計量器コンサルタント制度をいかに活用するかとの考え方が必要です。
 社会的に見ましても適正な計量器の供給に関しては、最終供給者、つまり最前線の供給者という意味で計量器販売事業者の役割と責任は非常に大きなものがあります。取引証明分野あるいはそうでない分野それぞれに必要な計量器の供給に関し、ユーザーの知識不足を補いコンサルティングするのが私ども計量器販売事業者の役割であり、また計量器コンサルタントの資格を持った者の社会的役割は大きいと思います。
 計量行政も地方分権時代になりましたから、地方分権制度の中で計量器コンサルタント制度をどのように活用するかということを十分に考えていただきたいと思います。
 計量器コンサルタント制度は(社)日本計量協会が所定の研修を修了した者に付与している資格であります。東京都あるいは大阪府などの計量器コンサルタント協会は、地元の計量協会などとも強い連携のもとに、研さんを積み資質の向上に努めております。日ごろから計量法と計量器に関し最新の技術と知識の習得に努めており、両面で必要なことを十分身につけております。是非とも地方計量行政に計量器コンサルタント制度を活かす方策を、行政の皆さんは考えていただきたいと思います。そうすることが適正な計量の実施の確保という計量法の目的にかなうことであり、それは同時に地域社会における消費者・生活者の安全を支えることになるのではないでしょうか。
 計量器コンサルタントの有資格者である私どもは、「自分たちは計量器のプロである」という強い意識のもとに、自らの知識と技術の研さんに努め、計量器の販売に関しては消費者・生活者に対して、あるいはエンドユーザーに対して絶対に間違いない適正な計量器の供給に努力をしております。その様な仕事を生きがいとし、また誇りともしております。
 つきましては計量関係の中央三団体が統合し発足した社団法人日本計量振興協会におかれましては、計量器コンサルタント制度の趣旨を今一度ご確認頂きたいと思います。また行政関係各位におかれましては、適正な計量の実現のために果たしてきた計量器コンサルタントの活躍の日常業務をご理解いただき、新時代における計量行政の中で計量器コンサルタント制度を活用する施策を実行に移していただきたく強く念願するものであります。

計量行政に密着

横田(俊) 大森社長がおっしゃいますように計量器販売事業に従事して二十年あるいは三十年と経験を重ねた計量器コンサルタント有資格者の皆様の力量につきましては素晴らしいものがあると思います。計量器のユーザーサイドに立ってみた場合には、これほど頼りがいのある販売事業者さんはございません。計量器販売事業従事者の皆様は、計量法と計量制度、そして地域の計量行政機関との密接なかかわりの下に、適正な計量器を供給するという大きな社会的役割を果たしておられます。
 計量器コンサルタント制度に基づく計量器コンサルタントの有資格者の皆さまは、研修会の必要な課程を修了し、その後も研さんを重ねておられ、地域ごとのユーザーの皆さんのよき計量器に関するコンサルタントあるいはアドバイザーとして、大いに活躍しておられます。そのような事情をご理解いただくことを含めまして、社会の認識を十分に高めることが求められていると存じます。そのためには計量器コンサルタント制度のPRを今以上に積極的になさっていただくことがよろしいと思います。
 計量器販売事業の届出はしておりましても、計量器の供給に関してユーザーの目的を実現させるに足るコンサルティング販売ができない事業者の方もおられることは事実で、取引証明分野の計量に用いることができない検定証印もしくは基準適合証印のないはかりを販売している事例が散見されます。この点では計量器コンサルタントの皆様は独自に勉強会などを開いて研さんを積んでおられますから安心して相談もでき、商品も求めることができます。
 計量器コンサルタント制度に関して有資格者に対する計量法上の特典といいますか、資格をもっていることによって得られる法的なものは何もありません。そのようなことから計量器コンサルタント制度上の政策的対応の一つとして法的メリットの創設を唱える声は常に出ております。

新団体の下で更なる発展の方途

大森 計量法の知識、実務の知識、その他計量器の知識に関しましては、私どもは新しい製品が出るごとに、その技術的な説明を受けており、また日ごろの業務を通じましても十分な知識と技術を蓄積しているものと自負しております。私どもは計量器のプロフェッショナルとしての自覚を持って行動しております。計量の世界において、計量器に対する知識は私どもはメーカーに決して負けないつもりでおります。
 計量器コンサルタント制度の元締めの団体でもあります(社)日本計量協会の後継団体である(社)日本計量振興協会ともども、この制度の社会的なPR不足はやはり否定できない事実であろうかと存じます。(社)日本計量振興協会はこの四月一日に発足したばかりでございますが、なにとぞこれまでの事情をご省察いただきまして、新団体に移行しましたのを契機に計量器コンサルタント制度の正しい発展方向と普及につき今まで以上にご支援とご協力を心からお願いいたします。

高畑 大森社長がおっしゃいますように資格付与団体の(社)日本計量振興協会としては、地方計量協会等が活動しやすい体制を築いてご協力することが大事だと思います。

計コン資格を生かす風土づくり

岩下 いまは新団体なりましたが、日本計量協会時代から小野田会長がことあるごとに、いろんな場面で計量器コンサルタント制度と計量器コンサルタントの役割の重要さを強調していただいておりました。是非とも新団体でも引き続いて計量器コンサルタント制度について、十分なご理解をいただきまして、会事業の中にこの制度をしっかりと位置付けていただき、一層の育成と強化をお願いいたします。
 先程お話しが出ておりましたが、苦労して取得した計量器コンサルタント資格でございますから、有効期間が参りましたら忘れることがないようにして必ず更新していただきたいと思います。
 計量器コンサルタント制度に基づく計量器コンサルタントの資格を活かす計量の世界の土壌・風土、文化を築き上げられないものかと切に念願します。また統合新団体は計量器コンサルタントの再教育あるいは資質の向上に関しまして有効なる事業を計画して欲しいものです。資格を付与した者に対しての、その後のフォローアップを是非ともお願いいたします。

高畑 新団体としましては計量器コンサルタントに関してもそうですが、計量士登録をしている皆様に対しても資質向上につながる事業を実施して行くことを事業計画の中でうたっております。計量法や計量器および計量管理等の新しい知識を習得するための研修会、講習会等の事業を幅広く実施する予定でおりますので是非ともご支援をお願いいたします。

計量士との協調

岩下 私ども東京都計量器コンサルタント協会では、東京計量士会の皆さまと共同で研修会等の事業をしたこともございます。互いに立場を理解し合いながら、適正な計量の実施の確保のための事業に関しまして協調すべきであり、幸いにして良い関係を築いてきていると思っております。

大森 計量器コンサルタント制度は、計量器販売事業者を資格付与対象として限定している制度ではありません。この資格制度を利用しやすい立場の者が販売事業者であるということから計量器コンサルタントの有資格者の多くは計量器販売事業者であることも事実でございます。しかし計量器メーカーの従業員、一般事業場における計量器の使用者の皆様なども教習を受けて、計量器コンサルタントの資格を取得しております。

高畑 計量器コンサルタント制度は、計量の安全の確保にとって有効な資格制度として実績を残しております。皆様のすぐれた知識と技術を計量の世界で大いに発揮していただき、世の中に貢献していただくためにも、この制度を社会に対してもう少し、アピールすることが大事であると考えます。そのための手立てを考えて行かなくてはならないと思います。

自治体の「認定」を受ける

大森 通産省の計量器コンサルタント制度に対する認識あるいは理解ということでは、これまで長い間、計量器コンサルタント研修会実施のための補助金を出していただいておりましたので、それなりのものが出来ているのだと思います。この様なことが後退することがないよう計量器コンサルタント制度の理念や歴史をしっかりと語り継いでいただきたいと存じます。
 そのうえでのことですが、これは制度に対する要望でございますが、計量器コンサルタントであって、計量に関する最新の技術や最新の知識につきまして、資格取得後その後さまざまな教習を受けて、それを習得している者に対しては、通産省あるいはその他の団体の「認定」のようなものを受けられる制度を追加していただきたいと思います。
 「認定」された者は、計量器の供給にも連動するトレーサビリティに関連した業務を行う場合に有効な資格制度として活用できるようにしていただきたいと念願します。トレーサビリティ講習を受講した者に国がお墨付きを与えるということです。国でなければ地方自治体がそうした資格「認定」をしていただくものでも結構だと思います。二十一世紀の新時代に向けこの制度を大きく普及させ、グレードアップした公的な認定により一種のライセンス的な資格にすることを望みます。

法に適合したはかりの販売

横田(俊) 計量法にかなった計量器の適正な供給は万全かということでお話しをさせていただきたいと思います。本席にお集まりの計量器コンサルタントの皆さまはベテランであり計量器のプロとしての力量が十分な方でございますから宜しいですが、病院あるいは調剤薬局等の取引証明にかかる計量をする事業所に検定及び基準適合証印が付されないはかりが供給されている事例が数多く見られます。行政機関がどんなに頑張ってはかりの定期検査を万全に実施いたしましても、使用現場に計量法に適合しないはかりが無造作に販売されてしまっているのでは、尻が抜けているのと同じであり、そのちぐはぐ感は大きいですね。届出販売事業者の知識不足に起因する法に適合しないはかりの販売は、結果として定期検査の実施といった行政の仕事を帳消しにするように作用します。こうした矛盾をどのような政策で解決して行こうとするのか。

岩下 それは大いなる問題ですよ。

確かなおさえはなっているか

横田(俊) 多くの調剤薬局の方々は、計量法に関して細かで確かな知識はお持ちでありません。ですからはかりの流通に関連して供給者の側の一員であります販売事業者に事業届出の義務を課しているわけですが、実際のところ計量器を販売するに足る十分な計量法上の知識をお持ちでない方が多くおられます。もっとも計量器販売事業に登録の義務が課せられていた時代に同じような事例が発生しなかったかといいますと、そうではありません。しかし再登録の際の知識程度の確認ということでは登録制度の時代の方が現在よりはずっとましでした。

現行制度の補完機能

岩下 そうです。ですからそうした現状の販売事業制度から出てくる現象をどのようにして補足するかということがありまして、私ども計量器コンサルタント制度は完全な補完とはなりませんが、政策的に上手く用いましたら有効性を発揮すると思います。政策的な面からも関係行政機関ならびに関係団体の皆さまには大いに研究していただきたいものです。
 さて発言者を広げて行こうと思います。どなたか計量器コンサルタント制度に関しましてお話しください。

教習は有効な学習の場

横田(賢) 私どもはいわゆるガラス製の浮ひょう、つまり比重計、密度計の製造事業者でございます。私は大学を卒業すると同時に父親の経営する事業を継ぐために会社にはいりましたが、ほとんど何も分からずにガラス製浮ひょうの製造業に従事いたしました。
 大学を卒業したばかりでそうした世界に身を置きましたものですから、その当時私の視界にあるものといえば自分の事業分野だけでございまして、計量の世界、分けても計量法によって構成される世界ということになりますと、その総体に関してはおぼろげなものでした。それで、私どもが加入しております東日本計量器工業組合の石本義次郎専務理事(故人)に計量器コンサルタント研修会のことを教えていただきまして受講することになった次第です。
 研修会の講義内容として計量法、計量器概論、計量管理概論、度量衡の歴史などがありました。講義を通じて自分のところ以外の計量器についてを学ぶことができましたし、計量法についても計量法が構成する世界を広く大きく学ぶことが出来たことは貴重な経験でした。そうしたことから、計量の世界の中で自分がしている仕事のことが相対的な関係としてもよくわかりました。また、計量のことを人から質問された場合に説明できるようにもなりました。
 以上のようなことから計量器コンサルタント教習は、私にとりまして非常に意味のあるものでございました。
 東京都計量器コンサルタント協会との関わりにつきましては、初代会長の小川直久さんと新年会の席上か何かで、計量器コンサルタント協会の事業として工場見学、事業所見学等は勉強になるから是非とも実施して欲しい、と申し上げましたが、何時の間にか、東京都計量器コンサルタント協会の役員の末席に名を連ねることになり今日に至っております。
 私の場合には製造現場に身を置く者でございまして、ユーザーさんに対して直接に品物を販売する機会は少ないものですから、販売に関してのコンサルタント資格はどうあるべきか等々の具体的なことには疎いというのが実情でございます。
 先ほどから岩下会長、大森副会長などからお話しのある、計量器コンサルタント制度とその政策的運用といったことにつきましては、余りよく分からないというのが正直なところでございます。
 計量器コンサルタント研修につきましては、受講者の中には理化学分野の方もおりますし、他方面の方が受講しているものと存じます。計量の世界でいろんな方をつなぐという意味では、それ自体に意味があると思います。また一度教習を受けて資格を取ったといいましても、その後の進歩発展する計量器に対応するためには、講習会などは必要になってくると思います。これまで東京都計量器コンサルタント協会が実施してきた各種研修事業はこれからも継続して行っていただきたいと思います。

清水 計量器コンサルタントの資格は、社会においてどれだけ有効であるかということに関しましては、いろいろと疑問に感じることがあります。例えば建設現場において、タマガケという仕事がありますが、この仕事は資格がないと出来ないんです。計量器コンサルタント資格もそれと同じぐらいのものであればいいのになと強く念願いたします。
 計量器コンサルタントの資格がなければ、計量器の販売ができないというような資格でないことに私としては寂しさを感じております。そのようなことで計量器販売に関する資格要件とまではいかないまでも、それに類似するものとして計量器コンサルタントの資格制度があればよいなと思っております。また社会の認知の度合いをもっと高めて欲しいものです。
 先ほどから大森社長のお話しに出ておりますように、私どもは計量器のプロでございますから、計量器に関して、計量法と絡みその他につきまして現場経験を踏まえた知識を持っており、たとえばISOの品質保証制度に関係した計量器の配備とトレーサビリティにつきまして、適切なアドバイスができる自信をもっております。
 ある現場ではISO九〇〇〇シリーズにまったく適合しない計量器と計量標準器が配備されていましたので、見かねて指摘したこともございます。

販売届出制度の弱点

岩下 計量器コンサルタント制度の資格内容につきまして、清水さんの気持ちは大変よくわかります。それは同時に計量器コンサルタント資格の問題として長らく語られていることでもございます。
 計量器販売事業は現在、登録制から届出制に変更になりまして、届出計量器販売事業者には、計量器販売に関する遵守義務というものが課せられておりますが、実質上なおざりにされているという事実は否定し難いと思います。非常に残念なことであります。それが原因になって、先ほどから話しに出ております様々な不具合が起きるのだと思います。
 病院および調剤薬局に対して、適切でないはかりが販売されているという事例が出て参りましたが、これが届出制に移行した計量器販売事業の実態でもございます。納入している業者は、計量法に基づく計量器販売の届出事業者でございますので、その意味では法的には問題がないのですが、販売するはかりにつきまして計量法に関する知識が不十分なことに起因して、トンチンカンな品物をよく見かけます。
 私思うのですが、計量器販売事業の届出があった場合には、計量検定所など行政機関は、その届出のあった者に対して、計量器販売に関係して必要な知識を習得させるための何らかの手だてをしなくてはならないのではないでしょうか。計量法と計量器に関する知識のなさに由来する不適切な計量器の販売がなされないよう、何らかの手を打たなくてはならないということです。
 届出に必要な書類を作って持っていきますと、はいわかりました、はい了解いたしました、ということで受付の印をポンと押して終わりということでは駄目だと思います。

計コン制度の普及

大森 計量行政担当の皆さまに対してお願いしたいことは、適切な計量器の供給に必要な知識を持った販売者はどうすれば多くなるかということにつき真剣に考えていただきたいことです。
 計量器コンサルタント制度と計量器コンサルタントの社会的使命の度合いを向上させるためには、計量器コンサルタント自身がもっと努力しなくてはならないと思います。そこで私は少しでも計量器コンサルタント制度をPRしようと思い、名刺へ必ず計量器コンサルタントという文字を入れております。ご出席の吉川さんなどは、請求書や領収書などにも必ず入れているということでございます。全国の計量器コンサルタント有資格者が同じようなことを実行すれば、その効果は非常に大きいと思います。

計コンに相談すれば得だ

吉川 計量器コンサルタントの場合には、計量法で定められた制度である計量士制度との関係がありますので、その方面への遠慮といいますかわだかまりということがございましてなかなか積極的になれないということがあります。
 計量器コンサルタントであるわれわれ自身が、普及宣伝に努めるべき当事者ではございますが、同時に資格付与団体におかれましてもご考慮をお願いいたします。
 私は計量器に関するプロであるという自負心がございますので、計量器をお買い上げいただく場合には、同じ届出販売事業者でありましても、私ども計量器コンサルタント資格者のいるお店をご利用いただき、ぜひともコンサルティング販売の利便性を確かめてみていただきたいと思います。
 それで私の場合は、岩下さんや大森さんはじめ他の計量器コンサルタントの皆さまも同様であると聞いておりますが、例えばはかりを納入する場合には、そのはかりがどのような場所で、どのような内容で使われるのかを充分に伺ったうえで、それに適合するものを選定してお奨めしております。また、そのはかりをお渡しする場合には、メーカーから私どもにきたはかりにつきまして、納品前に初期の精度を備えているかチェックしています。最近ユーザーの皆さまは、安ければいいということになっており、お安い価格の呈示がありますと簡単にそちらの方をお選びになります。果たしてそれでよいのかといいますと、使用現場には不適合のはかりが納品されている場合があります。このような事例は先ほど清水さんから出されておりましたように、私も何度も見ております。その都度適切なアドバイスをしています。これが計量器コンサルタントの役目と思っていますから。

安いだけのノーメンテは買うな

横田(俊) はかりは安ければ安いほど、計量器は安ければ安いほど宜しいかもしれませんが、ただ安いというだけでお選びになりますと、はかりに必要な性能や計量法との適合性が、無視される場合が非常に多いということでございますね。

吉川 そのような状況ですから、何とか私どものような計量器のプロフェッショナルである計量器コンサルタントのいるお店で、お買い求めになるような方向に持っていきたいですね。

横田(俊) そういうことなんでしょうね。

コンサルティング販売

吉川 われわれは計量器のプロを自認して計量器を販売していますが、計量器販売事業の届出をしている事業者の中には、計量器の知識や技術の経験が不足している方がいることは確かです。そのような方々は、使われる計量器の現場における役割などをほとんど考慮しませんから、注文があったものを、注文通りにお渡しすればよろしい、というような考えでいるようです。計量器を使うユーザーも計量した結果がデジタルの数字で出ていれば正しいと思われて、その数値がそのまま受け入れられ、誤差要因がどの程度含まれているか、あまり考えていないところに問題があるわけです。

横田(俊) 先ほど大森社長はさまざまな書類に対して計量器コンサルタントの名称を記していることをお話しなさいましたが、計量器コンサルタントの肩書きを記するということは、そのこと自体が計量器コンサルタント制度を上手く利用することであると思います。

吉川 そういういうことで計量器コンサルタントの資格は意味があると思います。

推奨シール制度

大森 計量器コンサルタントは、計量器に関する知識と技術に関係して資格認定の教習を修了することによりましてお墨付きを(社)日本計量協会(現(社)日本計量振興協会)からいただいていることになります。計量器コンサルタントは日本を代表する計量文化団体が認め、付与した公的資格であります。そのこと自体は紛れもない事実ですし、社会に対しても胸を張れる資格制度です。
 そこで提案したいのですが、私ども東京都計量器コンサルタント協会として、自前で何らかのシールを作ってそれを計量器に貼付し、計量器の信頼を高める、あるいは差別化を図るということを実施に移したらよろしいと思います。シールには東京都計量器コンサルタント協会の「推奨」という文字を入れ、また計量器コンサルタント個人の氏名も記します。場合によりましたら、その下に次の推奨する検査日などを入れておくといいのではないでしょうか。
 自分たちがさまざまな知恵を出して制度を生かす道を探るべきであると思います。私の提案は「推奨シール」が一番良いのではないでしょうか。あるいは「推奨マーク」とでもいいましょうか。

吉川 いま大森社長がおっしゃったようにシールの貼付作戦といいますか、政策は非常にいいアイディアだと思います。推奨シール制度ができましたら、そのシールの発行者が東京都計量器コンサルタント協会に所属する計量器コンサルタントであることもわかりますし、その計量器コンサルタントによって管理された計量器であることもはっきりするので非常に良いと思いますし、また認定ナンバーなどを入れるというようなことであればなおいいと思います。

すぐにでも検討を

大森 私の提案が受け入れられますと非常に嬉しいです。たまたまこのような場で提案があったものにつき今後、東京都計量器コンサルタント協会の役員会などで十分に検討して、有効であるということであれば、さまざまな問題をクリアの上、是非とも実行したいです。また、このようなシールの発行につきましては、関係各方面のご理解とご協力が必要でございますので、その方面との折衝なども合わせてお願いしたいと思います。

高畑 いまお話しに出ていたことは一種の自己PRで、計量器以外の業界でも協会や工業会でやっていると聞いております。このような自己PRについての規制は無いと思いますし、適切な計量器を選んでいただくためにも、是非とも関係各方面のご理解を頂きまして、実施されることになれば素晴らしいことだと思います。

大森 そうですね。私もこれは自己PRとして何ら法に抵触することではないと考えておりましたが、そのような発言をいただきますとますます心強くなりました。

ギャランティーシール

山田 私も横田賢次郎さんと同じようにガラス製の浮ひょうの製造をしております。それで私どもが加入している東日本計量器工業組合では、同じような発想に基づいてシールを作成実行に移す段どりになっております。組合員に対してしっかりと責任を持ってもらうための誓約書を書かせて組合としてのギャランティーシールを貼ろうということで話しが決まっております。偶然の重なり合いですね。

大森 私の提案は、言ってみれば東京都計量器コンサルタント協会「推奨シール制度」ということでございます。

出荷前チェックの励行を

岩下 非常に結構だと思います。推奨シール制度につきましては、必ず検討します。というよりも実施に移すべく、具体的な検討を加えていきたいと思います。
 計量器の販売に関しまして、特に計量法との深い関わりを持つ質量計に関しましては、納品前に性能に対応する分銅を用いてチェックすることを励行して欲しいと思っております。電子天びんは十万分の一とか二十万分の一とかいった精密級のものになりますと、何デジットかの変動がでておりますから、出荷前にチェックして、場合によりまして校正しておかなくてはなりません。

吉川 東京都計量器コンサルタント協会の会員に対しては、はかりのチェック用の分銅の備え付けと出荷前チェックなり校正を義務付けることによって、東京都計量器コンサルタント協会と会員の社会的な信用の増進に努めるようにしてはどうでしょうか。計量器販売事業の届出をしている一部の業者の中には、精密級のはかりの販売にふさわしくない事例を見かけるものですから、そうした業者と良心的な業者を区別する意味からもご提案申し上げるわけです。

品質保証制度への適合

大森 安ければ何でもいいとか、よく考えないで買ってしまうということで、はかりを買う側に責任がないわけではありません。先ほど清水さんからお話しがありましたように、納品されたはかりが計量法やISO九〇〇〇シリーズに適合していないということが実際に多く見受けられます。ですから知識と技術のしっかりした私ども計量器コンサルタントの適切なアドバイスを受けてはかりをお求めになっていただきたいと思います。

プロのアドバイスを受けて買え

吉川 その意味では、やはり私ども計量器コンサルタントは計量器のプロフェッショナルであります。プロのアドバイスを受けて、はかりをお買い求めいただくことが一番確実で安心なことでございます。

大森 計量器コンサルタントは、プロとしての自覚と意識をもって仕事をすることが、結局はお客様に信用を得ることになりますし、商売繁盛にもつながります。

吉川 そうです。私どもが努力することと合わせまして、資格付与団体にもご支援とご協力をお願いしたいですね。

制度普及の自助努力を

大森 今まで私は全国計量器販売事業者連合会や東京都計量器コンサルタント協会、その他関係団体の役員として岩下会長と一緒に通産省始め関係方面に様々な要望を出すなど、その実現に努力して参りましたが、そうした経験を通じてまずは自分たち自身がしっかりした責任ある考えを持たなくてはならないと思うようになりました。
 その意味で吉川さんの気持はよくわかりますが、実際には計量器コンサルタント自身が努力して社会に認められ、またお客さんの信用をかちとることが先決であると思います。そのような努力と合わせて関係方面に率直にもの申すということが大事です。東京都計量器コンサルタント協会の役員の方々にはそうした意識をしっかり持っていただきますようお願いいたします。

横田(俊) 大森社長がお話しになられたとおりだと思います。計量関係事業者の多くの方は、何かあると役所に頼って、役所に何でもしてもらおうという甘えにも似た考え方を持っております。昔は計量器事業は許可認可制度ということで、免許制度に似た体制であったため法律によって事業が保護されてきたという事情がありましたが、今はもうそのような時代ではありません。従いまして役所に対しては理にかなったことであれば正々堂々とものを言わなければなりませんし、関係団体を含めて各方面に対しても同じことです。
 立派な理屈や政策であれば社会や計量の世界の人々はそのことを受け入れるものと思います。

扱う計量器に自信を持て

岩下 何度も繰り返して恐縮でございますが、計量器コンサルタントは扱う計量器に対して絶対的な自信を持ってほしいと思います。絶対的な自信というのは間違いないものを責任をもって販売するということでもございます。そのためには最新の計量器や技術に対する日頃の研さんを積んでいなくてはなりません。
メーカーさんは新しい製品を出しますと取扱業者さんに対して新製品の説明会を開きますが、私ども東京都計量器コンサルタント協会といたしましてもタイムリーな製品説明会をメーカーさんのご協力をいただいて実施したいと思っております。また私どもは、はかり以外の様々な計量器の知識を得るための研修会事業を実施しております。そうしたことの一環としまして温度計の関係の工場の見学会も実施しております。

山田 私といたしましては、東京都計量器コンサルタント協会があるおかげで個人としてはなかなか勉強できないことや見ることができない工場を見学する機会が数多くありますので非常に有意義に利用させてもらっております。

能動的に活動してこその会員利益

大森 どのような会や団体でも会費を納めていれば会員としてのメリットを享受できるというものではありません。どちらかといいますと会の中で能動的な活動をしてこそメリットを生み出すことができるのです。
 東京都計量器コンサルタント協会の場合も計量器コンサルタント資格の制度的メリットがないという言葉が良く聞かれます。そうしたものは初めからありませんので、皆で知恵を出し合い様々な努力をしているのです。
 制度メリットは、私たちの日ごろの業務の積み重ねを通じながら資格の権威を高めかつアイディアを出して作り出していこうというのが役員一同の共通した考え方になってきております。

岩下 今回のこの座談会に消費者の代表の方がご参加いただくと宜しかったのですが、日ごろのおつきあい等がございまして参加はならなかったのですが、今後とも機会があれば私どもの会合にお顔を出していただこうと考えております。

多くの使用者は法を知らない

大森 計量法上の特定計量器ということに関しての知識につきましては、われわれプロの計量器販売事業者は個々の製品につきましても良いところ悪いところ、個々に良く知りつくしており、計量器ユーザーの皆様の使用目的に合わせた商品の選定ができます。計量器のユーザーの皆様のほとんどの方々は、特定計量器の概念を正確に理解しておりませんので取引証明分野に関しては、基本的に検定付の計量器を使うということについても知らない方が多いようです。計量器をお買い求めになるユーザーの皆様がそのように知識不足のところへ行き、知識が不十分な届出販売事業者が商品を供給するから、先ほどから話しに出ているような不幸な事態が発生するのです。

販売は規制がないのと同じ

岩下 私、強く感じますことは、現在のさまざま混乱の元は、計量器販売事業に関しまして規制緩和という名目のもとに、登録制であったものが届出制に移行し、実質上の事業規制がなくなったといってよい状態にあるからだと思います。事業規制の緩和策が、適正な計量の実施の確保という計量法の目的を考える場合に良いことであったか、悪いことであったかということになりましたら、悪いことであったと結論づけることができると思います。届出計量器販売事業者の中には、届出をしてしまえば後は計量器の販売に関しての規制は何もないから、どんなことでもできるんだという考え違いをしている者がかなりの数いると思います。
 従いまして先ほどから話しが出ているように、買う側も売る側も計量法の規定をよく知らないということによって発生する社会的経済的な損失は、いわゆる規制緩和政策によってもたらされる効果をはるかに超えているはずです。現場を見ている者としては理解しがたいことです。計量器販売事業者として最低限もっていなければならない知識を実際問題としてどのようにして確保しようとしているのでしょうか。

全て検定付という注文

吉川 計量器ユーザーの皆様の計量器や計量法に関する知識は、以外に低いのですよ。例えばISO九〇〇〇シリーズの認証を取得されている事業所につきましても、製造ラインで使うはかりはすべて検定証印付もしくは基準適合証印付のものでなくてはならないと思われて、注文を頂くことがあります。その製造ラインが取引証明に関係がないにも拘わらず検定合格品を要求されます。

横田(俊) ISO九〇〇〇シリーズの認証取得に関しては妙なことが多くあります。事大主義もいいところで、品質保証を科学的、工学的に考えていない事例をよく見聞きします。いまISO九〇〇〇シリーズ認証取得の大風が吹いていますからこれによって、計量器や計量標準にISO特需があることは確かです。

電気式はかり使用の心得

金子 計量法に定められている検定付あるいは基準適合証印付で世の中に出回る製品は計量器全体の中に占める割合は一割程度かそれ以下だと言われています。
 そのことは別にいたしまして私は電子天びんの販売を手掛けているものですから、その関連のことで技術上危惧される部分をお話しさせていただきます。
 はかりに関しましては特定計量器として指定されたもののうち検定付きあるいは基準適合証印付きで、取引証明分野に使用される場合には、二年に一度の定期検査受検義務が課せられ、それを最低限の器差検査としてとらえるなら、それはそれでそこそこの管理がなされているということが言えるのでしょうけれど、取引証明でない分野で用いられているはかりの管理はしっかりしているものとそうでないものとの間に大きな開きがあり、全体としてみましたら感心できない状況にあると思います。
 電気式のはかりの多くは電源を入れてから動作が安定するまでに一時間から二時間を要します。秤量作業前に実施する校正はいま申した時間を経過後に実施するのが望ましいのですが、一般には校正作業も簡単な機能チェックもなしでお使いの方が多いのです。はかりの精密さの度合いが高くなるほどに、読みとって管理その他に利用する数値が厳密さを求められるほどに、しっかりした管理、校正作業を実施しなくてはなりませんが、多くの使用者にはそれが出来ていません。
 電気式の精密なはかりをご使用の際にはぜひともメーカーでも取扱いの納入業者でもどちらでも結構ですから、秤量作業とはかりの管理のための適切なアドバイザーをしっかりと確保することをお奨めいたします。そうしたはかりのアドバイザーとしてはプロのはかり業者である計量器コンサルタントをご指名いただくのは選択としては間違っていないと思います。はかりは計測器ですし、計測器は管理しなければ使えないものなのです。

胸張れる資格内容に

清水 私、日ごろの経験を通じて痛切に感じていることを率直にお話しさせていただきます。私はやはりはかりに関しましてはプロフェッショナルと自認しており、計量器コンサルタントの資格をいただいて十年になりますし自信を持っているのですが、現在の計量器コンサルタント制度は考え方としては誠に結構な制度でございますし、計量器コンサルタントの皆様は経験の上に自己研さんを重ねており十分な実力をお持ちの方が多いのに、与えられている社会的資格の内容としては不十分であると思います。
計量器コンサルタント制度にもう一つ上級の制度を重ねて「公認計量器コンサルタント」というようなものを設けたらどうかと考えます。
 お客様のところに伺いまして「私は計量器コンサルタントです」と申し上げるたびに国家資格制度である計量士制度と比較されます。そうしますと計量器コンサルタント制度を計量士制度の区別をしながら説明しなくてはならないのは不便ですし、何かもう少しスッキリと話しすることができる制度内容になっているといいなと思います。
 ですから資格付与者が都道府県知事であればと願っております。そうしましたら計量器コンサルタントは都道府県知事が認定する資格制度であるということで説明がしやすいと思います。
 また先にお話し申し上げた上級の資格制度というのは、計量器コンサルタント有資格者が経験を積んで学科および実技などの教習あるいは研修を一定程度受けて、試験等によりまして実力が確認された者に与える資格ということでございます。資格付与団体は社団法人日本計量協会継承社団法人日本計量振興協会でも結構でございますし、それに都道府県知事なりが一枚かむというようなことであればなお宜しいのではないかと存じます。
 申し上げているのは資格取得にもう少し苦労をしてもよいですから、客先で計量器コンサルタントでございますと胸を張れるような制度内容であって欲しいということでございます。

岩下 計量器コンサルタントの頭に付ける認定とか公認ということで用語に関して申し上げますと、現在の計量器コンサルタント制度は、社団法人日本計量協会あるいはその組織を引き継いでいる社団法人日本計量振興協会が付与した資格制度でありますから、認定資格でもあり公認資格でもあるんです。

大森 そうです。現在でも計量器コンサルタントは認定された立派な公的資格であることは間違いないことです。

現在でも公認認定の資格

岩下 「認定」あるいは「公認」という言葉のことは別にいたしまして、もう一ランク上の上級の資格制度を希望なさることにつきましては、それはそれで結構なことだとは思います。
 計量法上の制度といたしましては国家資格である計量士制度があり、計量士は計量行政機関が実施するはかりの定期検査を代行できる等の法的資格を一定の条件のもとで付与されています。計量士に与えられている計量法の権限は実際には非常に限定的ですし、計量士の皆様の要望としましても法的権限の拡大や社会的地位の向上ということがありますから、立場を変えてみた場合にはご自身がお持ちの資格にはすべて満足という方は少ないのが現状であると思います。
 計量器コンサルタント制度に関しましては有資格者の皆様からのより高度な社会的信用力のある資格制度であることを望む声が強いですし、私もそのことはよく分かりますのでご要望に沿うべく努力をして行く考えでおります。
 世の中には社団法人が付与する計量器コンサルタント制度のような資格制度が多くございます。この制度が業界の中や社会で十分認知され認識されるよう、私たち自身が制度を世間にPRすることとあわせまして、自己研さんを積む努力を地道に積み重ねることが大事であると思っております。
 計量器コンサルタントの資格制度の中に、ABCなどの等級付けを持ち込むことに関しましては政策的に良いことなのか悪いことなのか、にわかには判断し難いところがございます。計量器コンサルタント資格制度に等級付けがあっても良いというご意見が多く、そのようにしようということが決まりましたならば、東京都計量器コンサルタント協会としましてそのような方向で各方面に積極的に働きかけをいたします。
 そのこととは別にいたしまして講習会、研修会その他研修事業の修了証書や修了印といったものは、ご賛同が多ければ直ぐにでも実施したいと思います。

新団体と計コン制度

大森 計量関係の三団体が統合して発足した社団法人日本計量振興協会は、計量器コンサルタント制度を今後どのような形で運営していく計画なのでしょうか。基本的なことは決まっているのでしょうか。

岩下 そのことに関しましては三団体とも、それぞれの従来事業を継続・発展させるということを基本原則として確認し合っておりまして、計量器コンサルタントにつきましても事業の中でそのことをうたいあげているわけですから、言葉通りに理解してよいと思います。それと関連しますが、新団体では計量器コンサルタントの皆さんの様々な意見を聴取していただいて政策運営に活かしていただくとともに、計量器コンサルタントと一緒に事業するということがあってもいいのではないでしょうか。

高畑 日本計量振興協会といたしましては、旧来事業を継承・発展させるということは、岩下さんが述べられた通りでございます。計量器コンサルタント制度は(社)日本計量協会が制定し、資格付与してきた制度でございますが、地方分権時代におきましては、これまでにも増して、消費者利益と適正な計量の確保という計量法の趣旨に添うためにも、これまで以上に計量器コンサルタント制度を活用して行かなくてはならないと思います。

計量士と計コンの職務の違い

岩下 計量士制度と計量器コンサルタント制度は、計量関係の制度としてはまぎらわしいのではないか、といった意見が計量士の一部の皆様から述べられてはおりました。しかし計量士の基本的な職務と計量器コンサルタントの仕事とは初めから違っております。
 制度発足の当初から、計量器コンサルタントは主として計量器の流通に関して、計量法と計量器に関してユーザーの皆様に使用目的にかなった計量器をお届けするために、より高度な専門的知識と技術を身につけた者に付与された資格であります。計量器コンサルタントに計量法上の法的資格や権限は与えられておりませんが、通産省の許可団体である(社)日本計量協会が資格を付与することを公式に認めたという経緯もございます。
 計量器の流通を適正かつ円滑にするために、関係の専門的知識をかなり内容の濃い教習を通じて身につけた者に計量器コンサルタントの称号が与えられることは当然であり、社会的に見ましても何ら不都合なことではありません。
 制度発足当時から計量器の製造・販売といった流通を広く見渡して、専門的な販売事業者の存在意義をご理解いただいた多くの皆様には計量器コンサルタント制度を正しくご理解いただいております。ですから私ども東京都計量器コンサルタント協会は創設以来、東京都の計量士の皆様の団体、現在の東京計量士会と互いに立場を認め合い、友好親善の関係を継続して参りました。現在の(社)日本計量振興協会に組織移行した(社)日本計量士会とも同じような関係を築いて参りました。計量を盛んに興して世の中のお役に立つという、共通の目標に向かいますならば、互いの立場を尊重することが必要であり紳士的な態度ということでもあります。

計コン制度は消費者利益に連結

大森 計量新団体におきましては、販売関係の事業者は構成員の中の大きな割合を占めていると思います。計量器販売事業に関係する人々が仕事をしやすい環境を整備することは団体としても大きな務めであると思います。計量器コンサルタント制度はより専門性を身につけるために努力している専業の販売事業者を中心にした人々が、教育を受けた上で取得する資格ですから、適正な計量の実施の確保という観点からしても消費者利益の視点からもいま以上に積極的に育成して行くべきものと考えます。

岩下 私は計量士の皆様とは、お互いの立場を相互によく理解し合うためにも交流は今まで以上に積極的に行うべきものと考えております。

今後は垣根なしの交流

高畑 これまでは、(社)日本計量協会と(社)日本計量士会とは、それぞれが別個の公益法人として存在しましたが、これに(社)計量管理協会を加えました三団体統合の実現により、組織上の壁が取り払われましたから、関係の皆様の交流は垣根なしで行われることになります。
 共通の目的の下に組織された同一団体に互いが属するのですから、今後はより一層、相互の理解を促進するための場を持てるようになります。成果をあげるためには互いが共通の目標、共通の目的に向かってベクトルを合わせて行くことを話し合い、政策的にも実行していくことが大事であると思います。

横田(俊) 計量器コンサルタント制度は、(社)日本計量協会が創設した制度でありますし、所定教習を終了した者に対して、習得した知識を確認する試験をしたうえで、資格を付与しているのですから、資格付与団体としましてもこの資格制度を社会的にも普及させるご努力をしていただいているものと存じます。統合新団体では販売関係事業者の皆様からも期待の大きい計量器コンサルタント制度のいま以上の普及のための政策を立案していただきたいものです。当事者をメンバーに入れた委員会などを組織されたらどうでしょうか。

岩下 そうですね。資格付与団体である(社)日本計量協会が(社)日本計量振興協会に移行したのですから、新団体として改めて計量器コンサルタント制度を、国民の計量の安全の確保の観点から事業の中にしっかりと組み入れていただきたいものです。

大森 計量器コンサルタントとして、計量器の使用者とつきあいの深い方々に、この計量器コンサルタント制度の今後の発展方法等、あるいは実務上の問題等を検討する場を設けて頂きたい。そこで議論を重ねながら新時代の方向性を見いだして行くことができたら素晴らしいことです。

分権時代こそ計コン制度生かせ

木原 この計量器コンサルタント制度に基づく資格付与に関わる教習事業は、東京都、大阪府、愛知県、神奈川県、千葉県、埼玉県、福島県などが、単独あるいは共同して実施しております。しかし残念ながら全国規模でみた場合には、計量器コンサルタントの有資格者が偏在しているという事情がございます。ですから全国規模での計量器コンサルタントの組織作りが難しかったのです。
 東京都計量器コンサルタント協会の場合には、岩下会長をはじめ役員会員の皆様が熱心に活動してきており、そうした活動内容や社会のお役に立つ事業をして行こうという心意気を東京都計量検定所も認めているようでございます。
 適正な計量の実施の確保と都民の計量の安全の確保のために計量器コンサルタント制度を活用する道を是非とも模索していただきたいというのが、長年事務をお世話させていただいている者の切なる願いであります。
 先ほど清水さんからお話が出ておりましたが、計量器コンサルタント資格を(社)日本計量振興協会と平行してあるいは別の形で東京都が公認する道を開いて欲しいものです。
 適正な計量の実施の確保は、国や地方の計量行政機関だけの力で実現できるものではなく、計量事業の従事者である計量器の製造や修理や販売関係の事業者、その他関係の皆様の共同した力によって実現されるものであると思います。
 計量公務員だけで計量行政のすべてを実施するということになりますと、人数に限りがございますから、それによって得られる成果についても限度がございます。計量器販売事業者の皆様は、計量器のユーザーの皆様の計量に対する要求をお聞きして、それを計量法に適合させながら満たす術を知っておられる方々です。
 地方分権時代になり、地方公共団体ごとに特徴ある独自の施策をある程度自由に打ち出せるようになったのですから、創意工夫の一つとして計量器コンサルタント制度を入れていただきたいと存じます。
 それで東京都計量検定所に、計量器コンサルタントの意義と活用の道を見いだしていだきましたなら、東京都知事が認定する資格制度としての、計量器コンサルタント制度の可能性が生まれてくるものと思います。東京都知事が付与する資格でなくてもどんな可能性でも追求することが大事ではないでしょうか。

自治体認定資格

大森 これまで実施してきた東京都計量器コンサルタント協会の事業などを東京都計量検定所に、改めてよく説明申し上げ、計量器コンサルタントの日ごろの活動情況業務を理解していただくよう努めたいと思います。
 その内容に十分な理解を賜り、東京都が計量器コンサルタント資格を認定するということになりましたならば、これは大変に大きな前進であり画期的なことであると思います。
 計量器流通の実態におき、計量器販売事業者は、国民の計量の安全を確保する上で最前線部隊として働いているわけですから、このような最前線部隊に対して注意や配慮することは、都民や国民の利益に叶うものと思います。

山田 そうなれば大変うれしいですが、道はそれなりに険しいものと思います。

岩下 実現は易しくありませんが、われわれとしては実績の積み重ねを通じて理解をいただくべきものと思います。先ほどからお話しに出ておりますように、届出販売利用者でありましても、計量器について、あるいは計量法と計量器の関係につきまして、知識がないままに計量器を供給してしまい、結果として不適切な計量器を流通させてしまうということがあります。こうした事態の改善の方策の一つとして計量器コンサルタント制度を行政的に利用することを検討していただきたいものです。

大森 われわれ東京都計量器コンサルタント協会として、東京都計量検定所に計量の安全の確保をするという観点から、年に何度かの定期的な懇談の場を設けていただくよう要望したいと思います。

岩下 実現するために最大限の努力を惜みません。

大森 私どもとしては社会的に認知されること、あるいは大きく評価されることによって仕事が大いにしやすくなるわけでございますから、すべて前向きに取り組むという姿勢が何より大事であると思います。

岩下 役員の皆様には様々な建設的な意見を出していただきますようお願いします。

ISO九〇〇〇の知識習得に努力

大森 話しをISO九〇〇〇シリーズの品質システムの国際規格のことに移さしていただきます。
 ISOの品質保証システムの普及と認証取得の動きに連動しまして、旧来は管理対象外におかれていた検定付きでないはかりや計量器も具体的に管理の対象に加えられるようになりました。当然とはいいましても管理されずに誤差要因を大きく含んだまま使用されている実態を知っている者には非常にすばらしいことです。
 東京都計量器コンサルタント協会としまして、ISO九〇〇〇シリーズに対応した計量器の管理のためのマニュアルに関するもの他、関係の知識習得のための研究会、講習会をもっと旺盛に開いてもいいのではないかと考えています。
 ISO九〇〇〇シリーズがらみの計量器供給の最前線部隊は計量器販売事業者であり、実際にはわれわれ計量器コンサルタントなのですから、この関係でも計量法がらみと同等以上の十分な知識と技術を身につけ、間違いのない計量器をお客様の所にお届けしたいと存じております。

計量器のプロとアマの差

吉川 ISO九〇〇〇シリーズでは計量器の管理を規定しておりますから、計量器の供給サイドとして、計量器の流通の仕事をしております私どもとしても、その管理規定に適合する需要に積極的に応えなければなりません。
 特定計量器に指定された器種の法的検査等につきましては、計量法によって一定の資格要件が求められておりますが、そうでない自主管理対象の計量器につきましてはそれぞれの事業所が定めたISO九〇〇〇シリーズに対応した規定に従って管理することになっております。管理マニュアルに従って作業するということであり、そうした場合に検査は計量器コンサルタントが実施するということになれば、計量器に対する知識が不足した人に比べればプロフェッショナルとアマチュアの差があり大歓迎されることなんです。
 世の中に計量器の管理に対する需要は数限りなく有ります。このような市場で(社)日本計量振興協会が付与した計量器コンサルタントの資格制度を活かして行くべきだと思います。

大森 私どもは、計量器の届出販売事業者でもありますし、納入した計量器の管理に計量士資格が求められる場合には資格者を派遣しますし、計量器コンサルタント資格で管理要件が十分な場合にはこちらが担当します。
 ISO九〇〇〇シリーズの認証事業所では厳密な計量器の管理規定を定めていても、計量器の実際の納入ということになりますと少々杜撰な所が見えるというのが現実です。認証を受けるまで文書作成に苦労した割に、現場の管理者・技術者は計量器の実態には非常に疎いようです。
 そこで役立つのが私たちプロフェッショナルな計量器の供給事業者であり計量器コンサルタントであります。呼ばれて現場を見、その知識のなさに唖然とする場面は沢山あります。最初から計量器のことについて私たちを頼った方は得をしているはずです。無駄な時間を費やし、無駄な物を購入しなくて済むというだけでなく、事業所内の計量のトレーサビリティの確保の面でもしっかりとしたものを築くことができます。

アイデアを実現させたい

岩下 本日の座談会におきましては、それなりに計量器コンサルタント制度の在り方を話し合うことができたと思います。
 大森さんから提案がありました東京都計量器コンサルタント協会が実施する計量器の「推奨シール制度」は素晴らしいアイデアであると思います。実施に移すべく早急に検討を始めたいと存じます。
 それから計量器コンサルタントの資質向上に関係する知識技術と能力の向上に関係する講習会を実施することや、講習受講者に対して修了証明書を発行すること、さらに計量器コンサルタント制度をランク付けすることなどのアイデアも出て参りました。
 座談会で触れられたことのすべてを良く検討すると同時に、計量器コンサルタントの賛同の多いものにつきましては関係各方面のご理解をいただくべく折衝を重ねるなどして、実現に努力いたす所存です。
 今日のこの席で全部を話し尽くすということではなく、機会あるごとに様々なアイデアをいただき、議論を重ねながら前進を勝ち取りたいと思っております。本日はお疲れさまでした。

大森 我々は日常お客様のことを考え、お客様の味方として行動しています。二十一世紀に向けて、素晴らしい計量器コンサルタント制度と計量器コンサルタントが育つよう岩下会長の言葉に従って奮闘する所存です。

(終わり)
     

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